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【AOGC2007】なぜ欧米のオンラインゲームはアジア市場で沈没したのか−ソウル中央大学経営学科教授 魏 晶玄 氏
3月1日
ソウル中央大学経営学科教授 魏 晶玄 氏
 ソウル中央大学経営学科の教授であり、韓国では著名なオンラインゲームの研究者でもある魏晶玄氏が、「なぜ欧米のオンラインゲームはアジア市場で沈没したのか」と題して講演を行った。

 講演の開始と共に、魏氏は、昨年11月に渡米した時の感想をひと言。「太平洋の壁は厚く、アメリカで行われていることを日本では知られていませんし、日本で行われていることをアメリカで知られていません」とコメント。テーマである「なぜ欧米のオンラインゲームはアジア市場で沈没したのか」に注目させられるような、このコメントで講演はスタートした。

 現在、世界のオンラインゲーム市場では、大きく分けてふたつのパターンが存在するという。そのひとつが、「アメリカ&ヨーロッパパターン」。もうひとつが、「アジア&発展途上国パターン」だ。

 このふたつの大きな違いは、「過程重視」か「結果重視」かで判断できる。アメリカ&ヨーロッパパターンの場合は、過程重視であり、プロセスを楽しみながらゲームを遊ぶ傾向が強い。一方、アジア&発展途上国パターンの場合は、結果重視。プロセスはあまり重視されず、他人よりも強いキャラクターに育てられるのかが、重要になってくるのだという。

 では、日本はどちらに入るのだろうか? 日本は、アメリカ&ヨーロッパパターンでもないが、コンシューマー文化の影響もあり、やや過程重視傾向が見られるという。一方、韓国の場合は、日本とは逆で、やや結果重視の傾向が強いという。

 この関係性は、オンラインゲームに関する商売などにも現れており、中国ではキャラクターの育成を代行する商売が成り立っており、韓国でも一部でその傾向が見られるという。このことからも、アジア&発展途上国パターンが、結果重視であることが分かるという。

 このふたつのグループの隔たりは非常に大きく、アメリカと韓国のランキングを比べると、『ワールド オブ ウォークラフト(WOW)』の例外を除いて、タイトルが合致しないというのが現状となっているというのだ。

 なぜ、このような現状が起こったのか? それは、アジアのゲーム市場が欧米型のコンソールゲーム文化で出遅れているためだという。しかし、これは言い換えると、欧米型とは違ったゲームデザインが生まれる可能性を含んでいるともいうのだ。つまり、アジア市場のトレンドは、新しいゲームへの可能性を示唆しているのだとも魏氏は語る。そして、今後日本が目指すゲーム開発の方向性も、欧米的なものからアジア的なものにシフトする可能性があるというのだ。

 では。ゲーム開発として先行する欧米型のゲームなぜ、アジアで失敗をしたのだろうか? 開発側のアプローチから、その問題を調べていくと、魏氏は、開発者側のオンラインゲームに対する造詣の浅さにあるのではと感じるという。コンソールゲームの開発になじんだゲーム開発者にとっては、オンラインゲームのアップデート作業は、創造的な作業でないため、大きな負担にもなっているようにも感じるとか。また、ユーザーとのコミュニティ作りにも同じようなことがいえるという。そして、最大の問題は、アジア市場への感心の低さだという。


 また、ユーザー部分で原因を探るとまず上がるのが、ゲームユーザー属性の違いがある。PK経験だけ見比べても、「あり」がアメリカで34.7パーセントなのにくらべ、中国では65.3パーセント。「なし」の比較では、アメリカの91.3パーセントに対して、中国は、8.7パーセントと大きな差がでるという。この差は、オンラインゲームへの取り組みにも差が出ており、アメリカでは、PKは悪意と見なされるのにたいして、中国ではゲームのシステム利用となるという。アメリカ&ヨーロッパパターンはでは、オンラインゲームは「協調」なのに対して、アジア&発展途上国パターンでは、「競争」となるというのだ。
 ゲームのパターンにも、欧米とアジアには変化がある。欧米で人気のFPS『カウンターストライク』と韓国で人気のFPS『スペシャルフォース』を見比べると分かるが、『スペシャルフォース』では、FPSのゲーム性にMMORPG的な要素を加えているのがわかる。これは、アジア&発展途上国で好まれる「競争」の要素だというのだ。このゲームパターンの差は、他のソフトでも数多く確認できるという。


 ゲームの要素でも、グラフィックやキャラクター、クエストなどにも差がでている。欧米は暗めのグラフィックが好まれるが、アジア、特に中国では鮮やかな色が空好かれる。キャラクターも、欧米型の筋肉質なものにたいして、アジアのカワイイキャラクターなどがそれにあたる。これ以外にも、クエストの方向性、コミュニティマネージメントなどの部分で、差がでているのだというのだ。
 また、インフラの差も欧米とアジアでは大きな差があるという。アジアでは、インフラの環境が劣悪なため、通信料の少ないゲームが好まれる傾向がつよい。アジアでは、韓国の90年代に流行ったゲームをいまだに求める傾向があるのも事実であり、このインフラの差は、欧米ゲーム参入の大きな足かせになっているというのだ。
 これらの問題点が障害となり、欧米のオンラインゲームは、アジア市場で埋没してしまったというのだ。

また、最後に魏氏は、日本のオンラインゲームについてもひとこと。世界規模でみると、コンソールゲームの場合では日本は王者といえるが、オンラインの場合は非常に影の薄い存在であるというのだ。また、今後の日本の課題としては、日本の特殊な環境下での欧米型でもなく、アジア型でもない日本型ともいえる新しいオンラインゲーム作りができるかが重要になるという。そして魏氏は、「新しい流れを模索する時、オンラインゲームの本質である“Born to global(生まれながらにグローバル)”を充分に理解する必要があるだろう」と講義の最後を締めくくった。


(内田幸二@RBB)
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