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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
【AOGC2007】「政府」として君臨するゲーム会社の役目とは― 駒澤大学 山口浩氏
2月27日
駒澤大学 山口浩氏
 アジアオンラインゲームカンファレンス(AOGC)2007で、駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部助教授の山口浩氏が、「仮想世界の『政策』論」と題する講演を行った。

 山口氏は、まず「仮想世界」の定義から始めた。日本の「仮想」は、「実際には存在しない」というニュアンスだが、英語の「Virtual」は、「事実上存在するのと同じ」という意味だとした上で、意味のある「仮想世界」とは、「そこで働き、交流し、自己実現する場所」であると規定した。
 これまでのオンラインゲームは娯楽目的に特化されていた。そのため、作り手が技術的な可能性の追求をして、ユーザーはそれを使うだけの場だった。これからはプラットフォームというレイヤーが一段上になり、使い手の問題になってくるという。

オンラインゲーム内での活動

 そこで山口氏が例に挙げたのは、「セカンドライフ」だ。このゲームはそれ自体がプラットフォームになっており、最大の特徴は自由度の高さとコミュニティの質の高さにあるという。ビジネスなどの経済活動もコミュニケーションの一種であり、それを含めた多様なことができるのが「セカンドライフ」なのだ。

 そこで、山口氏は2月2日に「セカンドライフ」内で行われた、AOGCのプレイベントの模様を動画で紹介した。ゲーム内にカンファレンス会場が表現され、スクリーンには発表スライドが投影されている。山口氏の講演の音声も流れた。音声は、あらかじめ録音されたものだというが、「スカイプ」を併用すればリアルタイムで話してプレゼンを行うことも可能だという。

(左)「セカンドライフ」内で行われたAOGCのプレイベントの模様、(右)「セカンドライフ」の次に来るものは何か?

 山口氏は、MMORPGは3Dで表現の幅は広いが、活動の幅は狭いと指摘した。一方、インターネットはビジネスもでき、活動の幅が広いが、グラフィック的にはいまひとつ。その中間が「セカンドライフ」などだという。

 また、今回テーマとなっているコミュニティについても触れ、「ネットには、『ミクシィ』や『2ちゃんねる』など、さまざまな仮想世界があり、ユーザーはコミュニティへの帰属意識がある」と語った。

 さらに、現在、オンラインゲームはポータルサイトやコミュニティサービスなどと並んで、インターネットの上に乗っかっているひとつのシステムに過ぎないが、ゲーム内で広告を出せるという意味では、メディアとして使われている。3D空間で一種の没入型のメディアであることの強みを生かし、インターネット上のプラットフォームに進化する可能性があるという。

オンラインゲームは、プラットフォームへと進化する

 次に、山口氏が話題にしたのが、仮想世界における政策についてだ。ゲーム会社はゲーム世界における「政府」だといえる。では、これまでゲーム会社が政府としてユーザーに与えたものは何だったか。それは、「神話」(世界の存在意義。「古事記」「日本書紀」「聖書」に相当するもの)、「使命」(そこで何をすべきか。対立の歴史など)、「社会基盤」(インフラ。ワープできるとか、ギルドがあるなど)、「秩序」(やっていいことと悪いこと)の4つだという。

 政府の責任は、犯罪を取り締まり、国民の身体・財産を守ることだが、何が犯罪かを決めるのは政府だ。「無秩序から秩序へ」「統制から自由へ」と、揺れ動きつつバランスをとっていく「歴史」があり、人が豊かにするのが「政府」の役目だという。

 政府という意味では、典型的なオンラインゲームは鎖国の発想で対処しているという。たとえば、「外部との交易の禁止」「外国人流入の禁止」に相当するものが、サーバー間の移動の禁止だったり、RMTに相当するのが、「抜け荷」(密貿易)だったりするという。このように、政府が何かを禁止するなら、実効性がある取り締まりにしなければならない。守れないルールを作ると、「禁酒法」時代のように、秩序の崩壊が起こってしまう。現実世界にたとえるなら、ギャンブルを一切禁止するのではなく、合法ギャンブルを作るなど、柔軟な発想が必要だという。
 対して、活動の自由度が上がると、創意工夫を誘発して国が栄えるという「楽市楽座」の発想もある、と山口氏は言う。

 また、オンラインゲームで問題となっているのが、子どもユーザーに関するリスクだと山口氏は指摘する。子どもは、被害者になる場合と加害者になる場合があるが、被害者の場合はID・パスワードの管理が甘く、仮想通貨・アイテムをとられてしまうケースが多いという。だが、もともと金銭をあまりもっていないため、被害は比較的小額で済む。より問題は、他人の仮想通貨・アイテムをとってしまう場合だ。規範意識が欠如した子どもに対する対処法が必要となってくる。オフラインゲームの裏技は、機械をだますだけだが、オンラインでは他人をだますことになる。ボールを持つことはラグビーでは反則ではないが、サッカーでは反則になるなど、ゲームによって反則は違うが、その違いを子どもは理解しない場合があるというのだ。

 子どもは買うお金を持っていないため、RMTでは売り手となる。だから、売り手として不正に走ることを阻止すべきなのだという。そこで、山口氏は「セカンドライフ」の事例を紹介した。「セカンドライフ」では、大人ゾーンと子どもゾーンを分けられており、子どもがアカウントを登録するとき、親のクレジットカード番号とメールアドレスが必要となり、親の求めで子どもの活動状況がわかる。このシステムは大いに参考になると、山口氏は指摘する。

 機械やゲーム会社が子どもの行動を全部チェックするのは難しいので、保護者に積極的な関与を求めるのが重要なのだという。むしろ、「セカンドライフ」で、子どもが登録すると、保護者へ「ぜひ自分でもアカウントをとってみてください」という案内が来るが、現実世界と同じで、まず大人が見て判断し、子どもと対話してして、やっていいことと悪いことを話し合うのがいいようだ。ゲーム会社は、「親子でオンラインゲームをやろう」というキャンペーンをやればいいのではないか、と山口氏は提言した。

オンラインゲームでも、保護者の仕事は現実世界と同じ

(茂内克彦@RBB)
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