【インタビュー】家庭でのFTTH利用はまだ伸びる……KDDIの戦略 | RBB TODAY
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【インタビュー】家庭でのFTTH利用はまだ伸びる……KDDIの戦略

ブロードバンド 回線・サービス
受賞トロフィーと新タブレット「SMT-i9100」を前に
  • 受賞トロフィーと新タブレット「SMT-i9100」を前に
  • 家庭内での利用を促す新端末を続々投入する
  • サービス・プロダクト企画本部 ネットワークサービス企画部 ホームネットワークサービスグループ グループリーダー・担当部長 庵原 武彦 氏
  • コンシューマ営業企画本部 コンシューマサービス開発部主任 東尊弘氏
  • サービス・プロダクト企画本部 ネットワークサービス企画部 ホームネットワークサービスグループ課長補佐 安間 浩美 氏
  • サービス・プロダクト企画本部 ネットワークサービス企画部 ホームネットワークサービスグループ課長補佐 梶 利津子 氏
  • 3月11日に販売開始したタブレット端末「SMT-i9100」
 RBB TODAYが2004年から毎年開催している「ブロードバンドアワード」。7回目となる「2010」においてKDDIの「auひかり」が、「スピードの部」、「回線種別の部・FTTH(1Gbps)」「モバイルサービスの部」など5部門の最優秀賞を獲得した。特に、通信速度測定サイト「speed.rbbtoday.com」の実測データに基づく「スピードの部」で2年連続の1位を獲得したことは、同社の「ギガ得プラン」の競争力の高さを裏付けていると言えよう。

 今回は、サービス開始から2年半となる「ギガ得プラン」の現状や今後の取り組み、話題のタブレットやスマートフォンなどモバイル端末へのアプローチなどについて、サービス・プロダクト企画本部 ネットワークサービス企画部 ホームネットワークサービスグループのグループリーダー・担当部長 庵原 武彦 氏、・課長補佐 梶 利津子 氏、同・課長補佐 安間 浩美 氏、同コンシューマ営業企画本部 コンシューマサービス開発部 サービス2グループ・主任 東 尊弘 氏の4氏に聞いた。

――まず、この1年間の取り組みについて教えてください

庵原氏:FTTHの契約実績は、2010年第3四半期時点で183万3000件、2010年度末では204万件を見込んでいます。ここ数年、FTTH市場全体の伸び率は若干鈍化する傾向にありますが、「auひかり ホーム」は2010年4月から石川県でサービスを開始するなど、提供エリアの拡大も含めて順調に契約数を伸ばしています。

東氏:「ギガ得プラン」は戸建て向けですが、最大1Gbpsのサービスはマンション向けでも展開しています。2010年5月からは4階建以上のマンション向けサービス「auひかり マンション ギガ」を首都圏で開始しました。棟内配線まで光ファイバーを敷設し、上り/下り最大1Gbpsで月額4252.5円という低価格で提供させていただくもので、VDSLによる従来の弊社サービスと比べて競争力が飛躍的に向上しました。既存のマンションでも極力対応できるように施工スキルや工事方法のノウハウを蓄積しながら、昨年10月の名阪地区に続き、4月以降は中国・四国地区にもサービスエリアを拡大する予定です。

――速度面では御社が優位にあると思いますが、「ギガ得プラン」が人気の理由はどういうところにあるとお考えですか?

東氏:「ギガ得プラン」自体の価格競争力の高さに加えて、請求書をまとめると105円割引になる「KDDIまとめて請求」や、自宅の固定電話との間の通話が無料になる「auまとめトーク」など、「auケータイ」との連携も大きいですね。お客様にとっては、携帯と固定が同じ会社ということに安心感があるようで、ご利用者アンケートでも「まとめられる」ことにメリットを感じていただいている方が多いようです。昨年に引き続き、「auケータイ」をお持ちの方が「auひかり」にご加入いただくと、最大1年間、携帯電話の月額利用料が390円安くなる「auひかりdeケータイ割引」キャンペーンを実施して「auひかり」と「auケータイ」のクロスセルに力を入れています。

庵原氏:今回受賞させていただきましたように、実効速度でご満足いただけていることはもちろんですが、複数台が同時アクセスした際の安定性の高さも、高い評価の一因ではないでしょうか。その意味で、パソコンより使いやすい「タブレット」や、宅内ではWi-Fi経由でインターネット接続できる「スマートフォン」市場の伸びによって、家庭内でのインターネット利用が増えることは、「超高速」を売り物とする「ギガ得プラン」には追い風ととらえています。

――タブレットやスマートフォンに関しては、昨年からいくつか製品化されていますね。「モバイル」への取り組みについてはいかがでしょうか?

