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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
【AOGC2007】オンラインゲームをコミュニティとして成り立たせる際の手法について― シンフォニックガーデンLLP 石山隼行氏
3月1日
シンフォニックガーデンLLP 石山隼行氏
 世界初の女性向けオンラインゲームとして、独特なポジションを築く『女神幻想ダイナスティア』。その開発ディレクターでもある、シンフォニックガーデンLLPの石山隼行氏が、「オンラインゲームをコミュニティとして成り立たせる際の手法について」と題して講演を行った。

 まず、行われたのが「良いコミュニティとは何か?」の確認だ。

・荒れない平和なコミュニティ
・切磋琢磨してレベルアップしていくコミュニティ
・収益性の高いコミュニティ
・人口の多いコミュニティ

以上のようなさまざまな、良いコミュニティのイメージが出されたが、最終的に良いコミュニティとは「運営側が目指す方向性に寄って基準が変化する」ものだという。

 ゲームとは本来、スポーツのようなもので、「ルール」と「勝負」がハッキリしている。現実の場合でも、ルールがハッキリしているが、そのルールがフェアに反映されている分けではない。しかしゲームでは、現実にはないフェアな世界が構築されているのが、ゲームの大きな特徴といえる。コンソールゲームの場合は、このフェアな世界での勝負を楽しむことが、ゲームを遊ぶということになるのだという。

 しかし、オンラインゲームの場合は、そうではないと、石山隼行氏は語る。では、オンラインゲームのおもしろさはどこにあるのか。それは「マズロー段階欲求説」のような成長する欲求の満足に大きく関係するというのだ。マズロー段階欲求説とMMO設計用件を比較すると、プレイの進行度と大きく合致することからもそれが確認できる。

 また、社会には、大きく2つの幸福感を感じる思想形態があるという。そのひとつが、「幸せの総量は決まっており、誰かが幸せであったら、他者は不幸せになってしまう」という発想の「ZeroSum」。ZeroSumでは、「目の前の人が幸せだと自分が不幸になった気がする」や、その逆の「目の前の人が不幸せだと自分が幸になった気がする」などがそれだ。
 それに対して、もう一方の思想形態であるが絶対的幸福感。「あなたが幸せだと、私も幸せである」という発想の「WinWin」がそれだ。WinWinとは、「目の前の人が幸せだと自分も幸になった気がする」や、その逆の「目の前の人が不幸せだと自分も不幸になった気がする」などのことを指す。

 ZeroSumとWinWinは、両方とも現実社会に存在しているものだが、オンラインゲームの場合は、ZeroSumを中心に世界を作られている場合が多いという。そして、そのZeroSumの原因を作っているのは「執着心」であるというのだ。

 ここでいう執着心とは、「時間をかけたプレイ」、「自分だけのアイテム」など、ゲームのなかにあるプレイヤー心理を刺激するものであり、それらはZeroSum的な要素が非常に強いという。しかも、ZeroSum的な要素があまりにも強いと、プレイヤーがアノミー化(他者と道徳的に関係のない状態や欲求達成に規制が働かない状態のこと)してしまうこともあるというのだ。その究極の例として紹介されたのが、「自己利益のためならばアンフェアも正義である」という発想である。たとえば、プレイヤーが不正を行っており、運営者側がそれを取り締まろうとしても、プレイヤーは「自分のキャラクターを守る」という正義のために行動しているため、取締を行う運営者側は、悪であるという発想にまでなってしまうというのだ。こうなると、双方がそれぞれに善悪の意識をもってぶつかり合うため、泥試合になってしまうという。このような執着心の弊害を弱めるのに必用なものとして、WinWinが重要になるという。

 オンラインゲームでは、ZeroSumとWinWinの相反する価値観をコントロールしていくことが重要なポイントと、石山氏。執着や対立構造を作りやすいZeroSumの考え方は、ゲームの特性上必須ともいえ、一方のWinWinの考え方は、コミュニティの演出部分で加えるのが、オンラインゲームでは得策だという。
 『女神幻想ダイナスティア』では、上級プレイヤーが、初心者に対して、無償でアイテムを受け渡すような「アンチアノミー」なシステムや、ファッションショーを行うことで、みんなでプレイヤーの作ったものを楽しむ「WinWin」の世界ができあがっているとのこと。


 石山氏は、以上の要素をふまえ、オンラインゲームの志向性をドラえもんのキャラクターで紹介。マトリックスには、横軸に社交性、縦軸にモラルをもうけたマトリックスで記されており、以下のようにキャラクターを解説した。

社交性・小、モラル・小=ジャイアン(パワフル)
社交性・大、モラル・小=スネ夫(コバンザメ)
社交性・中、モラル・中=のび太(一般)
社交性・小、モラル・大=デキスギ(科学者)
社交性・大、モラル・大=シズカ(アイドル)

 これらの分類法は、人間関係を俯瞰で確認することができ、共依存関係の把握にも役立つという。また、いま必要とされている一手の検討にも重要な役目を持っているという。

 オンラインゲームの場合定期的なアップデートは重要な要素であるが、コミュニティの魅力を強化する方法として、新機能のリリースを繰り返すことは、運営側の体力勝負になるので、難しい局面があるという。オンラインゲームのコミュニティの魅力を増加させるには、まずどのような人物がユーザーなのかを確認する必用があるのだ。そして、運営者がオンラインゲーム自体をひとつのコミュニティとみなし、ユーザーに自然な形で運営者側の望むような人間の集団になるように誘導することが必要になるという。

 『女神幻想ダイナスティア』の場合では、ユーザー自身がパーツを組み合わせてドレスを製作できる。このような「ユーザークリエイトコンテンツ」は、良いコミュニティの想像と、オンラインゲームの価値を上げる可能性を秘めており、今後より重要視される部分に発展するだろうと講義を締めくくった。


(内田幸二@RBB)
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