NECの次世代ネットワーク技術アラカルト——QoS、WiMAX、パソリンクNEO、etc…(動画付き) | RBB TODAY
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NECの次世代ネットワーク技術アラカルト——QoS、WiMAX、パソリンクNEO、etc…(動画付き)

エンタープライズ その他
ハイビジョンのネットワーク送信に貢献するQoS技術:QoS制御なし(左)とQoS制御あり(右)の比較
  • ハイビジョンのネットワーク送信に貢献するQoS技術:QoS制御なし(左)とQoS制御あり(右)の比較
  • NGN運用管理ソリューション(iNetWorX):全国のルータをここで一括制御できる
  • WiMAXソリューション:高速な無線通信を実験映像で紹介
  • アクセス無線ソリューション:モジュール化で幅広い規格に対応するパソリンクNEO
  • モバイルバックホールソリューション:無線ネットワークでQoSを実現するソリューション
  • MRFソリューション:携帯電話によるテレビ会議を実現する
  • MRFソリューション:携帯電話によるテレビ会議を実現する
  • 最先端光デバイスの技術説明
 NECは我孫子事業場にて自社のNGN(次世代ネットワーク技術)への取り組みを報道陣に公開した。プレゼンテーションに続き、模擬ネットワークが構築された展示場で次世代技術のデモンストレーションが行われた。インターネット、次世代ネットワーク技術の環境が一部屋に再現されており、すべて自社製品だけ構成されている。NECのフルライン・フルレイヤのラインアップがあればこそできる実験環境だ。

■ハイビジョンのネットワーク送信に貢献するQoS技術

 3月7日付で販売が開始されたNC5000シリーズが実現させる帯域保証制御のデモンストレーション。大型ハイビジョンテレビが2台設置されており、ひとつはQoSあり、ひとつはQoSなしで接続されている。ここに同一の光ネットワーク経由で同じハイビジョン映像をストリーミング配信させる。ここでネットワークトラフィックに負荷をかけると、QoSありの画面はなんら変わりなく映像が再生されている。しかし、QoSなしのほうはブロックノイズが発生する。さらに負荷をかけるとQoSなしの画面は静止してしまった。

 本来ストリーミング放送はUDPで流れており、画面が停まる、乱れるという現象は当たり前のことだった。ユーザ側もハードやネットワークの問題だと諦めざるを得なかった。ゆえに有料映像コンテンツにおいて、安価なストリーミング試聴を諦め、ダウンロード購入やパッケージ購入を選択せざるを得なかった。しかし、帯域保証されたNGNなら、安心してストリーミング放送を楽しめる。これは映像配信事業やテレビ会議システムにとって魅力的な技術である。QoSサービスを受けるためにはインターネットプロバイダー側のNGN機器の導入が必要であり、もしかしたらユーザ側との帯域保証オプション契約が必要になるかもしれない。しかし、安価に提供されるなら、PING値にシビアな対戦アクションゲームのラグ解消に繋がる。QoSはコンシューマレベルでも期待される技術である。

■NGN運用管理ソリューション(iNetWorX)

 全国の拠点に配置されたルータに対して、ネットワークの配送経路情報をグラフィカルに指定できる様子が紹介された。通常はルータ一台ごとに端末を接続し、ルータに設定された経路情報のIPを書き換えるという作業が必要になる。しかしここでは1台のコントロール端末ですべてのルータのコンフィグの設定ができる。マウスで日本列島をポイントし、例えば大阪の情報を北海道経由で東京へ流せ、と指示すると、一斉にコンフィグ情報が送出されて各ルータに設定される。全国に端末を持つ事業者にとっては、保守に関する人的コストを大幅に削減できる。将来的には、現場の保守員がハードの交換などの物理作業だけで済むようになるため、ITスキルの品質を平均化できることになるだろう。

■WiMAXソリューション

 IEEE802.16e-2005に準拠した無線ブロードバンド技術を紹介。もちろ上流から下流までをすべてNEC製品群で構築可能。NEC製品の特徴は高出力ODU技術などを利用した広いカバレッジエリアと高いスケーラビリティ、3G網、Wi-Hi網とのハンドオーバーがスムーズに行われることなどである。展示場には製品のほか、ビデオ画像で実験の様子が紹介された。サーキットを走行するフォーミュラカーにカメラを搭載し、その映像を乱れることなくピットに送り届けていた。このデモはビデオストリーム、Webアクセス、データダウンロードが行われており、1ユーザあたりのスループットは下り6Mbps/上り1.5Mbpsを達成した。

■アクセス無線ソリューション

 固定ネットワークから無線ネットワークへの橋渡しを行う装置「パソリンクNEO」が展示されている。パソリンクNEOはさまざまな仕様の無線ネットワークに対応させるため、屋内ユニットの共通プラットフォーム化を実現。高さ44mmのプラグインモジュール交換により、保守が容易でさまざまな規格のネットワークに対応できる。高速で信頼性の高い無線通信を実現させたことで、従来、同軸ケーブルで行われているラストワンマイルソリューションを代替させる性能を持つ。これは電話通信インフラの整備が途上な国のブロードバンド整備にとって注目すべきシステムだ。現在、パソリンクシリーズは約50万台の累計出荷を達成し、世界122か国の導入実績がある。また、局用交換機とパソリンクの組み合わせによる3Gインフラの導入実績ではNokia陣営と協力関係を築いており、NECとNokiaの合計ではシェア1位のEricssonを超えている。

■モバイルバックホールソリューション

 パソリンクとネットワークの間に設置するソリューション製品CX2600/CX2200シリーズを展示。パケット通信と回線交換の両方に対応し、アプリケーションの種類に応じた最適なスイッチング方式を利用可能とした。2G/3GからオールIPへの進化に対応しTCOを削減できるほか、NEC独自開発のASICによって、リアルタイムQoS制御が可能。モバイル事業者向けのトータルソリューションの要となる製品だ。

■MRFソリューション

 統合メディアコミュニケーションシステムCX8000のデモ。NGNアーキテクチャにおけるメディアリソースとゲートウェイの機能を統合し、既存サービスをNGNへ移行させる手段を提供する。展示場では携帯電話によるテレビ会議を実験した。FOMA端末を使用し、モバイルネットワーク経由でNEC玉川事業場のマルチメディアカンファレンスサーバに接続する。

■最先端光デバイス

 波長可変光源デバイス(フルチューナブルレーザ)のデモンストレーション。プリズムの原理を利用したPLCリング共振器をPCで操作することで、レーザーの波長を自在に変化させる装置。光通信における帯域確保に不可欠な技術で、ネットワークサービスの種類に合わせて効率的に帯域を利用できる。NECはこの技術を1チップに集積し、メカニカル可動機構を廃したことで信頼性を向上した。また、チップを実装後にソフトウェアで制御する方式のため、チップをモジュールに実装する場合に調整の必要がないため、歩留まりが高く低コスト化に貢献できる。デモでは実機による波長変化を波長計で表示し、指定した波長へ簡単に変更して見せた。

 今回の記者発表は主にキャリア向け製品やサービスに特化していた。しかし、QoSによる映像再生やモバイル会議システムなど、コンシューマレベルの新サービス登場を予見させる要素も多かった。NGNにより通信が便利で使いやすくなる。NECはその旗手として君臨し、私たちに大きな期待を抱かせてくれそうだ。



測定器による変調の様子(動画):変更を指示すると、いったんすべての波長をリセットした後で指定された波長に集約される
《杉山淳一》
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