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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
Shoot it! - #16 アジア室内競技大会にEスポーツ。日程と種目が決まったが……?
1月31日
アジア室内競技大会公式サイト。競技リストにEスポーツが明記されている
 ちょっと前の話になるけれど、2006年12月6日に朝日新聞のインターネット版「asahi.com」で「『ゲームもスポーツ』種目採用 来年のアジア室内大会」という記事が掲載された。日本ではちょうど次世代ゲーム機が市場に揃い、活気があった時期である。そのせいか、ゲーマーだけではなく、お茶の間や職場でも話題になったようだ。僕の犬の散歩仲間のご婦人方からもその話題が出たくらいだから、“ゲームがスポーツになる”というトピックは、かなり大勢の方に知れ渡ったようだ。

 しかし続報がない。このままでは、Eスポーツが一過性の話のタネのまま終わってしまう。現在、アジア室内大会のEスポーツはいったいどうなっているのだろう。

 まず、アジア室内大会においてEスポーツがどのように認識されているか。公式サイトによると「電子スポーツ(Eスポーツ)は、電子的、あるいは電子装置を使った競技です」と明言されていた。続いて「従来のスポーツと同じように、Eスポーツは公正な競技であることは明らか」、「Eスポーツにとって、体力、瞬発力、戦略が重要な要素である」、「それは速い反応を必要とするチェスゲームだと言える。一見、伝統的なスポーツと異なるようである。しかし、根底には同じ要素がある」とあった。実に簡潔で解りやすい。もっとも、チェスがスポーツであるという認識がないと、このたとえでも難しいかもしれない。

 その紹介文の横にテクニカルハンドブックへのリンクがある。ここにEスポーツ競技の詳細が記されていた。ハンドブックの3ページには日程が書かれており、Eスポーツは10月の26日から29日までの4日間の日程が組まれている。最近まで来年のことだと思っていたが、実はあと9ヵ月に迫っている。こうなると少々落ち着かない気分だ。

 6ページにはマカオEゲームスポーツ連盟の連絡先が記されている。マカオにはこういう団体があるのだな、と解る。実は、オリンピック競技として認定してもらうためには、こうした統括組織が必要だ。韓国にもEスポーツ統括団体はある。おそらく他の国も同様にEスポーツ団体があるのだろう。それが大会開催の根拠になっているはずだ。それが日本にはまだない。

 7ページから大会の概要が記載されている。開催場所はマカオ・インターナショナル・コンベンション・センター。そして注目は開催種目だ。asahi.comではコナミのウイニングイレブンのみタイトルが報じられたが、実際は3種目あった。残りふたつはNeed for SpeedとNBA Liveだ。どちにも男子と女子があるので、正確には6種目。各種目1名の代表選手が参加できるから、日本も6名の代表選手を派遣できる。ゲームのバージョンについては検討中のようだが、おそらく最新版になると思われる。

Eスポーツのテクニカルハンドブック。アジア室内競技大会の憲法というべき文書
 ウイニングイレブンは日本製のサッカーゲーム。ただし、テクニカルマニュアルではPCプラットフォームとなっているため、海外版のPro Evolution Soccer 6だと思われる。こちらはEスポーツ大会の実績があり、フランスで開催されるESWC(Eスポーツワールドカップ)の種目に選ばれている。Pro Evolution Soccerは海外版のためか、日本においてコナミからの公式なコメントがない。しかし、コナミはスポーツクラブなどのスポーツ事業を展開しているし、冬季アジア大会にもコナミスポーツ所属選手が参加している。なによりもコナミスポーツはJOC(日本オリンピック委員会)のオフィシャルパートナーだ。きっと対応準備が行われていることだろう。

