モバイル、ストリーミング、ストレージ、世界中のネットワークをイーサで相互接続する「キャリアイーサネット」が本格化
MEFは、キャリアイーサネットについて、標準化、マーケティング活動、機器やサービスが標準規格に準拠をしているか認証の作業を行う団体。世界中の通信会社、CATVの統括会社、ネットワーク機器とソフトウェアベンダなど145社が加盟している。今のところ70以上のサービス、400以上のシステム、65社の機器ベンダーが認定を受けている。
MEFは、第1フェーズとして2001年からは初期の仕様策定とキャリアイーサネットを定義。2005年からの第2フェースでは、認定された製品によるサービスの展開が始まった。
しかしここで問題が発生してきた。MEF代表(QoseraのCEO)のナン・チェン氏は「急激にキャリアイーサネットが伸びているため、ある課題も出てきた。MEFの発足当時はその都度対応していたが、これでは世界で急激な伸びに対応していけない」という状況だ。
そこで第3フェーズは、「急激な拡大にも対応するための具体的な活動。キャリア間での世界的な相互接続を実施する」とする。具体的には、ネットワーク間インターフェイスの自動管理「MEF 20」と、キャリアイーサネット間の接続「E-NNI」について標準規格をまとめる。「自動化機能により全世界で拡張性が確保でき、運用コストが削減できる。動的というイーサネットが持つメリットも生かせる」と話す。
この第3フェーズにより、企業はユビキタスなサービスレベルのネットワークが利用できる、サービスプロバイダは費用を抑えながらもビジネスの世界展開ができる、機器ベンダはキャリアイーサネットの機器が販売できるといったビジネスメリットが出てくる。
イーサネットは、社内など限られたエリアのネットワークで用いられたのが始まりだが、そののち都市内通信の「メトロイーサ」や、国内などに点在する拠点間を接続する「広域イーサ」などにエリアを拡大した。しかし、メトロイーサや広域イーサは、各キャリアが独自に構築したネットワークで、ほとんどの場合は相互接続は行っていない。
このような状況で、通信事業者のバックボーンにイーサネットを導入しそれを相互接続する理由はなんだろうか。MEF代表のナン・チェン氏は、帯域を確保するのが一番だとする。「従来のSONETベースでは、ビデオやストレージのサービスは対応しきれない。これを拡張するためには、費用対効果から見てもイーサネットが適している」とする。
さらに、「電話も含めて全世界の通信はパケットベースに移行していく」との見通しのうえで、「パケットベースのネットワークであれば、1つのケーブルでさまざまなサービスが提供できる。TDM方式では、ある特定のサービスを使用すると帯域を確保してしまうので無駄になる」とする。
「現在のインターネットは、SONETやATMなどさまざまなレイヤー2を利用してパケットを伝送している。これをすべてイーサネットに置き換えるとレイヤー2の変換がなくなり効率が良くなる。そのため、エンドtoエンドでイーサネットというのが理想だ」との理由もあげキャリアイーサネットの重要性を強調した。
これまでの広域イーサネットは、回線のバックアップやQoSなど品質や信頼性の点において、電話網ベースのSONETやATMに劣っていた。しかし、「キャリアイーサネットは、ATMやSONETレベルのQoSやバックアップは確保できている。キャリアイーサネットとの名称は、ATMやSONET同等かそれ以上のQoSが使えるという意味も込めている」と自信を見せる。機器やサービスの認定では、このバックアップ機能やQoSの品質も確認する。
モバイルのバックボーンはどうだろうか。「3.9G」や「LTE」(Long Term Evolution)と呼ばれるモバイルの次世代規格では、100Mbps以上のスペックが見込まれる。ここまで通信速度が上がると「いまのネットワークでは維持できない」と指摘し、モバイルのバックボーンもイーサネットに置き換えることを呼びかける。「アメリカやヨーロッパでは、キャリアイーサネットをバックボーンとして採用している」と、実際にいくつかのキャリアでも始まっている。
キャリアイーサネットが導入されるとエンドユーザにはどのようなメリットがもたらされるだろうか。「企業としては、世界中どこに行っても同じイーサネット接続サービスが利用できることがメリットだろう。たとえば、出張で世界中と転々とすることがあっても、壁に設置されたイーサネットポートに接続したら、どこでも同じサービスが受けられる」とする。個人向けでは、「キャリアのコストが削減できれば、利用料金が下がるだろう。さらに、LTEなどでは高速な通信で幅広いさまざまなサービスが利用できるようになる」とあげた。
MEFの認定制度では、70以上のサービスと200以上のシステム、65社以上の機器ベンダーが認定を受けている。「具体的な目標などはないが、サービスプロバイダ間や機器メーカーで、認定を受けたいというメーカーが増えている。かなりの数字になると思う」とした。
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