Slash Games
★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
     
トップ
読み物
カレンダー
Other languages
WinMMORPG
★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
Shoot it! - #14 MMORPG「A3」が創設するプロゲーマー制度とは?(後編)
1月17日
A3プロモーション担当の上村健太郎氏
 海外では多くのプロゲーマーが活躍しているというのに、日本はプロゲーマー不在。しかし、ガンホー・エンターテイメントは日本で初めて、ゲーム運営会社公認のプロゲーマー制度を発足させた。プロゲーマーを誕生させるタイトルはMMORPGの「A3」だ。

 A3というゲームのプロモーションをしたいなら、プロゲーマー制度というややこしい仕組みを作らずとも、賞金付きゲーム大会を定期的に開催すればいいのではないか。なぜプロゲーマーなのか。その疑問を、素直にガンホーの担当者にぶつけてみた。お話をしてくださった方はA3のプロモーションを担当する上村健太郎氏だ。

 上村氏によると、賞金付き大会ではなくプロゲーマー制度とした理由は、法律的な問題をクリアするためだという。MMORPGのように、会員に対して賞金を提供するイベントはクローズド懸賞となり、賞金額や抽選方法に制約を受ける。筆者が調べたところ、誰もがハガキに答えを書いて応募できるオープン懸賞の場合は金額に上限はない(2006年4月に上限1000万円は廃止された)。しかし、クローズド懸賞の賞金は10万円までに制限される。また、キャラクターレベルによる参加資格を設け、闘いに勝利した人が対象となると、抽選ではないため公正な懸賞とは言えなくなるらしい。つまり日本では、ゲームに勝って10万円を超える賞金品を得るイベントは成立しないのだ。

 この制限を受けなくするためには、懸賞にしなければいい。つまり、プロゲーマーとして会社とゲーマーが契約し、ゲーマーが「ゲームで戦う」役務を提供し、会社が「成績によって報酬を支払う」というシステムにする必要がある。そのためのプロゲーマー制度なのだ。第一回の大会では賞金がなく、上位者へのプロ契約の権利のみ提供される理由は、プロゲーマーの採用選考会という意味だからである。

 では、そこまで手間をかけて賞金トーナメントを開催する理由は何だろうか。うがった見方だがプレイヤー離れを食い止めるためではないだろうか。MMORPGにおいて、あまりにも高レベルになったプレイヤーが「すべてのクエストを終え、これ以上成長しても意味がない」という状況になったとき、ゲームを続ける必要がなくなる。しかし、賞金トーナメントという新しい目標があれば、賞金を獲得するためにゲームを続けてもらえると期待しているのであろう。

 これに対して上村氏は、そういう気持ちがないわけではない、としながらも、A3を愛してくれている高レベルなユーザに、新しいゲームの楽しみ方を提供したかったからだ、と語った。

 実はA3ではプロゲーマー制度の導入と同時に、新しい世界を加えた大規模なアップデートを実施している。新しい世界「ウェデート」は、かなり高いレベルのプレイヤーが、複数のパーティを組んで行かないと生還できないというハイレベルな世界だ。つまり、高レベルプレイヤーの楽しみはMMORPGのストーリーとして追加されている。妙な話だが、プロゲーマーなど必要ないくらいに魅力的なゲームだし、その魅力を維持するためのアップデートもきちんと行われている。そして、やっばり「なぜプロゲーマー?」という問いに戻る。

 そこには「ガンホーの新しい試みとして、韓国で行われているようなプロゲーマー制度を日本でも実現したい、という気持ちがある」と明かしてくれた。A3は世界各地で提供されているが、プロゲーマーという仕組みを元々内包しているわけではない。ガンホーがプロゲーマー制度を創設しようと考えたときに、それが相応しいタイトルがA3だった。A3をプロモートするためにプロゲーマー制度を作ったのではなく、プロゲーマー制度を実現するためにA3を選んだという。

 その背景には、A3はMMORPGでありながら、騎士団の上位プレイヤーにはっきりと競技志向が生まれていた、という事実がある。騎士団同士の戦闘を“ケンカの延長”ではなく、“団体による格闘技”として遊ぶ人たちが増えていた。運営サイドがそれに気付いたきっかけは、プレイヤーが自主的に「騎士団の再編」を始めたことだった。


 「騎士団が結成されて2年ほど経つと、圧倒的に強い騎士団と、なかなか勝てない騎士団のグループが出てきました。騎士団トーナメントを開催しても、毎回、順位が固定されてしまう。するとある日、もっとも強い騎士団からプレイヤーが脱退して、新しい騎士団を作ったり、他の騎士団に参加し始めました。これで騎士団の実力が拮抗し、トーナメントはかなり面白くなりました(上村氏)」

