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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
【AOGC2007】オンラインゲーム内コミュニティの活性化戦略−ジークレスト 代表取締役社長 兼 CEO 長沢潔氏
3月1日
ジークレスト 代表取締役社長 兼 CEO 長沢潔氏
AOCG2007、ジークレストの長沢氏による講義は、オンラインゲーム内でコミュニティーを活性化させる方法について。現在、インターネットを取り巻く環境が大きく変わっているなかで、オンラインゲーム内でコミュニティーが発生する状況も変化している。それに伴い、ビジネスのやり方にも変化が必要な時代である。長沢氏が特に注目しているのは、いわゆる「Web2.0」と呼ばれるインターネットメディアの影響力が強大になっている状況。最王手SNSである「mixi」や、Web2.0という言葉が生まれる前から存在していた「ヤフーオークション」を例に挙げた。このふたつのメディアが万人に広く受け入れられている現在、オンラインゲームも変化が求められる時代だと言う。
オンラインゲームの流れはインターネットを取り巻く環境によって変化してきていると語る
普段からインターネットを使っているユーザーは、Web2.0時代のいま、ネット上でなんらかのアクションを行なうときの意識が変わってきている。それは、インターネット環境が速いスピードで進化しており、ユーザーのリテラシーが向上しているからだ。長沢氏が最近特に感じることは、「個人メディアの台頭」と「情報共有の簡略化」であると述べた。
個人メディアの台頭とは、いわゆるBlogのこと。情報を発信するだけでなく、アフィリエイトを通じてビジネスを行なっているユーザーも少なくない。この動きは今後も加速するのではないかと推測する。そしてふたつ目の情報共有の簡略化とはSNSを指す。自分が欲しい情報を、自動的にたやすく得られるようになっている。また、欲しい情報を得ようとする場合、多くの場合は「検索エンジン」を使用するだろう。検索エンジンはそのものの検索精度が上がっているが、ユーザー側も使い方に慣れてきている。これに加え、もしユーザーがある商品を欲しいと思ったときは、検索エンジンではなく「比較サイト」を使うのも一般化してきている。ユーザーの評判を見ながら自分に適しているサービスを簡単に得られるのだ。
このような状況から、消費者の行動は以前言われていた「AIDMA」から「AISAS」へと変わってきている。
AIDMA = Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Memory(意識)、Action(行動)
AISAS = Attention(注意)、Interest(関心)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)
いままでのマーケットの常識であればAIDMAが一般的であったが、インターネットの普及により変化が生じた。AISASのふたつの「S」がそれを表している。「検索」によってそのサービスを調べる行動が大きく変わり、個人メディアの台頭と共に商品の感想を「共有」しやすくなっているためだ。
長沢氏は以上のような考察を踏まえて、これらの環境とオンラインゲームの関連性について講義を続けた。
オンラインゲームの市場規模は現在も拡大している。会場のスクリーンには2004年と2005年の市場規模の資料(オンラインゲームフォーラムより)が映し出された。会員数の伸びは一年間で150%の増加を示している。長沢氏の見解では、この増加分のユーザーの大部分は新規のユーザーであると言う。その理由は、突然大勢のコアゲーマーが増えたとは考えにくいからである。また、環境の向上によって、いままで遊べなかった人たちもオンラインゲームを始めたからではないかと推測した。
続いてOne's Communicationがオンラインゲームユーザーに対して調査した結果を用い、オンラインゲームのコミュニティーがいかに重要であるかを説明する。調査結果によると、「オンラインゲームを最初に楽しいと思ったとき」という質問に対する回答は「友達ができたとき」と答えたユーザーが圧倒的に多かった。これによって、オンラインゲームを構築していく上でコミュニティーは非常に重要な要素であるということがわかる。
続いて長沢氏が注目した調査は「現在プレイ中のゲームを始めて知ったのは?」、「プレイする決め手となったのは?」、「信頼できる情報は?」というもの。オンラインゲームのユーザーは、どの情報を元にプレイしているのかを調べる調査である。
ひとつ目の「初めて知ったのは?」という問いに対する答えは「ネット上のニュースサイト」と「知人・友人の情報」が高い結果になっている。ネットニュースは元々ゲームに興味があるユーザーが読むメディアだが、興味の薄いユーザーは友人や知人の情報を参考にしているようだ。いわゆるクチコミ情報である。