庵原氏:現在、「タブレット」や「スマートフォンPC」以外にも「スレートPC」、「電子ブックリーダー」など大きな液晶画面やタッチパネルを備えた製品が続々登場し、どういうサイズ、どういう仕様が求められているのか、各社とも模索している状況です。弊社でもお客様のさまざまな利用シーンを想定して、製品を開発していますが、具体的なソリューションの一つが、3月11日に販売開始したタブレット端末「SMT-i9100」です。Wi-Fiを搭載し、宅内ではauひかり等のブロードバンド回線経由で、外出先では、Wi-Fiルーター「Wi-Fi WALKER DATA05」や、4月以降発売予定の3G+WiMAX搭載スマートフォン「EVO WiMAX ISW11HT」などと組み合わせて、インターネットをご利用いただくことができます。今後もマルチネットワーク、・マルチデバイス、マルチユースといった観点から、お客さまの様々な利用シーンに対応した通信回線環境や新たなサービスのご提案を続けていきたいと思います。

――「SMT-i9100」では特に家庭内での利用をメインと想定しているのでしょうか?

安間氏:充電器兼用のクレードルにセットしてリビングに置いていただき、パソコンよりも手軽に検索などを行えることをコンセプトとしています。弊社製のスマートフォン「IS series」でご好評いただいている「モリサワフォント」や「Ocean Observation UI」に対応し、本機器の独自メニューとして、毎日のお料理検索に「レシピ大百科」(味の素提供)、お買い物情報を検索できるデジタルチラシ「Shufoo!」やデジタルカタログ「paraly」(凸版印刷提供)、auケータイでお子様の位置確認できる「安心ナビ パソコンで位置確認」など、パソコンを使い慣れない主婦の方にも便利な機能をショートカットアイコンで用意しました。充電中など何もしない時は、フォトフレームとしても使えます。

梶氏:デザイン的には、リビングに置いても馴染み、持ち歩いてもお洒落に見えるということを意識しています。これからは、固定とかモバイルとか回線を問わず、いろいろなネット接続環境で利用できる機器が増えていくでしょう。弊社でも、4月にAndroid 3.0搭載の高機能タブレット「XOOM TBi11M」を発売予定ですし、利用者層も、若い方から年配の方まで広がっています。いろいろな端末の登場によって、「家族全員でインターネットにアクセスをしても回線速度が落ちない」という「ギガ得プラン」導入時のコンセプトが生きてくると思います。

――最近、固定回線でWi-Fiを使う人が増えているようですが、「家庭内のWi-Fi」にフォーカスした戦略は?

庵原氏:たしかに、家庭内でのWi-Fi利用はタブレットなどの登場で増加傾向にあります。弊社としては、「ギガ得プラン」の開始当初から、回線終端装置「ギガホームゲートウェイ」にWi-Fi機能を搭載するなど、Wi-Fiに積極的に取り組んできました。今後、Wi-Fiの利用者がさらに増えるとWi-Fi回線の混雑も想定されますので、IEEE802.11nの2.4GHz帯と5GHz帯の両方が使える無線LAN機器のレンタルサービスにも対応しています。家庭内に関して、そういうことを見据えたうえで、固定回線のバックボーンを受け持つ立場としては、3Gも含めたネットワークコンテンツの大容量化に対してどういう準備をしておけばいいのか、考えておかなければなりません。

――「家庭内の有線」という視点ではいかがでしょうか?

庵原氏:「ギガ得プラン」の高速性を補完する宅内ソリューションサービスの一つとして、2010年11月から、ハイブリッド型有線LANモデム「宅内すっきりコンセント」のレンタル提供を始めました。これは、電力線(PLC)やTV用の同軸ケーブルを通じてLANを構築できるモデムで、有線LANケーブルの引き回しが不要な手軽さで高速LANを実現します。以前は、PLCモデムと同軸ケーブルモデムを別々に用意していましたが、世界で初めてハイブリッド型を開発しました。同時に、同軸通信で最大物理速度800Mbpsという高速通信を実現できました。せっかく1Gbpsの回線を導入したので家の中でもできるだけ速く使いたいというニーズに応えています。

――これは家庭内ではどこに設置すればいいのですか。また、ノイズの心配があるのでは?

安間氏:通常テレビの側に同軸ケーブル端子がありますので、テレビの近くに置いていただければ、HD映像などハイクオリティの動画も対応できますし、テレビをインターネットにつなぐこともできます。同軸ケーブル端子がない部屋でも、電源用のコンセントをつなぐだけでPLCによる通信が行え、TV端子(同軸)とコンセント(PLC)の両方をつないでおけば、自動的に経路を判別して通信します。

庵原氏:以前の同軸モデムは、干渉が厳しいということ等の課題もありマンションでのご利用はできませんでしたが、「宅内すっきりコンセント」ではマンションでもご利用いただけるようになりました。

――今年の施策でおうかがいできることはございますか。映像系はいかがでしょう?

庵原氏:映像系サービスはお客様のニーズが最も高く、弊社でも長く取り組んでいる分野です。また、弊社はご承知のとおり、CATV各社様と提携している立場でもありますので、当社や各社様の得意な領域を活かしながらお客様により良いサービスのご提供ができるように様々な検討を進めております。もう一つ、これは直接的なユーザーサービスではありませんが、今年進めていかなければならないのが「IPv6対応」です。IPv4アドレスの枯渇を受け、昨年11月には、この4月以降、「auひかりホーム」から順次IPv6に対応していくことを発表済みですが、弊社としても引き続き積極的に取り組んでいく予定です。
《RBB TODAY》
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