【本気の瞬間を聞く Vol.3】SUPER GTレーサー佐々木大樹……悔しいと思えるか、危機感があるか 2ページ目 | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

【本気の瞬間を聞く Vol.3】SUPER GTレーサー佐々木大樹……悔しいと思えるか、危機感があるか

エンタメ スポーツ
佐々木大樹選手
  • 佐々木大樹選手
  • KONDO RACING / NISSAN GT-R NISMO GT500
  • KONDO RACING / NISSAN GT-R NISMO GT500
  • 佐々木大樹選手
--- カートで活躍した佐々木選手は、その実績と才能を評価されてNDDP=ニッサン・ドライバー・デベロップメント・プログラムに抜擢されます。そしてフォーミュラチャレンジ・ジャパン、全日本F3選手権Nクラス(2012年に同クラスでチャンピオン獲得)を戦い、SUPER GTではGT300クラスで2013年に初のフル参戦を経験、今年GT500にステップアップしました。レーサーという職業には、プロか、そうでないかの境界線が難しいところもありますが、これを職業にしていくんだ、という気持ちが固まったのはいつ頃ですか?

佐々木:やっぱり、日産の若手育成プログラム(NDDP)に入った16歳のときですよね。

--- 嬉しさや、到達感のようなものもありましたか。

佐々木:いえ、やっぱり「まだまだこれから」という気持ちでした。NDDPに選ばれたからといって誰もがGT500までいけるわけではないですし、NDDP入りはまだまだ過程でしかないわけですからね。それよりも、メーカーの支援を受けてレースをするようになったことで、自分が勝てばいいというだけじゃなくて、全体のことも考えてしっかりやっていかなくちゃいけない、という意識をもつようになったことが大きかったと思います。

--- 全体のことを考えて、ですか。

佐々木:NDDPは若手育成プログラムですから、自分が結果を出すことで次の年以降にもつながったりする面がある、そういったことを考えるようになったというか、もう自分勝手に「やめた」とか言えない立場ですし、頑張っているのが自分だけではないなかで、本当に頑張らなきゃいけないな、という思いをもちました。

--- 16歳にしては、大人びた意識ですよね。

佐々木:レースになればがむしゃらにやっていたんですよ(笑)。でも、がむしゃらなだけで成績を出せなかったらダメなんで、結果を出さなければいけないということを強く意識するようになりましたね。もちろん、勝たなければいけない、という気持ちはカートを始めた頃からありましたけど。

--- そういう意味では、それ以前からすでに身についていた意識でもあった。

佐々木:はい。日産さんに支援していただいて戦うことになったなかで、看板を背負っていることに対するプロ意識みたいなものがなおさら強くなった、ということだと思います。

--- さて、プロフェッショナルレーシングドライバーという職業の実態は、なかなか一般の人には分かりにくいところもあると思いますが、週末のレースを走ればいいというだけではありませんよね。開発テストやスポンサーさんとのプロモーション活動、そしてご自身のトレーニングなどがあるわけですが、今季の佐々木選手はSUPER GTだけでなくF3やスーパー耐久にも参戦と、かなりのハードスケジュールぶり。8週で6週がレースだったりすることもあれば、海外にトレーニングに行ったりもされるとか?

佐々木:最新のドライブシミュレーターに乗りに行きます。このレース(8月9~10日のSUPER GT富士戦)が終わった翌日の月曜に出発予定です。

--- ここ最近で、トレーニング以外の予定がない、ほぼ完全オフの日って……。

佐々木:ほとんどないですね。旅、旅、旅で、自分の家で寝ていないくらいです。ホテル生活が続くと、たまに朝起きたとき、自分がどこにいるのか分からなくなります(笑)。

--- そういうなかで、どうやって自分の時間をコントロールしているのでしょうか。もちろんレーシングドライバーの生活はすべてが勝利に向かっての「勝負の時間」であり「本気の瞬間」なのですが、意識することによってその性質は異なってくると思います。気持ちのスイッチの切り替え、これは必要になりますよね?

佐々木:そこは自分でも、すごく、コツをもっていると思います。僕の場合、レースと並行して勉強(学業)もしてきたので。

--- 佐々木選手はレース活動と並行して受験勉強にも取り組み、慶応義塾大学に入られたんですよね。まさに学業との両立です。

佐々木:集中するタイミングと、息抜きするタイミング、そういうメリハリは本当に子供の頃からやってきていますから、今やるとき、今やらないとき、力を入れているとき、入れていないとき、みたいな区別が自分のなかではしっかりできているんです。だらだら3時間勉強するんじゃなくて、それだったら1時間でしっかり終わらせて、その後は友達と電話するでもなんでもいいんですけど、息抜きする。そういう切り替えができるように、自分でも小さい頃から頑張っていたんだと思います。だから今、ずっと(ハードスケジュールが)続いても、超疲れる、というようなことにはならないですね。

--- コツというと、何か具体的な方法が?

佐々木:具体的には……。本当に、意識の部分ですね。カートで全日本のレースに出ながら受験勉強もして、という時期が一番、ためになったと思います。

--- どっちも、それひとつだけで大変なことですものね。それを両立させなければならない環境が、そういう切り替えの力を培ってくれた。

佐々木:はい。効率と計画性、ですね。

《遠藤俊幸》
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

page top