【Interop Tokyo 2007 Vol.10】古川 享氏 基調講演(1)「生活に入り込むIP技術」
「今からお話しすることは、あくまでも私見であり、特定の会社の見解や意見を代表するものではない。」と前置きしつつ、 あらゆるものがIPに置き換わってきている事例として、音楽、電話、放送、テレビについていろいろな企業の取り組みを紹介した。
音楽の世界では、以前ならIPの遅延の問題が懸念されていたが、最近は改善されてきており、音響系は光、制御系はIPネットワークで制御されるというパターンが増えている。昨年のエリック・クラプトンやU2のコンサートでもこれらのデジタル技術が活用されたそうだ。オンキヨーエンターテインメントテクノロジーの「e-onkyo music」は、CDより高音質の24ビット96KHzサンプリングのオーディオデータをネット経由で提供している。今や、IP経由の音質はCDを超えているのだという。
また、パイオニアの「Music Tap」は、高速電力線通信「PLC」の応用技術としてネットワーク経由で音楽を聴くというサービスを提供しており、これは、まさに「音楽が電源コンセントを通ってやってくる」ものだ。2006年のグットデザイン賞金賞を受賞している。
電話の世界では、家庭用の電話にワイヤレス機能とSkype機能が搭載され、携帯電話の電波とWiFiをシームレスに切り替えることができるようになった製品、無線LANモジュールを搭載したデュアル端末携帯、PCアプリケーションが使えるスマートフォン、フルブラウザ搭載の携帯電話など、音声通話のツールの多機能化にIPが不可欠な現状を示した。
放送の世界では、放送機器のデジタル化にともなって、Linuxで制御される機器も増えており、IP接続を前提とした機能を搭載した編集機器などIPネットワークを通じた技術レベルでの「通信と放送の融合」が進んでいる。
放送現場のIP活用実績に、NHKによる「新潟の地震報道」と「@ヒューマン」の例を紹介した。NHKは災害時の中継にIP伝送を活用したり、視聴者参加型の新番組にIPを利用しているという。その中で古川氏は、「NHKでは、放送のバックアップ回線にIPを使っており、一度、本回線が落ちてバックアップに切り替わった時、2コマ落ちたことがあった。しかしNHKの人は気付かなかった。」というエピソードも語ってくれた。
IPネットワークのいいところは、他の回線でカバーできる。専用線だと切れたら修復されるまで使えないのでこうはいかない。@ヒューマンは、NHKの番組だが、バックパックにすべての中継機材を積んでいて、ADSLのモデム、FTTHがあるところでインターネットに繋いでしまうのだという。「これらの技術により、ワークフロー、仕事のスタイルが変わってきている。」と語る。
テレビの世界では、プラズマテレビ、液晶テレビにもIP技術が使われている。インテルが提唱しているホームエンターテインメント向けパソコンのプラットフォーム規格に「Viiv」がある。古川氏は、「Viiv見て一番驚いたのは、自分が見ているテレビがSD対応かHD対応かという情報を送ると、送り出し側で自動的に判断して、視聴者のテレビにふさわしい映像を流してくれることには感動した。」という。その理由として、今まではどのくらいの品質で流せるかということに着目されていたが、ユーザが持っているテレビに合った最高の品質で提供してくれる便利さを挙げる。
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