三機工業株式会社(社長:石田 博一)は、総合研修・研究施設「三機テクノセンター」内に、極低湿度環境試験室を構築し、2025年5月から本格運用を開始しました。
■背景と目的
近年、次世代電池の開発が世界規模で進められています。中でも、車載用電池分野をはじめとした多くの分野への活用が期待されている「全固体電池」には開発投資が活発で、注目を集めています。
全固体電池の製造ラインでは、極めて低い湿度環境が要求されます。製造室内の水分を除去するためには、シリカゲルやゼオライトなど、水分を吸着する物質を使用する除湿ローターを搭載した除湿機が用いられますが、除湿ローターから水分を取り除く際に消費するエネルギーが非常に大きく、省エネルギーへの要求が高まっている電池工場においては大きな課題でした。
当社はこれらの社会的要請に応えるべく、極低湿度な環境かつ省エネルギーを実現する環境設備の開発に取り組むため、本試験室を構築しました。

構築した極低湿度環境試験室写真(左:テストルーム外観、右:低露点ブース外観)
■開発内容と成果
本設備ではテストルーム用除湿機と低露点ブース用除湿機の2台で構成されています。各ルームで湿分発生がない状況で、低露点ブースは-80℃露点以下、テストルームは-40℃露点以下の環境となります。
今回構築した本設備では以下について確認・検証を可能としました。
- 除湿機の循環除湿と2台の除湿機を連結した除湿
- テストルーム用除湿機の循環運転と全外気運転
- 低露点ブースの扉開閉が露点温度に及ぼす影響
- テストルーム内露点温度目標に対する除湿機制御方式の変更
- 低露点ブース用除湿機の排気をテストルーム用除湿機で再利用
- 既製品空調機の能力検証
- 除湿機内部、除湿機とテストルーム間のダクト、各ルーム内に露点温度計測器を設置。各設備の電力量計測器も設置。
各運転条件が露点温度に及ぼす影響、及び設備のエネルギー消費量を「見える化」することで、低湿度環境の運用における省エネ技術の開発を進めてまいります。
また、本試験室の活用により当社独自技術を確立し、次世代電池の開発・製造を推進する自動車業界をはじめ、極低湿度環境を必要とする顧客への営業展開を拡大してまいります。

構築した極低湿度環境試験室の空調システムフロー
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