日本では「J.Y.Park」として知られるJYPエンターテインメント創業者パク・ジニョンが、韓国国会の国政監査に証人として出席した。
ただし、これはパク・ジニョンが何らかの犯罪容疑で捜査を受けているという話ではない。
【画像】「おふざけが過ぎる」TWICEの“J.Y. Parkモノマネ”
現在、彼はJYPエンターテインメントのCCOを務める一方、大統領直属「大衆文化交流委員会」の共同委員長でもある。
その共同委員長として関わる大型K-POPイベント「FANOMENON」をめぐり、「特定の大手芸能事務所に有利な仕組みになっていないか」「公的な立場とJYPの利害が近すぎないか」といった疑問が国会で問われているのだ。
そもそも「FANOMENON」とは何か
FANOMENONは、2027年12月に開催予定の大型K-カルチャーイベントだ。
K-POPコンサート、ファンダムを対象とした表彰式、Kカルチャー企業による展示や体験プログラムなどを組み合わせた構想で、HYBE、SMエンターテインメント、YGエンターテインメント、JYPエンターテインメントという韓国の大手4社が参加する。

パク・ジニョンは10月7日の国政監査で、「FANOMENON授賞式とフェスティバルは、そのプロジェクトの性格上、民間主導で進めることが正しいという結論になった」と説明した。
4社が同額を出資し、同じ議決権を持つイベント専用の法人を設立して準備を進めるという。
一方、この枠組みには以前から「なぜ4大事務所だけが中心なのか」という疑問が出ていた。
実際、韓国の音楽関係者からも「中小事務所が排除されるのではないか」「公募もなく4大事務所中心で進むことに問題はないのか」という懸念が示されている。
これに対し、パク・ジニョンは国政監査で、「FANOMENONを開催する際、もし各事務所の所属歌手たちがそれぞれ別々に公演を行えば、2~3倍の収益を上げることができる。それを諦めるのは非常に大変なことだ」とし、「YG、SM、HYBEに一緒にやろうと持ちかけるのも本当に大変だった。これは数百億ウォン(数十億円)規模の損失が生じ得ることだ」と反論した。
ただ、国会側が問題視しているのは、利益の大小だけではない。政府が関わる大型K-POPプロジェクトで、なぜJYP、SM、YG、HYBEの4社が中心になったのか。その選定過程や構造の透明性も問われている。
最大の火種は「JYP単独名義の商標」
なかでも大きな問題となったのが、FANOMENONの商標権だ。
政府側の委員会が関わるプロジェクトであるにもかかわらず、アメリカや日本、さらにメキシコでも「FANOMENON」や関連名称の商標がJYPエンターテインメント単独名義で出願されていたことが明らかになった。
メキシコでは「FANOMENON」だけでなく、表彰式関連の「FANDEMONIUM」についてもJYP名義で複数の出願が行われ、一部はすでに登録されている。
ここから、「政府と一緒に進めるプロジェクトなのに、なぜJYPだけが権利を先に押さえているのか」という疑念が生まれた。
パク・ジニョン側の説明は明確だ。
第三者に先に商標を取得されるのを防ぎ、名称を迅速に保護するため、JYPエンターテインメント名義で先に手続きを進め、最終的な担当主体が決まれば権利を移す予定だとしている。
文化体育観光部側も、最終的には政府側と4大事務所による法人が、商標権を50%ずつ保有する構造にする方針を説明している。
つまり現時点で、「JYPが商標権を私物化した」と確定したわけではない。ただし、公的な役職にあるパク・ジニョンが関わる事業で、なぜ最初の商標権取得がJYP単独名義だったのか。その手続きの透明性が問題視されている。
「1兆ウォン経済効果」は本当に可能なのか

さらに、FANOMENONをめぐっては経済効果の数字にも疑問が出ている。
政府側は、イベントによって約1兆ウォン(約1181億4000万円)規模の経済効果が期待できるとしている。
ところが、韓国文化観光研究院の中間推計では、外国人観客の比率や1人当たりの消費額によって結果が大きく変わる。
特に外国人観客の消費額については、BTSの『ARIRANG』ツアーのデータを参考にしていることが明らかになった。外国人比率を低く設定した場合、生産誘発効果は約7233億ウォン(約854億5000万円)まで下がるという。
つまり、BTSほど強力な世界的ファンダムが確認されている公演の消費パターンを、まだ観客構成や消費規模が検証されていない新規イベントに当てはめてよいのか、という疑問だ。
これはパク・ジニョン個人の不正疑惑というより、国がK-POPを成長戦略として打ち出す際に、どこまで根拠のある数字を示せるのかという政策上の問題に近い。
なぜパク・ジニョン本人が証人なのか
では、なぜパク・ジニョン本人が国会に出る必要があったのか。最大の理由は、彼が二つの立場を持っているからだ。
一つは、大統領直属・大衆文化交流委員会の共同委員長。もう一つは、FANOMENONに参加するJYPエンターテインメントのCCOだ。
言い換えれば、公的な立場でプロジェクトに関わる一方、同時に参加企業JYPの中心人物でもある。この構造だからこそ、利益相反がないのか、JYPや大手4社に有利な仕組みになっていないのかを国会が確認している。
なお、パク・ジニョン自身は出席に消極的だったわけではない。
前日には、単なる参考人ではなく、虚偽証言なら責任を問われ得る「証人」として出ることで、自身が公益目的で動いていることを説明したいという趣旨の発言もしている。
今回の国政監査で問われているのは、パク・ジニョンが「悪いことをしたのか」という単純な話ではない。
韓国政府がK-POPを国家戦略としてさらに活用しようとするなかで、HYBE、SM、YG、JYPという巨大な民間企業と、どこまで近い距離でプロジェクトを進めていいのか。そして、その過程をどこまで透明に説明できるのか。
FANOMENONをめぐる論争は、パク・ジニョン個人だけでなく、「国家とK-POP大手の距離はどこまで近づいていいのか」という、今後も繰り返し問われそうな問題を浮かび上がらせている。
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