韓国警察が、BTSをはじめとする人気アーティストが所属する大手芸能事務所HYBE(ハイブ)の創業者パン・シヒョク氏に対する不正取引疑惑の捜査を本格化させた。
ソウル警察庁金融犯罪捜査隊は7月24日午前9時頃から、ソウル・龍山(ヨンサン)区に位置するHYBE本社を含む複数の関係先を対象に家宅捜索を実施。パン氏が自社株の取引に際し、当時の投資家に対して虚偽の情報を提供し、不当な利益を得ていた疑いがあるとみて関連資料を押収した。
問題とされているのは、HYBEが2019年にIPO(新規株式公開)を準備していた時期のやり取りだ。警察や金融監督当局によると、パン氏は一部のベンチャーキャピタルなどの既存株主に対して「上場の予定はない」と説明。その結果、信頼した投資家が株式を手放し、パン氏と関係の深い人物が設立した私募ファンドがこれを取得したとされる。
さらに、そのファンドとパン氏の間には、株式上場後に得た利益の一部を分配する契約が結ばれていたことも確認された。この契約内容は、本来であれば開示義務のある証券申告書に記載されておらず、意図的な情報隠蔽の可能性が指摘されている。

金融当局の試算では、パン氏が上場後に得た利益は数千億ウォン(数百億円)規模にのぼるとされる。こうした疑惑を受け、金融委員会傘下の証券先物委員会は今月16日、パン氏およびHYBEの元役員ら計3人を資本市場法違反(不正取引行為)容疑で検察に告発した。
今回の強制捜査は、翌17日に警察が捜索令状を申請し、裁判所がこれを発付したことによるもの。今後の捜査では、関与者の範囲、契約内容の違法性、株式売買の経緯などについて詳しく調べが進められるとみられる。