ブラザー工業は23日、都内で「ブラザー情報機器プライベートフェア2006」を開催。会場内では、特別講演として同社製品の導入事例を紹介する「外食産業の業務効率化を支えるIT活用セミナー」が行われた。 同セミナー第一部では「ブラザー販売の情報機器事業について」と題して、ブラザー販売代表取締役社長である神谷純氏が登壇。同社の情報機器事業について紹介した。 すでに同社の売上げ構成に占める情報機器の割合は67％を占めており、古くからの同社のイメージであるミシンの割合は14％にとどまっている。2006年3月期の売上げは5,792億円と好調で、同社では、特にアジアの情報産業向けの売上げ増が大きく貢献していると分析。9月には、ベトナムの同社工場が操業を開始する予定であり、今後もアジア市場を中心に、ワールドワイドに製品の供給を行っていくという。 第二部では「省コスト店舗システム実現へのこだわり」と題して、サイゼリヤの経営情報本部情報システム部長 遠藤浩哉氏と、伊藤忠テクノサイエンスの流通ビジネス営業第2部 宮脇宏幸氏の2人が登壇し、ブラザーのデジタル複合機MFC-8300Jの導入事例を紹介した。 サイゼリヤは現在、全国に750店のイタリアンレストラン・チェーンを展開する東証一部上場企業である。伊藤忠テクノサイエンスは、ブラザーのレーザー複合機「MFC-8300J」を、サイゼリヤの全店に納めた。 外食産業では、客席数を稼ぐために、従業員のための事務スペースは最小限に抑えられるケースが多い。その上サイゼリヤでは、ワークスペースに無駄なものは置かないという徹底した合理化を進めていたため、フットプリントの小さいブラザーのレーザー複合機は、まさにベストソリューションであったという。現在、同社の各店舗に置かれている主な情報機器は、POS/OES（Order Entry System）システム、店長用端末（PC）、そしてMFC-8300Jの3つである。 話はそれだけではない。サイゼリヤ側の運用にも徹底した合理化が図られていた。たとえば本部から各店舗への通達は、従来FAXで送信されていた。これをPDFに改めることで、電話料金を大幅に削減することに成功した。これは、よくある話である。 サイゼリヤでは、全店舗のアルバイトを含めた従業員2万人の出退勤管理をなんとか合理化できないだろうかと考えたのだ。そして各店のPOSシステムに備わるバーコードリーダーを利用するという結論に行き着いた。MFC-8300Jで、従業員の名前と従業員コードを印刷して、ネームプレートにし、それをスキャンすることで出退勤を管理することに成功した。 まだある。給与明細も、従来は本部で印刷したものを各店に配布していた。これもPOSシステムを使って、デジタルデータで各店に送信し、MFC-8300Jに出力して配るようにしたという。 サイゼリヤは、店頭公開から3年とたたないうちに、二部上場を経て一部上場を果たした注目の企業だが、その躍進の陰には、こうして情報機器を最大限に活用した小さな努力の積み重ねが、山のように築き上げられていたのである。 第三部では「強烈な人手不足時代。今こそ求められる高生産経営」と題して、外食産業の業界誌「フードビズ」の主幹である神山泉氏が登壇。外食産業の最新動向や業界が抱える問題点、その打開策などを、集まった外食産業関係者に向けて講演した。
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