★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
トップ
読み物
カレンダー
Other languages
★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
[AOGC2006] ゲーム内で完結したほうがおもしろい経済ならばRMTは自然消滅する
2月16日
MMORPGに限らず、ロールプレイングゲームにはお金を使う場面が出てくる。宿屋で宿泊費を払うし、武器や薬草をお店で買う。不要なアイテムを売って、強い武器を買うこともある。ゲームの中において、これらの売買行為は"お店屋さんごっこ"的な楽しみの要素であり、プレイヤーを育てるための"武器選択の面白さ"の演出でもある。商売のシーンを通じて、仮想世界で生活する実感を得られる、という効果もあるだろう。MMORPGではそこにユーザー間のゲーム内取引が発生するため、市中の通貨量やアイテムの相場が変動し、ちょっとした経済モデルに似た環境になっている。リアリティを追求するため、アイテム売買価格にランダムな相場変動制を採用しているゲームもある。
では、それらのゲーム内経済を、実際の経済学に照らし合わせて研究するとどうなるだろうか。そんなユニークな講演が山口浩氏(金融情報センター 地域総括部 審議役)による「ゲーム内経済学」だ。金融関係に携わる山口氏ならではの趣味的な視点だが、実は海外ではかなりアカデミックに行われている分野だという。エバークエスト2の世界を経済学的に見ると、住民の平均収入は1時間あたり3.42ドル。ひとりあたりのGNPはロシアとブルガリアの間、ゲーム通貨1単位あたりの価値は0.0107ドルで、円やリラよりも高い換算レートになるそうだ。
金融情報センター 地域総括部 審議役 山口浩氏
このような経済統計は、MMORPGならどれでも可能である。ゲーム内の経済は現実の経済に照らし合わせると"地域通貨"に似ている。また、食事や医療、家賃など、生活の固定費がゼロになっているため、時間が経過するほどすべてのプレイヤーがリッチになっていく「ドラゴンボール型経済」となっている。通貨が減るのはキャラクターが倒れたときで、それはすべてのプレーヤーが回避しようと努力している。つまり、市中の通貨量は増加傾向になりがちで、通貨がだぶつきがちだ。しかしアイテムの価格は市場の通貨量とは無関係に固定されているから、低レベルのユーザーが高価なアイテムを買える状況になっていく。これらを総じたMMORPG特有の経済現象を「MUDflation」という。
ゲーム運営会社がゲーム内の通貨量を増減させるための政策手段の提案がある。モンスターの出現率、強さの変更、NPCと受け渡しする料金の改定、例えばクエストの報酬や宿泊費を上下させる、サーバにユーザーを集中させてひとりあたりの通貨量を減らす"移民政策"などを挙げる。また、時間に応じて価値が減っていく生活必需品を設定する、アイテムに耐用年数と消費期限を設定する、アイテムの流行を設定して古いアイテムの価値を下げる、などの方策がある。山口氏の解説は、経済学を学んだ人にとっては確かに面白い観点だ。
……と、ここまでは、研究対象としてユニークだね、で終わってしまう話だ。しかし最近はそうも言っていられなくなった。RMTが盛んになり、ゲーム内の通貨と現実の通貨が取引されるようになったからだ。これは現実世界と仮想世界との間に行われる"貿易"である。長時間遊べるユーザーがゲーム内で取得したアイテムや通貨を、忙しくて遊ぶ時間が短いユーザーが買う。そこには、暇だけどお金が欲しい、というユーザーと、時間がないがお小遣いに余裕がある、というユーザーで取引する。つまり、お金と時間の交換が行われている。ここで米国で人気を博している『セカンドライフ』が紹介された。RMTを前提としたゲームシステムで、このゲームで生計を立てているプレイヤーも多いそうだ。
山口氏の講演は、ゲームに経済的な概念が盛り込まれており、重要な要素になっているにもかかわらず、ゲームデザインにおいて経済要素が重視されていないのではないか、という疑問から始まっている。そして、ゲームの作り手がきちんと経済学を理解してゲームに導入することで、ゲームはもっと面白くなるのではないか。ゲーム内の経済がどんなユーザーにも納得できるものであれば、ゲーム内経済はゲーム内で完結したほうが面白い、という状況を形成できるのではないか? というRMT自然消滅案も提案された。
山口氏の講演は、MMORPGは経済シミュレーションゲームとして楽しめるか? というお話とも受け止められる。しかし、これらのアイデアを導入してゲームは面白くなるのだろうか、という疑問も生まれる。シミュレーションゲームの場合、リアリティを追求しすぎるとつまらなくなってしまう。「電車でGO!」は面白いけれど、出発前の点呼はめんどうだし、始発電車に乗務するために早起きさせられてはたまらない。フライトシミュレーターで英会話が必須だったら、どんなに飛行機が好きでも手を出しにくいだろう。それをふまえて、ゲーム内経済学は、ゲーム内経済を現実の経済に近づけるのではなく、ゲームを面白くするための経済モデルの開発、というテーマへ発展したら面白くなりそうだ。
(杉山淳一@RBB)
関連リンク
|
Link
AOGC
Second Life
[AOGC2006] RMTを看過せず消滅させるでもなく秩序を確立する方策を提言する
その他のゲーム情報はSlash Gamesへ
リリース
|
RSSによる配信について
|
バナー広告
|
問い合わせ
|
会社概要
|
プライバシーポリシー
|
リンクについて
本サイトの内容は、著作権による保護を受けています。 Copyright (c) 1998-2006 IRI Commerce and Technology, Inc. All Rights Reserved.