 おそらく、競技志向の騎士団のメンバーには、A3本体のストーリーとは違う、自分だけのストーリーが始まっていた。「俺たちは共に成長してきた仲間だけど、敢えて袂を分かち、いつか戦場で再会しよう」というような。本気で闘い、本気で勝とうとする。ゼロから勝ち上がっていく楽しみ。勝利を目指す騎士団は、ゲームの外で掲示板を作り、チャットで作戦会議を行うまでになっていた。

 さらに、今度のトーナメントではどこが勝つか、騎士団同士の組み合わせを分析するなど、トーナメントに参加しないプレイヤーたちも勝負の成り行きに注目した。ゲーム内でのチャットでもその話題で持ちきり。まるでプロスポーツのような話題性の広がりを見せていた。その展開を見て、かねてより韓国のプロゲーマー制度に関心を持っていた上村氏は「A3ならそれができる」と判断した。

「韓国では年収2億ウォン(2500万円)のプロゲーマーがいる。そのプロゲーマーは国民的なアイドルとなり、尊敬されている。日本にもプロゲーマーがいたら、きっと同じようにゲーマーが尊敬されるはず。そういう世の中になってほしい」

 そう、ガンホーがプロゲーマー制度を作った、もうひとつの真意はここにある。“ゲーマーの社会的地位の向上”だ。

 MMORPGに限らず、ゲームプレイヤーは社会からはネガティブなイメージを持たれている。いわく、「オタク」「引きこもり」「社会とは隔絶された空間でしか生き甲斐を見つけられない」というような。主に少年犯罪や社会的な問題を無理矢理ゲームに結びつけた妄想に過ぎない。しかし、言葉でいくら“そんなことはない”と説明しても理解してもらえない。プロゲーマーはその妄想を押し返す“切り札”になりうるものだ。

 A3のプロゲーマーとして活躍すること。そこには、騎士団という仲間同士の結びつき、ライバル騎士団と交わすエール、誇りを持ってプレイする姿がある。その様子を広めていくことで、プロゲーマーはカッコイイ! というイメージを演出できる。子供たちの尊敬も集められる。“高橋名人”や“毛利名人”が大人気だったように。

(c)2003 HanbitSoft Inc. All rights reserved. (c)2007 GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

 そのガンホーの狙いは、A3のプロゲーマー制度に明記されている。プロゲーマーの特典の項目には「上位入賞時に賞金総額200万円を獲得することができる」に加えてこう書かれている「ガンホーのプロモーションに出演し、規定の出演料を獲得することができます」つまり、A3のプロゲーマーはガンホーのイメージアップに協力する存在でもあるわけだ。

 「将来はひとつのタイトルにこだわらず、いろいろなタイトルでプロが活躍できるようにしたい。プロゲーマーもゲーム運営会社と契約するだけではなく、韓国のように携帯電話会社がチームを持ったり、IT企業がスポンサーになって、ゲーム会社とは独立した存在になっても良い。そこにもなにか協力できたらいいと思う」と上村氏は言う。つまり、将来的にはガンホー以外の会社と契約したプロゲーマーにも、賞金トーナメントというステージを開放する用意があるということらしい。現在はガンホーのみで実施しているプロゲーマー制度だが、他の企業と組んで大きくしていくこともあり得る。それは、ゲーム業界全体底上げのために、ゲームプレイヤーがもっと活躍できる場所を作りたい、という気持ちの現れだ。

 「A3」のプロゲーマー制度にはふたつの意味がある。直接効果として、A3というゲームのプロモーション。もうひとつは、ゲームプレイヤーのイメージアップ。これは本来ゲーム業界全体が取り組むべきテーマだが、ガンホーがいちはやく行動を起こしたことになる。

 2007年。ガンホー公認プロゲーマーの活躍が、日本のゲーム業界にどんな影響を与えるか。新年早々からとても楽しみだ。
(杉山淳一@RBB)
関連リンク|Link
A3
連載:Shoot it !
その他のゲーム情報はSlash Gamesへ
PAGE TOP
新着ニュース
記事一覧へ
リリースRSSによる配信についてバナー広告問い合わせ会社概要プライバシーポリシーリンクについて
RBB TODAY RESONSE e-nenpi.com cbook24.com DOKOYO MONO ONLINE
本サイトの内容は、著作権による保護を受けています。 Copyright (c) 1998-2006 IRI Commerce and Technology, Inc. All Rights Reserved.
IRI Commerce and Technology, Inc.