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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
Shoot it! - #13 MMORPG「A3」が創設するプロゲーマー制度とは?(前編)
12月27日
 ゲームプレイヤーにも“プロ”がいる。つまり、ゲームで遊ぶことを職業としている人々である。ゲーム大会で賞金を稼ぎ、企業のスポンサーを得て世界各地のゲーム大会に出場する。プロゴルファーなどのスポーツ選手と同じスタイルが、ゲームでも行われている。

 世界初のプロゲーマーとして知られている人物はアメリカのジョナサン・ウェンデル氏。プレイヤーネームの“Fatal1ty”は“1”を“i”に置き換えてフェイタリティと読む。自らの名前にナンバーワンを刻んでいる。フェイタリティは1999年に開催されたアメリカのゲームトーナメント“CPL”で3位に入賞して4万ドル(470万円)を獲得した。彼はその資金でスウェーデンの大会に参加しトップになる。その活躍が認められて、ゲーム用マウスを製造販売しているRAZER社と契約した。

 フェイタリティとRAZER社の契約が世界初のプロゲーマー契約と言われている。その内容は「フェイタリティの海外遠征費用をすべてRAZER社が負担。さらにフェイタリティに対して毎月の生活資金も提供する。その条件として、フェイタリティはすべての試合でRAZER社のマウスを使用し、勝利する」というものだった。これをきっかけに欧米ではゲーム大会を協賛する企業が続出。ゲーマー個人やチームに対するスポンサー契約も活発になった。強いプレイヤーは大勢のファンを持ち、ネット上で話題になる。口コミ効果も充分というわけだ。

 一方、韓国でもネットカフェを中心にオンライン対戦ゲームがブームとなった。ゲーム大会も活発になり、テレビ中継が行われるとゲームプレイヤーがアイドル化した。その動きをパックアップするかのように、韓国政府文化観光部がプロゲーマー登録制度を発足させた。これが2000年8月。以来、韓国ではサッカー、野球と同じようにゲームが国民的人気となり、プロゲーマーはプロスポーツ選手と同じかそれ以上に若者に支持されている。この話題は日本でも報じられたので、“プロゲーマー”という言葉を覚えている人も多いだろう。

 さて日本では、2005年に個別に企業のスポンサーを受けたプレイヤーやチームが誕生した。しかし、それらの契約は2006年ですべて終了し、“プロゲーマー不在”の状態となっていた。日本はゲーム立国なのにどうしたことか、と思っていたら、先日、日本で初めて“プロゲーマー制度”が発足した。今までのように自称プロゲーマーではなく、制度に裏打ちされたプロゲーマーが誕生したのである。

A3のプロゲーマーへの賞金総額は200万円
 プロゲーマー制度を発足させたのは、オンラインゲーム運営会社のガンホー・オンライン・エンターテイメント。プロゲーマーを起用するタイトルはMMORPG「A3」だ。A3はファンタジー世界を舞台に仲間たちと「騎士団」という勢力を結成し、世界の王の座を奪い合うというストーリーのMMORPGだ。モンスターと戦ってレベルを上げ、ボスキャラクタを倒す、というMMORPGの基本をふまえつつ、騎士団対騎士団の闘いを奨励する。つまり、プレイヤー同士が闘い、騎士団という組織における心理的駆け引きを積極的に取り入れている。

 A3におけるプロゲーマー制度とは、騎士団の闘いをスケールアップし、勝った騎士団に賞金を与えるために発足した。賞金トーナメントは、通常運営されるMMORPGの世界とは別にサーバを用意し、ゲームの進行とは関係なく、賞金トーナメントだけの独立した試合として行われる。ただし、トーナメントに参加するためには「騎士団に所属し、レベル100のキャラクターを保持する」という条件がある。


