「悔しいけど、データが壊れない」——カプコン、「バイオハザード5」製作のストレージシステムを公開
カプコンのソフトウェア技術部オンライン技術チーム長 弓手一良氏は、都内で開催された「Isilon Breakthrough Summit」で、同社のシステム運用について打ち明けた。
同社は、7月に米国で開催された「E3 Media & Business Summit 2008」にて、来年3月12日に発売予定の「バイオハザード5」の映像を公開したが、会場では同じものを公開。同作品を製作したシステム、特にストレージまわりについて講演を行った。同社ではアイシロン・システムズのクラスタ ストレージを昨年10月に導入している。そのストレージに一番最初に使ったのが「バイオハザード5」の製作データだった。「ハイビジョン映像で作るので、データの量がすごいことになってしまう。ストレージはアイランド状態になっていて、容量が900GBくらいしかなかったり、逆に余剰ストレージができたり……。必ずどこかが壊れてアラートが鳴っている状態だった。とくにバクアップが大変で、テープがつまったり思うようにいかず、運用が本当に大変だった」と導入前の状態を振り返った。
増え続けるデータへの対応、運用管理の負荷、データの保護レベルの確保……、注目作品の制作を支えるシステムを止めずにどのように運用していくかがチームに与えられた課題だった。同社のオンラインのストレージはワールドワイドからアクセスされ、あまり休んでいる時間がない。「アメリカがアクセスしていない時にはヨーロッパ。ヨーロッパが終わりかけたら日本という具合に24時間ぐるぐるまわっているので、止めないでなんとかしたいと思っていた。しかも、オンラインで増設ができたら幸せだと」。とはいっても同社で運用管理にあたっているのは、たった3人。ワールドワイドの管理を3人でまかなっているのだ。
ここで弓手氏が出した結論は、いかにバックアップするか、ではなくバックアップをやめてしまうということだった。「とてもアップできるような容量ではない。要は、機械が壊れなきゃいいんだと。本当は、機械は年が経つとどんどん壊れやすくなるが、今回は3年のレンタルで運用してみよう。それで、3年経ったら普通に故障率は上がってくるので、その時は新しいシステムに載せ換えよう。そしてバックアップをやめてしまえと」
当時のカプコンのシステムは写真のようになっている。Cisco Catalystスイッチに10GでFirewallをつないで、このFirewallで認証されたユーザーだけがアイシロンのクラスタ ストレージ「IQ6000i」に入ることができる。クラスタとも10Gで接続してアイシロン・システムズのOneFSファイルシステムのメリットを最大限に活用しながら、シングルボリュームで運用している。ひとつのファイルシステムの下にシェアのフォルダを作り、各プロジェクトに合わせて容量を調整している形だ。「誰がどれくらいの容量を使うか間仕切りをしてあげて、このフォルダは4GBまで、このフォルダは10TBまでとオンラインで間仕切りを動かして調整するようにしている。運用管理がすごく楽になった」。
ちなみにアイシロン・システムズではデータ領域に関連して、次のように解説している。「従来のシステム(SAN、NAS)では16TBという上限値があるので、データが増えてきた場合、Aドライブ、Cドライブ……といった具合に、守らなければいけない領域が増える。これを最大1600TBのシングルファイルシステムで管理することで、管理者の労力を軽減することになっている」。
では、バックアップをやめてどうなったか?これについて弓手氏は次のように話す。「実は驚いたんですけど。壊れないんですよ。ほんとに悔しいけど壊れない。一回くらい故障すると、案外安心するものなんですけど(笑)」
これにはアイシロンのデータ保護技術が効いていると思われる。同社が何度もアピールしている点であり、詳しくは「動画で理解する次世代ストレージWEBセミナー」(http://www.rbbtoday.com/news/feature/videoarch/)を参照するといいが、中核技術となっている分散ファイルシステム「OneFS」が大きい。「同時に3本のディスクが壊れた場合には既存のRAIDの技術ではデータを守ることができない。つまり継続的にデータにアクセスするための限界がどうしても残ってしまう。アイシロンではデータ保護のためのパリティーを最大4つまで実装できるようになっている」「一枚のファイルを複数のパズルのピースに分割し、きょう体にまたがって配置する。さらにそこにパリティーを付加して保存している」(アイシロン・システムズ)。
現在、カプコンではクライアントとしてユーザは約800名(ワールドワイドでそれ以上)で、接続されているPCは2000台以上だ。ここにVMwareも導入しているという。
仮想化の運用については詳しく触れなかったが、弓手氏は今後のデータ管理の課題、要望として「ストレージのなかにはかなりの数の映像データのテクスチャが入っている。これを検索するのに、別の検索エンジンを使ってもいいが、全文検索できる(専用の)検索エンジンなりアプリケーションが欲しい」と話した。
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