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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
[GDC 06] 次世代に向けて動き出すXNA― MS クリス・サッチェル氏インタビュー
4月10日
 今回も大盛況に終わったGDC。本サイトでも多数の興味深い講演について報告したが、実はそれだけではない。もともとゲーム開発者向けのイベントとしては最大規模であることもあり、ミドルウェア、各種ツール、GPUメーカーなどがブースを設置して様々な商品のデモや展示を行なっているのだ。

 中でも大規模なスペースを占めていたのはマイクロソフト。『Windows Vista』や、『Xbox360』など、開発者の興味をそそるアイテムの展示などをおこなっていたが、このような状況下で発表されたのがウィンドウズとXbox間のクロスプラットフォーム化を容易に達成する『XNA Framework』だ。また、ゲーム開発の効率化、最適化を図ることを目標に開発された、ツールならびにテクノロジー群のセットである『XNA Studio』のコアである『XNA Build』を会場内で配布した。マイクロソフトがいかにゲーム開発者に対して、より「やさしい」開発環境を整えるべく努力をしていることがうかがえる一面だ。今回、GDC会場にてマイクロソフトゲーム開発グループジェネラルマネジャー、クリス・サッチェル氏にお話しを聞いた。

■MS開発トップが語るXNAのこれから

RBB: まず最初に、今回このように様々なツールならびにテクノロジー群が発表されましたが、その背景を教えてください。

クリス・サッチェル氏(以下、クリス): 昨年GDCに来たとき、私たちが主に語った事はXbox360についてでした。そこでは、ゲーム開発コストが高騰と開発プロセスそのものの複雑化について実感できたと思います。その後、Xbox360が発売され、リニューアルされたXbox Liveサービス、Xbox Live のマーケットプレースMarket Placeも大変成功しています。すでに1000万回件のコンテンツダウンロードが行われるとともに、ゲームダウンロードが250万件回も行われてます。しかもゲームについては、そのうちの20〜30%もの人たちが製品版を購入しているのです。私たちとしてはゲーム開発者がいかにこれらのチャンスをつかみ、利益を得ることができるかを考えてきました。そこで、開発者にとって、よりゲーム開発に集中できることを念頭に開発したてきたのです。


マイクロソフト ゲーム開発グループジェネラルマネジャー クリス・サッチェル氏

 まずXNA Studio Xbox Buildですが、これはゲーム開発者、SEエンジニア、グラフィッカーなど複数の人たちのフィードバックを統合し、手軽にプレビューをしながら、改善することが出来るしくみです。私たちはゲーム開発者にはゲーム開発に集中してもらいたいと思っています。単にコア技術に苦しみながらユーザーを待たせてしまう、という状況をなくしていきたいのです。

 XNA Frameworkは、マルチプラットフォームでのゲーム開発を可能にするために、2つのポイントに注力しました。C#とクロスプラットフォーム化に必要な様々なコンポーネントです。IT業界ではC#のほうがC++より簡単にプログラムを開発できるといわれ、業務にも活用もされていますが、いままでゲームそのものの開発ではあまり使用されていませんでした。そこで、XNA Frameworkではゲーム開発を念頭に置いたハイパフォーマンスバージョンを用意しました。

 また、ゲーム開発をよりシンプルにするコンポーネントとしては、オーディオのレンダリング、入力、ディスクアクセスなどがあげられます。これらのクロスプラットフォーム化を可能にするためのツールを準備することで開発プロセスの複雑化を抑制し、開発期間も短くすることができると思います。これらを導入することで、今までにないコンセプトのゲームが開発されるのではと思っています。最初は独立系ゲームスタジオでの導入から始まると思いますが、既に大規模なゲームスタジオも興味を持っています。これらを使用することで、斬新すぎて開発リスクが高いとみなされるゲームも、開発を効率化することでリスクの低減が図れるからです。

 もうひとつ強調したいのがXbox Live Server Platformです。セキュリティ、課金請求、コミュニティビルディング、ゲームスコア、マーケットプレイスなどのサーバーをベースとして自分たちの望みどおりに新たな機能を追加することが出来るのです。『Project Gotham Racing 3』の『ゴッサムTV』などがその一例です。MMOでもデータのストリーミングを楽しんだりできるようになります。これらによって、セキュリティが強化された基盤にメーカー側のあらたな付加価値サービスを導入でき、より斬新なサービスが可能になると思います。セキュアな環境で、しかも認証システムがすでに準備されているのです。開発者からは、より斬新なサービスの提案をしてもらえると考えています。

■高まるオンラインサービスへの関心

RBB:昨今、オンラインゲームサービスに対する関心が高くなってきましたが、御社はそのトレンドについていかが思われますか?