最初に参加したトーナメントでプロゲーマーの資格を得る。賞金を得るのは次の試合に勝ってから
 プロゲーマーになるには賞金トーナメントに出場し、上位に入賞する必要がある。このときはまだ賞金はもらえないが、プロゲーマー契約を結ぶ資格が与えられる。ガンホー社と専属プロゲーマーの契約を交わすと、賞金を獲得する資格が与えられる。次の賞金トーナメントで優勝すれば80万円の賞金が与えられる。ちなみに2位は60万円、3位は40万円、4位は20万円だ。ひとつの大会に総額200万円の賞金が用意されているわけだ。

 しかし、騎士団に対する賞金なので、優勝して80万円を獲得したとしても、ひとりあたりの獲得額は10万円に満たない。トーナメントは3か月に1度程度なので、これでプロといわれても「ゲームでメシを食う」というレベルではない。もっとも、マイナースポーツの世界ではプロでもアルバイトで食いつなぐという事例はあるらしい。今は金額が少なくとも、将来は毎週のようにトーナメントが行われ、プロゲーマーという職業が成立する規模になってほしいものだ。

 A3のプロゲーマー制度は、その話題性をもって知名度を上げ、新規プレイヤーの獲得や休眠ユーザの復帰を促すという効果を狙ったものだと思われる。A3は当初月額課金制で始まったが、その後、基本料金無料のアイテム課金に移行している。アイテム課金のゲームでは、いかにアイテム購入ユーザを増やすかが収益のカギとなる。アイテム課金のユーザを増やすためには、より多くの無料プレイヤーを獲得し、裾野を広げ、プレイヤー同士の競争を煽りたい。お金を払ってでも深く楽しみたい、とユーザを誘導していきたい。

 その意味で、プロゲーマー制度はかなりインパクトがあったようだ。MMORPGはサービス開始時は注目されるけれど、その後は新規ユーザは微増で、既存ユーザの維持が課題となる。しかし、筆者もアカウントを作ってゲームに参加してみたところ、平日の日中にもかかわらず、初心者向けエリアは賑わっていた。賞金トーナメントのサイトを見ると、今から始めるユーザも賞金トーナメント参加のチャンスがある、と書かれている。余暇をA3につぎ込めば、最速で14日あればトーナメント参加資格のレベル100に到達できるという。

 そこで私も遊んでみた。劇画調の画面やキャラクタのデザインは、たしかに大人向けの雰囲気。モンスターもおどろおどろしく、あるいは妖艶な姿をしている。私はかつて、コミカルなキャラクタが登場するMMORPGを始めたものの、最弱のモンスターが可愛らしすぎて、剣を出すたびに自分が悪者になった気がしてやめてしまったことがある。しかしA3のモンスターは気味悪い。遠慮なく倒せたし、倒されたときは腹が立ち、もういちど闘いを挑んだ。なるほど、これだけ夢中になればどんどんレベルアップできそうだ。

A3を始めた。血がドバっと出る描写も18禁の理由だった。キャラクタデザインは18禁を前提とする妖艶なものだ

 しかし、いったんゲームを始めてしまえば、賞金トーナメントも騎士団も無関係にストーリーを楽しめる。騎士団に加わったとしても、ゲーム内の世界にも騎士団同士の闘いがあり、勝った騎士団には名誉だけではなく、世界の支配権などの特典もある。たとえば、地域の王として君臨する騎士団は、NPCの商店を所有できる。その店の税による収入があり、経済的に有利になる。これらの特典を得るために騎士団同士は王座を奪い合うわけだ。これだけでも充分に楽しそうで、プロゲーマーという仕組みが必要なのか、という疑問もある。

 このあたりについて、A3運営チームに詳しいお話を伺った。後編では同社のプロゲーマー制度創設の目的について掘り下げていくことにする。

騎士団に所有された店。騎士団に所属し、勝つことで有利になる
(c)2006 Actoz Soft and Anipark. All Rights Reserved.(c)2006 GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

(杉山淳一@RBB)
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