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【AOGC2007】Eスポーツの現状と今後の展望〜GoodPlayer犬飼博士氏 電通竹田恒昭氏〜
2月23日
アジア大会種目のニードフォースピード・カーボンを実演
 Eスポーツとは何か、ゲームで競技するとはどういうことか。実施際に見てもらったほうが理解しやすい。ということで、A01セッションはEスポーツ大会を会場で再現した『シーディーネットワークス・ジャパン Presents Japan E-Sports Cup』が開催された。種目はアジア大会の競技種目にもなっている『ニードフォースピード・カーボン』だ。選手と実況アナウンサーは日本のHIPHOP界で活躍するミュージシャン、UZI the 9mm氏、DJ OASIS氏、大西響太氏の3名が演じた。

 UZI the 9mm氏はK-1グランプリのリングアナウンサーを務めるほかゲームにも造詣が深く、ウィニングイレブンの大会で準優勝したこともある。楽曲にはE-Sportsをテーマとした曲もあり、アルバム「美髭公」に収録されている。大西響太氏は多くのアーチストに楽曲を提供する一方、ゲームの音源製作にもかかわり、現在ベータテスト中のオンラインレースゲーム『Level-R』のBGMを手がけている。ゲーム、そしてE-Sportsは流行に敏感なアーチストに認知されており、今後のコラボレーションに期待が持てる。

GoodPlayer犬飼博士氏
 さて、2007年は日本のEスポーツにとって飛躍の年になる。アジア室内競技大会でEスポーツが種目として選ばれた。Eスポーツ自体が浸透していない日本で、果たして日本代表選手は派遣できるのか。Eスポーツをどう理解するか、Eスポーツは今後どうなっていくのか。その問いに答えるべく、日本でEスポーツ事業を手がけてきたGoodPlayerの犬飼博士氏と、電通スポーツ事業局の竹田恒昭氏が登壇した。犬飼氏はWCG(World Cyber Games)やCPL(CyberAthreet Professional Leage)の日本予選やBIGLAN、Eスポーツスタジアムをプロデュースした人物であり、日本のEスポーツ界の中心である。竹田氏は今は電通社員だが、昨年春まではPSYMINの取締役として、プロゲームチーム4dN_Psyminをプロデュースしていた。両名とも日本Eスポーツ界の軸となる人物だ。

 講演では犬飼氏の解説に重点が置かれた。まず犬飼氏が関わって制作し、昨年放送されたドキュメンタリー『プロゲーマーを目指す若者たち』のダイジェスト版を見ながら、日本のEスポーツの現状を紹介。続いてスライドに移行し、世界のEスポーツの事例をアメリカ、ヨーロッパ、アジアの順で紹介した。欧米では世界規模の大会がいくつも開催されていること、アメリカではディレクTVがEスポーツ番組を開始したこと、韓国ではEスポーツ大会が年間100以上も開催されており、賞金総額が45億ウォン以上になっていること、中国では政府がEスポーツを99番目の正式体育種目と認定したことなどが紹介された。どうやら中国は北京オリンピックでEスポーツを競技種目に加えることを本気で考えているらしく、今年マカオで開催されるアジア室内大会には、その試金石の意味も含まれているようだ。

 海外での進展が著しいEスポーツだが、日本ではいまひとつ理解が広まっていない。そこで犬飼氏は「Eスポーツとは何か」を人類の発達史に合わせた新機軸で紹介した。採集・狩猟社会に発祥したスポーツが格闘技、農耕社会に発祥したスポーツが球技、工業社会に発祥したスポーツがモータースポーツ、情報社会に発祥したスポーツがEスポーツだという。身体能力、技術、思考、精神を競う従来のスポーツとEスポーツの間に基本的な違いは無い。唯一、決定的な違いは、Eスポーツではプレイヤーの行動がすべてデジタルデータ化されて他のプレーヤーと関わっていくところだ。これはかなり解りやすい例えだ。モータースポーツがスポーツである理由もきちんと説明できる。人類は新しい道具を発明するたびに、新しいスポーツを創造してきたのである。Eスポーツもその延長にある。

 犬飼氏はさらにこの考えを進めて、将来に誕生するであろうEスポーツのアイデアを紹介した。競技場の床一面がスクリーンになっている。モーションセンサーを装着した人間が立ち、床上に映像化されたボールを使って競技をする。そのボールに炎や水などの属性を与えるなどで、新しい球技を創造できるという。ここまでのEスポーツ論議の中で、従来Eスポーツとされた射撃戦ゲームやリアルタイムストラテジーなどの、戦争を題材としたゲームが登場していない。犬飼氏の構想は、Eスポーツは社会に適合していくための新たな段階に入ることを予感させるものだ。

 Eスポーツの効果として、社会的には従来のスポーツと同じ効能、つまり、スポーツマンシップ、心身の鍛練、青少年の教育などを挙げ、さらにEスポーツの特徴としてIT社会の懸案事項となっているデジタルデバイドの解消に貢献できると語った。また、産業面ではより繊細なデジタルハードウェアやソフトウェアのニーズが加速すると予見した。入力機器はプレーヤーの動きや心理をきちんと再現するように、モニターはさらに表示速度を上げていく。また、より高速なインターネットインフラ需要を喚起する。

 最後に犬飼氏は自身の今年のEスポーツ活動に触れた。中心となる活動はEスポーツスタジアム。そして、この秋に開催されるアジア室内競技大会へ日本代表を送り、金メダルを獲得するために尽力すると宣言するとともに、来場者に協力を呼びかけた。

(左)人類とスポーツの関係、(中)Eスポーツはデータ化するスポーツ、(右)新しいEスポーツを予測

(左)社会に役立つEスポーツ(中)アジア大会に向けた取り組みが急がれる(右)いまこそ一眼となって金メダルを目指そう

電通竹田氏も支援を約束
 この宣言を受けて電通スポーツ事業局の竹田恒昭氏が登壇。時間に限りがあったため言葉は少なかったものの、個人的に応援したい考えを表明した。電通スポーツ事業局は日本オリンピック委員会のパートナー企業であり、アジア室内競技大会などオリンピック委員会系のイベントに関しては電通が担うことになる。竹田氏は「会社としての意見を述べる段階ではない」としながらも、現在、水泳、野球と合わせてEスポーツも担当していることを説明し、日本代表選出に協力していきたいと語った。

 今回の講演は、Eスポーツについて紹介すると共に、アジア室内競技大会に向けてどのように取り組んでいくべきかという指針を示した。犬飼氏がEスポーツのエキスパートであることはもちろんだが、電通の竹田氏がEスポーツをよく理解していることも心強い。日本の金メダル獲得のスタートラインとも言える講演だと言えそうだ。
(杉山淳一@RBB)
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