ふたつ目の「プレイする決め手は?」の答えは「個人サイト」と「友人・知人の情報」が特に高い。前述した「AISAS」の「共有」の部分が顕著に現れた結果。いまはBlogやSNSが盛んなので、ゲームの情報発信が容易になっている。実際に情報を発信している人がゲーム内でコミュニティーを起こし、また、ゲームの外からもユーザーを引き込んでくる可能性も高い。
最後の「信頼できる情報は?」に対しては「ネットニュース」と「個人サイト」、「友人・知人の情報」、「公式サイト」が比較的高い比率を示していた。
以上のような結果になっているが、いままでひとつも上がっていないメディアがある。「ネット広告」だ。長沢氏は最後に、「ネット広告はジークレストも行なっているが、広告から入ってくるユーザーよりも、クチコミで来る人数のほうが多い。プロモーションの効果は非常に悪いので、今後は戦略を練らなければならないだろう」今後の方針を語った。
ジークレストが運営を行なうゲームポータルサイト「@games」。ゲームポータルとしては後発だが、狙うターゲットはオンラインゲーム初心者だ
■ジークレストのコミュニティー施策
講義の後半はジークレストが行なっているコミュニティー活性化の施策について紹介された。ジークレストでは、ユーザーを「共同開発者」と捉え、サイトを成長させるにはユーザーの参加が不可欠であると説明した。ユーザーを共同開発者と捉えたサイトはすでに多く実在する。「YouTube」や「ヤフーオークション」がこれに当たる。しかし、これらの運営には問題もある。開発のプロフェッショナルではない一般ユーザーが自分でコンテンツを公開してゆくので、すべてのコンテンツが魅力的であるとは限らない。「YouTube」にアップロードされているさまざまな映像を観ればわかるだろう。長沢氏は、魅力的なコンテンツと、そうでないコンテンツの比率は「1:9」程度と考えているようだ。
この割合のコンテンツを抱えるサイトで重要となってくるのは、検索機能の充実。「いま人気のコンテンツ」を簡単に調べられるような仕組みを事前に作っておけば、ユーザーは良質なコンテンツだけを拾い集めることができる。よって、サイトの魅力も高いレベルで維持できるのである。
会場では実際に@games上でのチャットを披露した。ブラウザー上で多人数のキャラクターがコミュニケーションを取っていた
最後に長沢氏は、ジークレストが行なっている取り組みについて語った。同社は「ゲームポータルサイト @games」(アットゲームズ)を約半年前にサービス開始した。@gamesの特徴はアバターシステムと、コミュニティーを自然発生させる仕組みであると言う。しかし、すでに複数のゲームポータルが存在している現在、なぜ参入するのかという声は社内でも多かったようだ。
ジークレストが@gamesを立ち上げた狙いは、既存のゲームポータルサイトと争うのではなく、まだオンラインゲームを遊んでいないユーザーに遊んでもらうこと。そこで重要となってくるのが、インターネット初心者でも「楽しい!」と感じてくれるようなサービスである。
長沢氏はコミュニティーを活性化させるためのテーマを「リアクションの可視化」と掲げ、アバターを使ってコミュニケーションを取る仕組みを作った。従来はプロフィールアイコンの要素が強かったアバターだが、@games内でのアバター(「セルフィ」と名づけられている)は、ユーザーの分身となって自由に操作できる。@gamesのページ上部にはマップのようなエリアが割かれており、このフィールドで自分のアバターを操作できるのだ。ここでは他のユーザーも同じように生活を送っているので、挨拶をしたりチャットを楽しめる。
初心者にとって敷居の高いチャットだが、このセルフィを使えば誰でも気軽に行なえ好評だと言う。文字の入力が不得意なユーザーでも、モーションや感情アイコンを駆使することによって、他人とのコミュニケーションを容易に行なえる。チャットそのものが「エンターテイメント」になっているのである。
また、チャットの会場(ロビー)は「マイルーム」と呼ばれる自分の部屋も使用可能。マイルームにはアイテムを並べてデコレーションすることもでき、部屋に訪れたユーザーは自由に見ることが可能。このように部屋に家具や装飾品が配置されていると、チャット時の話題提供にもつながると言う。
その他に、ゲームと広告の融合「アドバゲーミング」の挑戦も行なっている。現在はTBSのドラマ「きらきら研修医」とのタイアップを行い、アバターの衣装の販売などを行なっている。この衣装を着ているだけで、チャットのなかでドラマの話題になる可能性が高いだろう。ただ単に「タイアップ」のために行なうアドバゲーミングではなく、あくまでもユーザーへの話題提供のために行なった施策のようだ。
今後の展開で大きなアップデートは、まさにユーザーが共同開発を行なえるツールの配布だ。2007年4月に予定しているのは『セルつく』と名づけられた衣装作成ツール。これはユーザーが自由にアバター用衣装を作成できるもので、ユーザー同士の売買も可能にさせる予定。まさにユーザーを共同開発者と捉えたサービスだ。優秀な作品を作ったユーザーにインセンティブを与える計画も紹介された。
(佐藤隆博@RBB)
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