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先進的自治体の教育ICT導入事例、全国の4自治体がDiTTシンポジウムに参加

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東京都港区立青山小学校のICT導入事例
  • 東京都港区立青山小学校のICT導入事例
  • 東京都港区立青山小学校のICT導入事例
  • 東京都港区立青山小学校のICT導入事例
  • 東京都港区立青山小学校の藤村千菜子教諭
  • 中村伊知哉氏
  • 上月正博氏
  • 阪本泰男氏
  • 倉田哲郎氏
 小中学校での教科書デジタル化実現を目指して活動するデジタル教科書教材協議会(DiTT)は、「地域から広がるデジタル教科書~先端自治体が描く未来~」と題したシンポジウムを12月20日に開催。全国の4自治体がパネルディスカッションに参加し、教育現場におけるICT導入を呼びかけた。

 2012年は、総務省が実施している「フューチャースクール推進事業」が11月の事業仕分けにおいて廃止判定をうけたり、10月の内閣改造において「頭脳の散歩 デジタル教科書はいらない」の著者である田中眞紀子氏が文部科学大臣に就任したりと、政治面においては教育ICTの導入にとって難しい1年となったようだ。

 その中で、今回のシンポジウムでは、教科書のデジタル化を推進するDiTTの活動報告や東京都港区立青山小学校における実証研究報告などが発表された。パネルディスカッションには、先進的自治体の代表が参加。NPO法人CANVAS理事長の石戸奈々子氏をモデレーターとし、DiTT事務局長の中村伊知哉氏、文科省の上月正博氏、総務省の阪本泰男氏が参加。また、先進的自治体の代表として大阪府箕面市市長の倉田哲郎氏、大阪市教育センター所長の沢田和夫氏、東京都荒川区長の西川太一郎氏、佐賀県武雄市長の樋渡啓祐氏が導入事例を発表した。

 大阪府箕面市では、3年前から小学校1校において試験的に学生1人1つの端末を与えたと倉田哲郎市長が発表。タブレット端末を549台、電子黒板を21台、無線LAN環境と教育用クラウドの環境を整えただけでなく、ICT支援員を常駐させることで、教員の負担を軽減したという。

 3年が経過した現在は、ICTが「普通に当たり前にそこにある」教育環境を整えることに成功したと話す。興味深いのは、教育ICT導入における考え方だ。倉田氏は、タブレット端末や電子黒板の導入に関し「中途半端な台数のところは使われにくい」と話す。学年1台の電子黒板を教室から教室に運ぶ必要がある環境においては、教員が活用する機会が減ってしまうという。導入するのであれば、全教室・全児童に対して行うことで「あって当たり前」の環境を作り出すことが必須だと語る。

 大阪市教育センター所長の沢田和夫氏は、平成25年度から26年度に渡り同市の小学校4校、中学校2校、小中一貫校1校で実証実験をし、「大阪市スタンダードモデルを作成」すると発表。平成27年度には小学校299校、中学校130校と全市展開することで、教育現場の全面的なICT化を図る予定だ。

 平成21年度から4年間に渡り約20億円を投資した荒川区長西川太一郎氏の事例も興味深い。学校選択制を実施している荒川区は、学校間に競争性を持たせることで教員自らICTの活用スキルなどを学ぶ環境を作り出すと話す。また、実証実験として限られた学校のみでICTを活用するのは、ほかの学校に生徒にとって不公平だという。それだけ教育においてICTを活用するメリットが高いということだろう。

 武雄市では、12校ある小学校のうち2校で試験的にiPadやスマートボードの導入を行っていると樋渡氏は話す。だが、保護者からではなく、教員側から市内全校に導入するよう要望があると説明。教育ICT導入に当たり、教員がのITスキルを理由に反対する意見が多い中、それらは導入しない言い訳だと樋渡氏は説明。導入当初はとまどったとしても、教員間の情報共有などを通じ、教員にとっても生徒にとっても欠かせない存在になっていくようだ。

 生徒にとって、タブレット端末などといったIT機器は1つの文房具。セキュリティ面や教員のITスキル、財源など懸念される要素は少なくないが、IT機器を導入することで生徒の学習意欲や成績が向上することも多いという。学習する生徒にとってもっともメリットのある形で教育ICT導入を検討してほしい。
《湯浅 大資》
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