
IBMは本日、AI アクセラレーション内蔵の IBM Telum(TM) II プロセッサーを搭載した、データ、アプリケーション、信頼できる AI 向けの高性能 Linux コンピューティング・プラットフォームであるIBM(R) LinuxONE 5 を発表しました。これは、企業のテクノロジー・リーダーが、セキュリティーの実現、コスト効率の向上、企業システムへのAIの統合という3つの重要課題を重視する極めて重要な時期に発表されました。
現代のニーズに対応するセキュリティーの構築
IBM LinuxONEの第5世代であるIBM LinuxONE 5は、IBMのサイバーセキュリティーとプライバシーに対するエンドツーエンドのアプローチを拡充し、お客様のコンプライアンス施策の支援を簡素化しながら、ゼロトラストを新たな高みへと引き上げます。
LinuxONE 5は、コンフィデンシャル・コンピューティング、広範な暗号帯域幅、米国立標準技術研究所(NIST)に準拠した耐量子暗号アルゴリズム、最先端のハードウェア・セキュリティー・モジュールにより、ワークロードとデータをエンドツーエンドで保護する優れたソリューションです[1]。この高度なセキュリティー・レベルは、ポスト量子時代の「今すぐデータを収集し、後で解読する(harvest-now, decrypt-later)」攻撃など、既存の脅威や新たな脅威への対応に役立ちます。
これらの機能は、機密情報が含まれていることが多く、競争上の差別化の鍵となり得るお客様の AI モデルやデータを保護する上で重要な役割を果たします。機密コンテナは、Red Hat(R) OpenShift(R) Container Platformを使用して、AIやその他のシナリオで使用されるデータの保護に役立ちます。 さらに、IBM Vault Self-Managedと統合することで、ハイブリッド環境全体でシークレット管理 (パスワード、APIキー、証明書、トークンなど、機密情報を安全に管理・保護するプロセス)を提供できるように設計されています。
最新のITのためのコスト効率
この新システムは、コスト、スペース、エネルギーの課題に対処できるように設計されています。たとえば、企業は、複数のサーバーに分散しているワークロードを単一の大容量システムに統合することで、運用の複雑さを軽減し、ITインフラストラクチャーを最適化することができます。クラウドネイティブでコンテナ化されたワークロードを、同じソフトウェア製品を実行するIBM LinuxONE 5に移行することで、x86ソリューションと比較し、5年間で総所有コストを最大44%削減できます[2]。
成功事例の一つとして、スペインのバルセロナ港は、複雑さが増し、エネルギーを大量に消費する物流および運用システムの管理という課題に直面していました。ミッション・クリティカルなシステムをIBM LinuxONEに統合することで、同港はエネルギー消費を削減し、将来の成長に備えることができました。
LinuxONE 5は、最大99.99999999%(エイト・ナイン)の可用性[3] を実現するように設計されており、事業継続性と運用リスクの低減に貢献するとともに、増大するワークロード需要へ対応できるよう支援します。これは、CIOが、データを集約し、AIを活用するというビジネスのニーズを満たすために予算とデータセンターのキャパシティーを拡張する方法を模索している今日、非常に重要なことです。
AIが組み込まれ、より良い結果をもたらすように設計
IBM LinuxONE 5の中核をなすIBM Telum IIプロセッサーには、第2世代のオンチップAIアクセラレーターが搭載されています。IBM Telum IIプロセッサーは、予測AIとLLMを拡張し、リアルタイムでの大量のトランザクション処理をより正確かつ高精度に実行できるように設計されています。
IBM Spyre(TM)アクセラレーターは、PCIeカードを介して2025年第4四半期に提供予定で、Telum IIプロセッサーを補完する追加の生成AI機能を提供します。 生成AIアプリケーションに加え、新しいマルチモデルAIアプローチは、高度な不正検出、画像処理、小売の自動化など、多くの業界のユースケースにおける予測と精度を高めるように設計されています。
開発者の生産性とAI導入をサポートするために、IBM LinuxONE向けAIツールキットが更新され、Telum IIプロセッサー向けに最適化されました。
今回の発表では、IBM LinuxONE 5 上での Red Hat(R) OpenShift(R) AI と Red Hat(R) OpenShift(R) Virtualization のテクノロジー・プレビューに重点を置いています。現在、Red Hat OpenShift Virtualization Technology Preview では、お客様は Red Hat OpenShift Container Platform 上の統合されたインターフェースを通じて、従来の VM とコンテナ化されたワークロードの両方を管理することを検討し、試すことができます。Red Hat OpenShift AI を使用すると、お客様は標準モードでのみモデルをデプロイでき、vLLM ランタイム・テンプレートを使用することができます。一般提供に関する詳細は、今後数カ月以内に発表する予定です。
エコシステム主導でのイノベーションと成長
