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産学協働の未来は? コミュニケーションが生む新たなイノベーションの展望を識者が語る
東京フォーラムで開催中の「イノベーションジャパン2006 大学見本市」において、13日「イノベーティブなデジタル協働を通して、より良い世界作りへ」と題したパネルディスカッションが開かれた。パネリストとして名を連ねたのは、国内外のIT分野における産・学におけるトップの6人。この6人からITにおけるコミュニケーションとコラボレーションによる成果と現状の課題、そして未来について活発な議論が繰り広げられた。
左から、モデレーターTIME誌 国際版編集長マイケル・エリオット氏、以下パネリストGoogle Inc.バイスプレジデント兼チーフインターネットエバンジェリスト ヴィントン G サーフ氏、科学技術振興機構(JST)研究開発センター センター長 生駒敏明氏、情報・システム研究機構 国立情報学研究所顧問 末松安晴氏、NEC取締役執行役員常務 中村努氏、富士ゼロックス 常務執行役員研究本部長 滝口孝一氏、マイクロソフトコーポレーション コーポレートバイスプレジデント、マクロソフトリサーチ ダニエル T リン氏
●ビジネスにおけるITとコミュニケーションの現状
まず各パネリストから聴かれたのはコミュニケーションの重要性だ。マイクロソフトのリン氏からは、同社がかかわったインドでの実例として、僻地教育の問題とその解決方法が示された。たった一つしかないコンピュータを使った教育現場において、同時に5つのマウスを接続・利用できるようにしたことで、教師と生徒双方による新しい理解が生まれるという。これらがPCの確保が難しい僻地教育でのひとつの解答になりうる事例であるとの意見が寄せられた。
富士ゼロックスの滝口氏からは、同社が5年前から研究開発を行っているビデオ会議システムの現状や問題点が明らかにされた。現場である工場などと意志決定機関である本社や役員との間をビデオ会議システムで結ぶことにより、現場で起こっているトラブルへの対処において時間面とコスト面で大きくアドバンテージがあるということが示された。ただし、ハードウエア上の問題点がクリアされたとしても、人と人が顔を合わせてこそ成立する独特の雰囲気や安心感といった心理的面への対応は現状のシステムではいまだ解決にいたっておらず、さらなる研究が必要ということだ。
NECの中村氏からは、現在の世界的なIT化の拡大速度に対応するために、現在IT化されていない地域のIT化に対するための様々なテクノロジーの開発が同社で進められていることなどが語られた。有線インフラがない地域での無線によるネットワークの構築、電気がない場所でのPCで動かすための手動型発電器内蔵マシンの開発などが主な研究課題だ。こうした現在はビジネスになりえないと考えられている分野においても、政府援助によるインセンティブといったビジネスモデルを見据えての先行開発を行っている。
●アカデミックレベルでのITとコミュニケーションの展開
JSTの生駒氏は技術によるイノベーションとは経済成長につながるというとが重要であるという認識の元、科学技術を社会に展開することこそが必要であり、そのためには産学の協働がポイントになりうるという意見が聴かれた。また、今後はコンピュータネットワークの発達に、日本独特の機械工業技術などが結ぶことがますます重要であり、このような異分野技術の統合開発こそがイノベーションにつながる一つの道であるという言葉が聞かれた。
国立情報科学研究所の末松氏は基礎研究の充実こそがイノベーションにつながるということを強調。大学における情報の共有とそのための研究が行われており、その中からまた新しい研究の芽が生まれつつあるという認識が示された。
最後にGoogle incのサーフ氏からは、検索エンジンを利用した情報の共有は、過去のものだけでなく未来に渡って情報を共有し、コミュニケーションを構築していくことこそが必要不可欠なものであり、それが同社の意義でもあると語った。また同社が提供するGoogle Earthといったアプリケーションにより、地図データと情報がリンクすることにより、新たな価値観とインターフェイスが創造されるとし、コラボレーションが未知の価値を創造するひとつの方法であるという可能性を示した。
●コミュニケーション/コラボレーションがもたらすものと課題
すでに多くの産学協働プロジェクトが行われており、特に生化学の分野では、異業種であるIT業界へも大きなフィードバックと進展がみられていることがリン氏の口から語られた。また、サーフ氏は電子メール利用における効率化の例を挙げ、インターネット黎明期ともいえるARPANET時代に電子メールの登場により作業効率が4倍にもなったということを指摘、電子メールというシステムを利用することによって、コミュニケーションにおける時間や場所からの解放が次の創造的ステップに果たした大きな役割を例に、小さなイノベーションがより大きなイノベーションを生むことの重要性を説いた。
パネルディスカッション後半では、来場者からの質問も取り上げられ、優秀でありながら“とっつきにくい”若手技術者とのコミュニケーションに対する問題や、どのように技術者を支援していくかといった課題などについても意見が交わされた。また、研究開発や新技術のイノベーションには特許といった法律の問題も大きく絡むことから、参加者から特許問題についての質問なども登場。法律家や法律運用面での政府や司法とのコミュニケーションの重要性なども改めて浮き彫りになるなど、ディスカッションが活発に交わされ成功裏に終了した。
(黒澤利男@RBB 2006年9月13日 22:09)
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