クリス:(基調講演を行ったSCEの)フィル・ハリソン氏が説明していた、SCEのオンライン戦略は、私たちが現在行なっている様々なオンラインサービスに近い内容も含まれています。ただし、問題はいかにしてセキュアなオンライン環境を構築するのか、です。すでにグローバル規模でおこなっている私たちが一番苦労したのはその点でした。

 わたしたちは、Xbox Liveで展開しているような段階にたどり着く前にも様々な経験を積んできました。MSNの大規模なデータセンターや企業用ネットワークサービスなどです。従って、現在のユーザーが望むようなサービスを提供できるようになるには相当な時間を要するでしょうね。ですが、より多くの企業がオンラインゲームサービスを提供するようになる、ということはユーザーにとっては大変望ましいことだと考えています。

RBB:昨今MODなどで話題になっているユーザーがコンテンツ開発に携わっていくというトレンドについてはどう思いますか?

クリス:ユーザーが開発に携わっていくMODのようなシステムですが、私たちもコミュニティが自らのクリエイティビティを発揮できるサービスを提供しようと動いています。開発者にはまず、ユーザーが手軽に自分たちの創造性を発揮出来る何かをゲームに盛り込んでもらうようにしています。例えば、『バーンアウトリベンジ』。自分たちのクラッシュシーンをクリップとして録画、編集し、サーバーにアップロードできます。

 もう一つの例は『Project Gotham Racing 3』の中のトラックエディターです。このようなフィーチャーを皮切りにコミュニティ構築が可能なコンテンツをユーザーが自ら作れるような環境を提供していきます。まずこれを最初のステップとしたうえで、ユーザーがより本格的なコンテンツを自ら作り、他のユーザーと共有できるモデルを模索していきます。まず開発者やパブリッシャーがこのような機能の拡充に対応いただけるか確認し、それぞれが積極的に取り組む意向があるのなら、私たちもいかにその動向をサポートしていくかについて考えていきます。次世代ではユーザーコンテンツが非常に重要になりますので、それを実現可能にするのが私たちの役割だと思っています。

RBB: これからユーザーコンテンツというのはどのように発展するのでしょうか?

クリス:『Forza Motorsport』をご存知ですか?このゲームはカーエディターが非常に優れています。このようなものをLiveで他のユーザーと共有できたら面白いでしょう? また、自分で作り上げたコンテンツを売買できたり、交換できたりということができれば、ユーザーの中からもっと真剣にコンテンツ開発に取り組む人たちが出てくるかもしれません。まだ具体的な計画はないのですが、このようなアイデアを更に発展させていく必要はあるかもしれませんね。

RBB:日本では内製ツールを使用する開発企業も多数存在しますが、今後はどのように変わっていくと思いますか?

クリス:ゲーム開発はこれからも複雑になっていきます。そのような意味では、いままで内製ツールを使用してきた企業も『Unreal』系テクノロジーやXNAなどを使用する必要が出てくると思います。次々と出てくる新技術に四苦八苦するよりは、より優れたゲームデザインをつくりあげることが重要ですから。

 自分自身の体験から見ると、ある意味では欧米以上に日本の開発者のほうがこれらの新技術を貪欲に受け入れたいと思っているようです。欧米のゲーム開発者は技術そのものに対する興味が深いのに対し、日本で会う開発者は「ゲームとは何か」に対して深く追求する人が多いようです。XNAに対し強く興味をもっていただいている日本のメーカーもいらっしゃいます。ゲーム開発も全てをコードで行なう時代からよりグラフィックユーザーインターフェイスが発達したツールで直観的に開発が出来る次代が近づいているのではと思います。この動向はわたしたちもサポートしていきたいと思いますし、『Unreal3』エンジンなど他社のパートナーが開発している各種ツールについても積極的にサポートしていきたいと思います。

RBB:ありがとうございました。
(中村彰憲@RBB)
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