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[WIRELESS JAPAN 2006] インテルがワイヤレス技術フォーラムでWiMAX技術を解説

ブロードバンド その他
WiMAX製品展開。デバイス内蔵型は2008年ころになりそうだ
  • WiMAX製品展開。デバイス内蔵型は2008年ころになりそうだ
  • WiMAXフォーラムメンバーの増加
  • 802.16-2004と802.16eの主な仕様の違い
  • 802.16のプロトコルスタック
  • OFDMAの場合には細かく区切ったサブキャリアをサブチャンネルというとびとびの形でばらばらにする。それを1本にまとめたものをサブチャンネルという。写真では4つのサブチャンネルにわけた形となっている。
  • 横軸が時間軸、縦軸がサブチャンネルをとる。Jはサブチャンネル4だけを使い、Eはすべてのチャンエルを使うなど、ダイナミックにユーザーA、B、C、D…に対して割り振っている。
  • SOFDMA
  • MIMO利用による効果
 「WIRELESS JAPAN 2006」ではIEEE802ワイヤレス技術フォーラムが開催されており、iBurstやWiMAX徹底攻略と題して数社が講演を行なっていた。ここでは、WiMAXフォーラムボードメンバー代表のインテルからインテル(株)マーケティング本部IAクライアント・プロダクト・マーケティング Wireless LAN&WiMAX製品プロダクト・マーケティング・マネージャーの梅野光氏の講演を紹介しよう。内容は報道関係者向けの講演に比べると、どちらかというとWiMAXの技術的な基本と動向を説明するものだった。

 802.16には802.16-2004(固定系向け)と802.16e-2005(モバイル)が存在し、802.16-2004は2004年6月に、802.16eは2005年12月に規格化が完了している。WiMAXフォーラムはIEEE802.16を基にする技術の世界での利用促進を目的として作られる業界団体で、プロファイルの策定と機器の認定認証を実施している。メンバー数は2004年春の段階では46社だったが、2006年6月には371社に増加。「通信事業者や機器メーカーの伸びが非常に大きい。WiMAXは通信事業社が使う技術なので、ここの部分が増えているのは、実際に使われている、あるいは使おうとしている技術ということができる。日本企業に関してもその数は徐々に増えている」と梅野氏は強調した。注目は802.16eになってきており、2006年中には17のトライアルが、2007年から2008年にかけては58のトライアルが計画されているという。2006年後半にはインテルの2.3GHz〜2.5GHzモバイルWiMAXカードが登場予定だ。デバイス内蔵型は2008年ころになりそうだ。

 なお、802.16-2004と802.16eの主な仕様の違いは以下の表のようになっている。

 使える周波数帯に違いはあるが、理論値としての伝送速度は最大75Mbpsまでとなっている。なお、802.16はさまざまな変調技術を認めているが、実際に使われるサービスでは固定型の802.16-2004ではOFDM方式(256のFFTポイント)を使い、モバイルの802.16eではSOFDMAなどを使っていく。大きな違いは、802.16-2004では固定あるいは歩行程度の移動性をカバーするのに対して、802.16eは加えて120km/h程度でもハンドオーバーしていく形になる。また、両規格とも1チャンネルに与える周波数帯は、最大20MHz(1.25〜20MHzまで可変)となっている。

 梅野氏は802.16のプロトコルスタックを紹介しながら、前述のOFDM、OFDMA、SOFDMAの詳細について解説した。OFDMはチャンネルをN個の副搬送波(サブキャリア)に分け、各サブキャリアのピークが隣接するサブキャリアを配置しお互いの影響をなくしている。チャンネルを細かく分けて互いに干渉しないように配置しながら多重化していくというものだ。また、OFDMの場合にはすべてのサブキャリアを1人のユーザーが占有したが、OFDMAの場合にはOFDMのスペクトラムを複数のサブキャリアで構成される複数のサブチャンネルに分割している。特徴としてはサブキャリアがとびとびになっているので、スペクトラム全体にわたって分散するということでノイズ耐性を強化することができる。また、サブチャンネルの割り当てを使って、異なる加入者に帯域幅を動的に割り当てることができる。

 SOFDMAはその拡張版で、チャネルの幅を変えるとそれに伴ってFFTの数が変わる。例えば、たった5MHzの1チャンネルのなかにもFFTの数が2048となると回路数が増えて複雑化するデメリットが生じる。そういった設計コスト面を考慮して、FFTの数はチャンネル帯域幅に応じて変動させている。

 またアンテナ技術に関しても解説がなされた。OFDMA PHYはアダプティブ・アンテナ・システム(AAS)をサーポートしている。例えば4つのアンテナを並べておき、その位相や振幅を変えることによって志向性を絞ることができる(ビーム・フォーミング)や、いらない方向へは電波を出さないという志向性を持たせることもできる(ヌル・ステアリング)が可能になり、カバーエリアの拡大と通信容量の改善を図ることができる。さらに、OFDMA PHYはMIMOアンテナもオプションでサポートしている。標準的な使い方としてはダウンリンクで2、3、または4素子の送信アンテナを使い、アップリンクでは2素子の送信アンテナを使うことになる。

 802.16伝送速度は理論値最大75Mbpsとしたが、梅野氏によると、「これは64QAMという最高の変調方式を使って3/4の符号化を行なったときに1チャンネルに20MHzを与えることで74.81Mbpsがでる。これはあくまで理論値最大なので、ここを期待するのではなく、現実的に10MHzのところになったりする。ただしMIMO技術を使うと理論上はこれを倍にすることができるので、チャンネル幅を抑えてもMIMO技術を使っていく使われ方が考えられる」とのこと。
《小板謙次》
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