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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
[AOGC2006] RMTを看過せず消滅させるでもなく秩序を確立する方策を提言する
2月16日
ゲームが"趣味の商い"から"市場"になり、さらに大きくなって"産業"として認識されるようになると、ほかのさまざまな分野とのコラボレーションが始まる。それを象徴するように、アジアオンラインゲームカンファレンス(AOGC)の講演者も金融関係、官公庁の要職など多彩になってきた。「日本のオンラインゲームにおけるRMTの現状」の登壇は中央政策研究所だ。
政治、経済、文化、教育などの分野を研究し、講演、研究会の開催、政策提言をする社団法人だ。設立は昭和38年。初代理事長は第三次吉田内閣で通商産業大臣を務めた稲垣平太郎氏。現在は最高顧問に元総理大臣の海部俊樹衆議院議員を迎え、理事には大企業の重人と元政府高官が名を連ねている。主催する講演会のお題目には医療、電力や外交問題など堅いテーマが並んでいる。しかし、よく見ると"ブログ"や"出版"など、身近なテーマも散見される。庶民にも親しみやすい一面を持つ研究機関のようだ。
中央政策研究所は、2005年にRMT(リアルマネートレード)調査委員会を設立した。きっかけは水谷亮太研究員がMMORPGのヘビーユーザーだったことに発する。もちろん研究対象ではなく余暇だったわけだが、彼がゲーム内通貨でほかのプレイヤーの私物を譲ってもらったこと、周囲を見渡せば現実にRMTが始まりだしていることから、そこに流通と経済の新しいモデルを発見する。水谷氏とRMT調査委員会は、"ゲーム通貨を法定通貨で売買する"という過去に類を見ない経済活動について、産業、個人の権利保護、モラルとルールの3点の整備が必要になると捉えている。中央政策研究所はRMTについて、是非を問うのではなく、ガイドラインの作成や適法の立案、提言等を行う方針である。
中央政策研究所 水谷亮太氏
RMT調査委員会は基本的な用語の確認やオンラインゲーム市場を把握したのち、RMTに関わる中国人ブローカー、中国人生産者、韓国人ブローカー、日本人取引業者など約30名への聞き取り調査を行った。RMTは個人間のシンプルな取引に留まらず、アイテムやゲーム通貨の取得のためだけにプレイを続ける"生産者"と、生産者から現実の通貨で仕入れを行う"ブローカー"、個人やブローカーから仕入れて一般ユーザーに販売する"業者"の発生におよんでいる。これらの取引は、本来ゲーム内で行われるべき"正規の取引"ではない。水谷氏によると「ネット上のダフ屋行為」と言えるという。ダフ屋は言い過ぎかな、と思うけれど、そこに法整備や秩序を確立して"金券ショップ"のレベルに引き上げることも必要かもしれない。
聞き取り調査の結果、RMTは"単なる販売行為ではなく流通そのもの"、"電子データの売買行為"、"MMORPG以外のゲームでも発生する可能性がある"、"仲介業者の発生により拡大傾向"、"ビジネススキームの国際化"という実態が明確になった。また、RMTはゲーム内アイテムや通貨の現金取引ではなく、ゲーム内アイテムと現実世界の物資の交換すべてを差し、本質的には(ゲームプレイ)時間の売買だという見解を示した。RMT調査委員会の中間報告書によると、"RMTの発生はMMORPGを楽しむ要素に近い"、"現在の市場規模は150億円にのぼり、RMT利用者はユーザーの5パーセント"、"不正アクセスやチートツールへの対応が問題"、"RMT活動の消滅は不可能"、とまとめられている。そこでRMT調査委員会は、「RMTを看過せず、消滅させるでもなく、秩序を確立する方策を提言する」という方針になった。
続いて"不正アクセスやチートツールへの対応"という面で、実際に発生したRMT業者の不正アクセス事件について報告が行われた。登壇はMMORPG『リネージュ』や『リネージュ2』をサービスしているエヌ・シー・ジャパン社の天野浩明氏だ。
エヌ・シー・ジャパン 天野浩明氏
この事件は香川県警が2005年7月19日に福岡県福岡市の中国人留学生の26歳の男性を、電子計算機損壊等業務妨害の疑いで逮捕したというもの。この男性は中国人ブローカーからアイテムを"輸入"して"販売"するに留まらず、不正に大量取得したユーザーアカウントを中国人"生産者"に輸出し、ゲーム内で取得されたアイテムを輸入していた。大量に取得された不正アカウントで生産者たちが活動に励んだだめ、海外からのアクセスが急増し、ゲームサーバーが重くなる、正規ユーザーが閉め出されるという状況が頻出。エヌ・シー・ジャパン社は不正アカウントの削除と海外からのアクセスを制限する事態となった。
ところが男性は、アクセスできなくなった生産者たちのために不正アカウントを再取得すると同時に、日本国内にプロキシーサーバーを設置して、海外からのアクセスを日本国内のアクセスに見せかける"IPロンダリング"を行った。これが逮捕の理由になっている。講演では事件の発生から取り調べ、逮捕に至るまでの様子が生々しく報告された。
再び水谷氏が登壇した。「RMTの是非は問わないが不正アクセスの温床になるという実態が明らかである。これはオンラインゲーム全体のイメージ低下につながるおそれがあるので、早急にガイドラインを整備し、不正行為をさせないための運用、監視、罰則が必要だ」と結んだ。質疑応答では、今回の講演スタイルについて「RMTイコール不正アクセスの温床、という見方は危険で、別の問題として考えるべき」という意見もあった。しかし、不正アクセスだけではなく、実態としてRMT業者を装った詐欺まがいの行為も散見されている。ガイドラインを作り、立法と産業の連携でRMTの正しいあり方を探る必要があることには変わらない。オンラインゲーム関係者としては、RMT調査委員会の次の発表に注目すべきだろう。
(杉山淳一@RBB)
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