K-POPイベントに参加した歌手Adoをめぐる騒動が、収まらない。
所属事務所の代表による声明を受けて、むしろ再び波紋を広げている。
発端は、9月22、23日に埼玉県のベルーナドームで開催された音楽イベント「INKIGAYO LIVE in TOKYO」だ。韓国SBSの音楽番組『人気歌謡』を母体とするイベントで、2日目の大トリを務めたAdoに対し、一部のK-POPファンから不満が噴出した。
出演者全員によるフィナーレが行われず、Adoの『おどるポンポコリン』で公演が締めくくられたことなどが、その理由だ。
そして9月26日、Adoが所属するクラウドナインの千木良卓也代表が、自身のSNSで長文の声明を発表した。
ところが、今度は声明の内容そのものをめぐって議論が広がっている。
Ado事務所代表「出演を決めたのは私」
千木良代表はまず、イベントの観客に感謝を伝え、Adoの近況について「彼女は大丈夫になったのでぜひ落ち着いて静観なさってください」と報告した。

続いて、今回の出演に至った経緯を次のように説明している。
「今回のイベントはK-POPと日本アーティストを一堂に会したいという運営からのお誘いで出演させて頂きました。その思いを受け取り、出演の最終判断をしたのは私です」
また、Ado本人も韓国のファンに日本を知ってもらい、自身のファンには素敵なK-POPを聴いてもらいたいという思いで出演したと明かした。
つまり、今回の出演は運営側からの提案を受けたものであり、最終的な出演判断は事務所代表が下したという説明だ。
そのうえで千木良代表は、「アーティストを守るため、意見ではなく誹謗中傷と見受けられる発言に関しては順次事務所としても対応させて頂きますので、もし発見された方がいましたら以下にご報告お願い致します」と呼びかけた。
そして「優しさと思いやりに溢れる世界になりますように」と付け加えている。
「謝罪より先に法的措置?」声明にも賛否
この投稿は大きな注目を集めたが、反応は一様ではなかった。
Adoの近況を気遣い、事務所が本人を守ろうとする姿勢を支持する声がある一方、イベントに不満を抱いた観客からは、別の疑問も上がっている。
「事務所や運営側からファンの人たちに謝ったらどうです?」「それが本筋だと思いますよ。だってアーティストは悪くない」という声だ。
クラウドナインは同日、公式サイトでも所属アーティストへの誹謗中傷等に関する声明を発表。法的措置を含む対抗策を講じる方針を明らかにしている。ただ、法的対応への言及についても、観客からの批判まで封じられるのではないかと懸念する投稿が見られた。
あるユーザーは、人格攻撃や度を超えた中傷は認められないとしたうえで、「『K-POPイベントには合わないと思った』『檻のセットが邪魔に感じた』『双眼鏡まで禁止は困る』『フィナーレを見たかった』という批評まで誹謗中傷扱いするのは違う」と訴えている。
ただし、千木良代表はあくまで「意見ではなく誹謗中傷と見受けられる発言」を対応対象としている。公演に対する一般的な批判をすべて取り締まると表明したわけではない。

それでも、出演の経緯は説明された一方、観客が抱いた不満には十分に答えていないと受け止める人もいるようだ。
観客に残された疑問
では、そもそも観客は何に不満を抱いていたのか。
大きな論点のひとつが、2日目だけ出演者全員によるフィナーレが行われなかったことだ。
初日は最後に出演者たちがステージへ登場したのに対し、23日はAdoのステージで公演が終了。推しの再登場を楽しみにしていたファンからは、落胆の声が上がった。一部では「Adoのせいでフィナーレがなくなった」とする声も広がったが、そうした因果関係が公式に説明されたわけではない。
また、韓国の音楽番組を母体とするイベントで、なぜ日本人アーティストのAdoが大トリを務めたのかという疑問も残っている。最後に披露された『おどるポンポコリン』についても、「なぜこの曲で締めくくったのか」と戸惑う声が出た。
もちろん、今回の公演にはAdo以外にも日本人アーティストが出演しており、K-POPだけのイベントではなかった。主催者の発表でも、日韓双方のアーティストが参加する公演として案内されていた。
それでも、出演者全員によるフィナーレを期待していた観客にとって、2日目の終わり方が納得しにくいものだったことは、SNS上の反応からも伝わってくる。
あるユーザーは、Adoのファンであると明かしたうえで、「最後のフィナーレがなくなったのは残念でした。しかしそれ以上にファン同士の争いの方が見ていて辛いです」と投稿している。
Adoの出演そのものへの批判と、公演全体の構成に対する不満は、本来分けて考える必要がありそうだ。
韓国でも報道、しかし主催者は沈黙
Ado側の声明は韓国でも報じられた。
9月28日、韓国メディア『ニュースエン』は「K-POPコンサートに出演して批判された日本歌手、ついに所属事務所代表が登場」との見出しで記事を掲載した。本紙『スポーツソウル』も「K-POPコンサート出演騒動の日本歌手、所属事務所代表が自ら説明…『最終決定は私がした』」と報じている。
両メディアとも、代表が出演の経緯を明かし、Adoを守る姿勢を示したことを中心に伝えた。

ただ、ここで気になるのが、イベント主催者側の対応だ。
「INKIGAYO LIVE in TOKYO」の主催者は、公式サイトに記載された「INKIGAYO LIVE in TOKYO 実行委員会」。9月28日10時現在、2日目にフィナーレが行われなかった理由や、公演の構成をめぐる判断について、公式な説明は確認できていない。
Ado側は、運営からの出演依頼を受け、事務所代表が最終判断したと説明した。しかし、出演順やフィナーレの実施といった公演全体の構成については、主催者側が最終決定すると考えるのが自然だろう。
SNSに寄せられた「そもそもなんでフィナーレがないことを教えてくれなかったのか」という疑問は、依然として残っている。
騒動が始まってから、Ado本人への批判、ファン同士の応酬、そして所属事務所代表の声明へと、話題の焦点は次々に移ってきた。

今回、Ado側は出演の経緯を説明し、アーティストを守る姿勢を示した。しかし、観客が抱いた疑問のすべてに答えが出たわけではない。
なぜ2日目には全員参加のフィナーレがなかったのか。なぜAdoが大トリを務め、最後に『おどるポンポコリン』が披露されたのか。いずれも公演全体の構成に関わる問題であり、出演者個人への批判だけでは答えの出ない疑問だ。
Adoの所属事務所が口を開いたことで、今度は主催者側の説明がないことが際立つ形となった。
はたして今後、主催者側から何かしらの説明があるのか。観客が抱いた疑問が置き去りにされたままでは、今回の騒動はまだ収まりそうにない。



