【CEATEC 2006 Vol.22】楽天が支持されるこれだけの理由——会長兼社長の三木谷氏が基調講演でアピール! | RBB TODAY
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【CEATEC 2006 Vol.22】楽天が支持されるこれだけの理由——会長兼社長の三木谷氏が基調講演でアピール!

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会長兼社長・三木谷浩史氏
  • 会長兼社長・三木谷浩史氏
 幕張メッセで開催中のCEATEC JAPAN 2006で4日、楽天の会長兼社長・三木谷浩史氏による「楽天の成長戦略とインターネットビジネスの今後」と題した基調講演が午後3時半から4時半まで行われた。講演では、同社の現在の状況とその分析を中心に、今後のビジネスの方針などが語られた。

 三木谷氏は、楽天が支持され続ける理由はそのユニークさにあるとし、他のECサイトは単純に「何を売るか?」に注目しているが、楽天では「誰が売っているのか?」を基本コンセプトとした、店長にすべてを一任した店作りを行っていることを最大の理由として挙げた。また、ほかのインターネットビジネスがトラフィック数と新規ユーザーの獲得をバロメーターとしている中、楽天では既存の会員の満足度を上げることをベースとした戦略を取っていて、会員の囲い込みを重要視していることを伺わせた。

 会員の満足度を向上させるために、楽天が世界で始めて導入したのがポイントプログラムだ。購入した商品の金額やサービス料金に応じて、楽天ポイントとは、楽天の各サービスで利用できる仮想通貨として働くものだが、これが会員の購買意欲を高めたり、囲い込みに有利に働いているとした。

 同社は2000年の株式公開以来、本来の主力事業となるEC事業のほか、ポータルサイト「インフォシーク」を運営するインフォシーク、宿泊施設検索予約サイト「旅の窓口」を運営するマイトリップ・ネット、現在の楽天クレジットとなる「あおぞらカード」、現在の楽天証券となるDLJディレクトSFG証券など様々な企業を買収することで提供するサービスを増やしてきた。買収当初はグループ企業内にシナジー効果が見られないなどの指摘を受けたが、すべてのサービスを楽天ブランドに統合することで大幅な売り上げ増を果たした、と三木谷氏は語った。さらには、今年中にアカウントのアグリゲーションを実施して、さらなるユーザーの利便性向上を追求する予定だ。

 2004年から実施されたブランド統合後のクロスユーズの増加はめざましく、楽天市場ユーザーの20%が楽天トラベルを利用し、36.5%が2つ以上の楽天のサービスを利用している。また、三木谷氏は証券やクレジットカード事業から得られる一人あたりの収益は、EC事業や宿泊予約サービスの5倍以上に達するとして、グループ内における楽天証券や楽天クレジットなどの金融事業の重要性を強調した。さらに、楽天証券ユーザーの66.3%が楽天会員で他サービスより飛び抜けてシナジー効果が高いことも示した。

 また、三木谷氏はユーザー発信型コンテンツ(CGM/UGM)も積極的にビジネスに取り入れているとし、その例として商品や宿泊施設、ゴルフ場などの合計1,500万件にのぼるクチコミ情報を掲載していることを挙げた。耐久財の購入にあたっては、従来はショップ店員のアドバイスや雑誌のレビュー記事などを利用して情報を集める必要があったが、楽天ではそれらはすべてインターネットに集約されている。約375万件のクチコミ情報を抱える楽天トラベルでは、ユーザーのレビューに対して宿泊施設側がコメントを返せるシステムになっていて、苦情に対する対応や改善次第ではさらに評判が上がるケースも見られている。また、レビューとブログを連動させて、ブログにレビューを書くと自動的に製品サイトとリンクされ、さらにはアフィリエイトもされるという、ユーザーと楽天とのwin-winの関係を築いているとした。また、これらの戦略は一見SNSライクなように見えるかもしれないが、SNSと競合するものではなくむしろ共存できるものだとの考えも示した。

 さらに、思わぬところからの競合企業の浮上を防ぐためにいかに早く楽天がありとあらゆるサービスを提供するかが重要と語ったものの、現在楽天グループに欠けている動画配信事業については「想定外」の事態が発生し続けている、動画配信事業で収益を上げるのは困難として慎重な姿勢を見せた。

 最後に三木谷氏は「入り口(=ポータル)を押さえるか、最後(=会員)を押さえるかしか勝つ道はない」と会員を中心としたビジネスの大切さを繰り返した。また、現状のテレビがメディアの中心となる生活は残り3年から5年で終焉を迎え、インターネットショッピングがメインストリームとなる時代が来るだろうと締めくくった。
《富永ジュン》
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