IBM LinuxONEエコシステム・プログラムに参加するISV企業(独立系ソフトウェア・ベンダー)は、LinuxONEのAIと暗号化を活用した用途別のソリューションを提供し、オープンソース・コミュニティーは、シームレスな統合のための柔軟で拡張可能なツール群を提供します。また、IBMパートナー・ネットワークでは、LinuxONEを中核としたモダナイゼーション、統合、AIイノベーションを支援するスキルを提供する数百社の再販パートナー企業で構成されています。IBM LinuxONEは、Canonical社(Ubuntu開発支援パートナー)やSUSE社といった複数の企業とのパートナーシップを通じて、さまざまなLinuxディストリビューションをサポートしています。
次の展開への備え
IBM LinuxONEの機能はすべて、IBM Technology Lifecycle Servicesによってサポートされています。IBM LinuxONE Expert Careは、24時間365日のハードウェア・モニタリングと迅速な問題解決を提供し、ソフトウェアのサポート・サービスにはRed Hat、SUSEなどが含まれています。
IBM LinuxONE 5は、IBMのLinuxインフラストラクチャー戦略の次の進化形です。お客様が、データセンターの最適化、運用の簡素化、リスクへの対応を実現しながら、LinuxとAIの可能性を最大限に引き出すことができるように設計されています。インテリジェント・アプリケーションの構築、規制対象のワークロードの展開、インフラストラクチャーの統合、次の変革の波への準備など、IBM LinuxONEは飛躍的な進化への道筋を提供します。
IBM LinuxONE 5の詳細について
2025年5月13日(火)10:00 AM (米国東部夏時間)に、IBM LinuxONE 5 を支えるテクノロジーを紹介するオンライン・イベント「LinuxONE: Unlocked」を開催します。ご登録はこちらから可能です。イベント終了後、オンデマンドでリプレイをご覧いただけます。
詳細はこちら: ibm.com/linuxone-5
当報道資料は、2025年5月6日(現地時間)にIBM Corporationが発表したブログの抄訳をもとにしています。原文はこちらを参照ください。
免責事項
1 https://research.ibm.com/blog/nist-pqc-standards
2 免責事項:IBM(R) 社内におけるコア統合に関する性能テストでは、以下のサーバーを比較対象としました。IBM Machine Type 9175 MAX 136 システムは、136 個のコンフィギュラブル・プロセッサー・ユニッ トを搭載した 3 つのCPC ドロワーと、ネットワークと外部ストレージの両方をサポートする 6 つの I/O ドロワーで構成されています。x86ソリューションは、第5世代Intel(R) Xeon(R) Platinum 8592+プロセッサーを2基搭載し、CPUあたり64コアの市販エンタープライズサーバーを使用。どちらのソリューションも同じストレージにアクセスできます。ワークロードは、Red Hat OpenShift Container Platform (OCP) v4.17 上で実行されるコンテナ化されたオンライントランザクション処理 (OLTP) WebSphere Liberty v25 アプリケーションと、同じ OCP クラスタ上の EDB Postgres for Kubernetes v1.25 で構成され、コアオンラインバンキング機能にて検証しました。どちらのソリューションも Red Hat Enterprise Linux v9.5 と KVM を使用しました。結果は異なる場合があります。
テスト結果は、本番環境と非本番環境を分け算出しました。TCOには、ソフトウェア、ハードウェア、エネルギー、ネットワーク、データセンター・スペース、および人件費が含まれます。IBM z17側では、IBM z17 Type 9175 MAX 136が1台に対して、x86側では、23台のサーバーが必要であるという比較計算結果が出ました。
3 免責事項:期待値の計算には、測定および予測に基づく IBM 内部データを使用しました。必要なコンポーネントには、IBM LinuxONE Emperor 5、RHOCP 4.14 以上を実行するシングル・システム・イメージで収集された IBM z/VM V7.3 以降のシステム、IBM Operations Manager、メトロ・マルチサイト・ワークロードおよび GDPS Global を含む、メトロ・ディスタンス・システムおよびストレージにわたるデータ復旧および仮想マシンの復旧を管理するための GDPS 4.6 以上、および IBM HyperSwap を備えた IBM DS8000 シリーズ・ストレージが含まれます。また検証データベースはMongoDB v4.4を使用しました。z/VM Single System Image クラスタリング、GDPS xDR Proxy for z/VM、ローカル・ストレージ・デバイスの管理用の Red Hat OpenShift Data Foundation (ODF) 4.14 以上など、必要なレジリエンシー技術を有効にする必要があります。アプリケーションに起因する停止は、上記の測定値には含まれません。その他の構成(ハードウェアまたはソフトウェア)は、可用性特性が異なる場合があります。
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