
個社支援の蓄積を、地域企業同士が学び合い、共に実践する仕組みへ
公益財団法人北九州産業学術推進機構(FAIS)は、「日本DX大賞2026」の支援部門において、応募プロジェクト「個社のDXから地域のDXへ-北九州地域DX共創モデルの構築」により、奨励賞を受賞しました。

本プロジェクトは、これまでFAISと北九州市が進めてきた地域企業への個社DX支援を土台として、企業同士が課題や実践知を持ち寄り、学び合いながら次の取り組みを生み出す「地域DX共創モデル」の構築を目指したものです。
FAISでは、今回の受賞を、個々の企業の成果に加え、地域内で主体的に活動する人や団体が生まれ、DXの実践が地域内で循環し始めていることへの評価と受け止めています。
個社DXの成果が生まれる一方、地域全体への広がりが課題に
北九州市およびFAISでは、2020年に開設した北九州市デジタル相談窓口をはじめ、専門家派遣や各種支援制度等を通じて、地域企業のデジタル化・DXを支援してきました。

<北九州市・FAISによるDX支援施策概要>
これまでに約500社から相談を受け、80名を超える専門家と連携して支援を実施しています(2026年3月末時点)。その中からは、経済産業省「DXセレクション」の受賞企業や、業務効率化にとどまらず、新たなサービス・事業の創出に至る事例も生まれています。
一方、地域全体を見ると、DXに取り組む企業と、まだ一歩を踏み出せていない企業との二極化が課題となっていました。
北九州市内には多数の中小企業が存在しており、個別伴走による支援だけで地域全体に働きかけることには、支援人員や予算の面でも限界があります。
そこでFAISは、「一社をどのように支援するか」に加え、「地域の中で企業同士が学び合い、前進できる状態をどのように増やすか」という視点から、支援の仕組みそのものを見直しました。
地域DX共創事業「DX LAB KTQ」
FAISは2024年度から、地域DX共創事業「DX LAB KTQ」を実施しています。
本事業では、単発のセミナーやイベントを実施するだけではなく、
「地域の実践を知る」「主体的な共創活動を始める」 「生まれた実践を地域へ共有する」
という一連の流れを設計しています。

主な取り組みは次のとおりです。
北九州DXツアー
地域内でDXに取り組む企業の現場を訪問し、設備や仕組みを見るだけでなく、「どこから始めたのか」「現場をどのように巻き込んだのか」「実際にどのような効果があったのか」といった実践の過程を共有します。
参加企業にとって、自社でも取り組める可能性を具体的に考える機会となっています。

1.HAGUKUMI-ともに進める地域DXプログラム
「地域でこのテーマを進めたい」「他の企業や実践者と取り組みたい」という思いを持つ人や団体を支援するプログラムです。
少額の活動費に加え、人的ネットワークの形成、参加者募集、広報、活動の進め方などを支援し、最初の一歩を踏み出すきっかけづくりと、その後の活動継続を後押ししています。

地域内に9つの共創団体が誕生
これまでの取り組みを通じて、共創関連イベント等には2025年度末までに延べ591人が参加し、9つの共創団体が形成されました。
活動テーマは、IoT、生成AI、スマートファクトリー、サイバーセキュリティ、健康経営、介護現場における3Dプリンター活用、人材育成など、多岐にわたります。
これらはFAISが一律にテーマを設定したものではなく、地域企業や実践者自身の問題意識から立ち上がった活動です。
最大の成果は、イベントの参加者数だけではなく、地域の中で「この課題を一緒に考えたい」と主体的に動く人や団体が生まれたことにあります。
交流にとどまらず、業務提携や導入へ
共創活動からは、ビジネスマッチングや小規模な実証・PoCなど、10件の実践が生まれています。

具体的には、北九州DXツアーの訪問企業同士による新たな業務提携、視察先で活用されていたサービスの参加企業への導入、共創活動の中で開発されたIoTサービスのテスト導入などにつながっています。
また、共創活動から生まれた製品・サービスは、市内4社、市外2社に導入されました。
さらに、共創活動への参加をきっかけとして、自社のDXを本格的に進めるため、あらためて北九州市デジタル相談窓口を利用する企業も生まれています。
企業同士の交流が、課題の具体化、実証、導入、個社支援へと循環し始めています。
3.地域DXの方向性を「地域DX推進レポート」として整理
FAISでは、地域DXを一過性の事業として終わらせず、地域として目指す姿を共有するため、産学官金言の有識者による「地域DX推進懇話会」を開催しました。
その議論を踏まえて発行した「地域DX推進レポート」では、北九州地域におけるDXの現状と課題、目指す姿、取り組みの方向性に加え、行政、支援機関、企業、大学、金融機関、メディア等に期待される役割を整理しています。

制度や単年度事業だけに依存するのではなく、地域内で実践が共有され、主体が生まれ、次の挑戦につながる仕組みを地域に残すことを目指しています。
今後について
個社DX支援は、今後も地域企業の課題解決や事業変革に欠かせない取り組みです。一方、地域DXを持続的に進めるためには、公的支援機関だけではなく、地域内で互いに学び合い、主体的に前進する企業や実践者の存在が必要です。
FAISは今後も、個社支援と地域内の共創活動を相互につなぎながら、地域企業が新たな実践を始めやすく、その成果が地域内外へ広がっていく環境づくりを進めます。
今回の受賞を契機として、北九州で得られた知見や事例を広く発信し、他地域の支援機関等とも共有してまいります。
担当者コメント
今回の受賞は、FAISだけの取り組みに対するものではなく、DXの実践を公開してくださった企業、課題を持ち寄り共創活動に取り組んでくださった皆様、地域DX推進について議論いただいた関係者の皆様によって生まれたものです。
地域DXに必要なのは、情報や制度だけではなく、地域内で一緒に進められる関係性であると考えています。
個社のDXから、地域のDXへ。今回の受賞を一つの節目として、地域内で主体的な取り組みが生まれ続ける仕組みを、今後も皆様とともに育ててまいります。
公益財団法人北九州産業学術推進機構 ロボット・DX推進センター マネージャー 糸川 郁己
受賞概要
名称:日本DX大賞2026
受賞部門:支援部門
受賞名:奨励賞
受賞プロジェクト:個社のDXから地域のDXへ-北九州地域DX共創モデルの構築
受賞団体:公益財団法人北九州産業学術推進機構
表彰日:2026年7月22日
主催:日本DX大賞実行委員会
地域DX共創事業「DX LAB KTQ」について
地域企業同士が互いの課題や実践知を持ち寄り、学び合いながらデジタル化・DXを進める環境の形成を目的としたFAISの事業です。
北九州DXツアー、共創ワークショップ、HAGUKUMIプログラム、地域DX推進フォーラム、事例発信等を通じて、共創主体者の発掘、共創活動の促進、共創事例の地域への波及に取り組んでいます。
公益財団法人北九州産業学術推進機構本件に関するお問い合わせ、取材のお申し込みは下記までお願いいたします。
公益財団法人北九州産業学術推進機構(FAIS) ロボット・DX推進センター
担当:世良、糸川、奥尾
Mail: [email protected] TEL:093-695-3077
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