 Need for Speedはカナダで開発され、アメリカのエレクトロニック・アーツが世界で発売している公道レースゲーム。最新版はNeed For Speed Carbonで、日本でもPC版、PS2、PS3、Xbox360、Wiiで発売されている。機械を使うという意味で、Eスポーツはモータースポーツに例えて説明されることが多い。だからカーレースゲームを種目に加えたことはEスポーツの理解を助けることになるだろう。Eスポーツ種目としてはWCG(World Cyber Games)2006とWGMT(World GameMaster Tournament)2006に前作のNeed for Speed: Most Wantedが採用されている。

 NBA Liveはアメリカで開発され、やはりエレクトロニック・アーツが世界で展開するバスケットボールゲームだ。おそらく最新作のNBA Live 07になると思われる。このタイトルは僕には違和感があった。もっとも、僕たちがふだんEスポーツと呼んでいる競技は射撃戦や戦闘、格闘ばかりだから、リアルスポーツのゲーム版が選択されている時点で違和感がある。それにNBA Liveシリーズは従来のEスポーツ大会の採用実績が全くない。ただし、アジア大会との関連を考えれば納得できる。アジア大会採用種目のうち、ゲーム化されており、リアルスポーツとの比較がしやすい、という観点で考えれば、バスケットボールゲームという選択になるだろう。コンピュータゲームの視点から見れば、バスケットボールはチーム制対戦ゲームのCTF(旗取り戦)に似ているとも言える。観戦してみたいゲームだ。

 競技大会当日のスケジュールも詳しく決められていた。10月26日から3種目とも一斉に予選が始まる。そしてNeed for Speedの決勝は28日の14時30分から。翌日の10時からはNBA Liveの決勝が、14時30分からはウイニングイレブンの決勝が始まる。しかし、もっと重要なスケジュールが8ページに記載されていた。「Deadline for Entry Forms by number」。この競技への参加表明だ。それは6月22日、マカオ時間の18時。日本時間の19時となっている。そして選手登録の期限は9月17日の同時刻だ。つまり、Eスポーツに日本代表選手を派遣したいなら、6月22日までに申告し、9月17日までに代表選手選考会を終わらせる必要がある。

 アジア室内競技大会は10月だが、のんびりしていられない状況だ。6月22日までに代表選手選考の段取りを済ませなくてはならない。その期限まであと5か月を切ってしまった。さらに、アジア大会に出場するためには、その競技の統括団体を組織し、JOCに登録する必要がある。韓国にはEスポーツ統括団体がある。マカオも同様だ。だからこのスケジュールを知らされても「ああそうですか。じゃ、それまでに選考会ですね」で済むのだ。Eスポーツ統括団体がない国でもEスポーツ自体の認知度があれば「じゃあ統括団体を作りますか。あそこならやってくれそうだ」という目星がつく。

 しかし、日本は統括団体が無いばかりか、Eスポーツに対する認知度も低い。asahi.comの報道によると、日本でオリンピック競技を統括するJOCでさえ「そもそもスポーツといえるのか」とコメントする状態である。日本でEスポーツを統轄する団体を作ろうとするならば、世論とJOCに対してEスポーツを啓蒙していくプロセスも必要になる。それも含めて5か月以内である。

 いま、誰かが手を挙げなければ、オリンピック競技会初のコンピュータゲーム種目において、日本という国は歴史に刻まれなくなってしまう。Eスポーツに関心を持つ人にとって、Eスポーツに携わる人にとって、いま何をしなくてはいけないのか、誰を支援すればいいのか。いや、そもそもEスポーツの関心が低い日本で、無理にでも代表選手を選出する必要があるのか。

 そうした問題に対するひとつの答が、2月に開催されるAOGC(アジア・オンラインゲーム・カンファレンス)で示されると思われる。AOGCはオンラインゲーム関係者のための講演会で、今回、Eスポーツに関するセッションが急遽追加された。登壇は電通スポーツ事業局の竹田氏と、WCGやCPLの日本予選開催に貢献した犬飼氏だ。大いに期待したい。
(杉山淳一@RBB)
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