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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
[AOGC2006] ゲームマスターは業務分掌改革へ -ガンホー堀氏
2月15日
 ガンホー・オンライン・エンターテイメント取締役開発本部長の堀誠一氏は、ニンテンドーDSを片手に「オンラインゲームには未来がある」と語った。次世代ハードウェアの登場、特に、ニンテンドーDSのWiFi機能はオンラインゲームの可能性を広げる。ニンテンドーDSは女性や中高年男性へとユーザー層を広げており、いままでゲームと疎遠だった人へ到達している。PCのUSBコネクタに『ニンテンドーWi-Fi USBコネクタ』を差し込むだけで世界中のプレーヤーと対戦できる。つまり、家のパソコンがインターネットのゲートウェイの役割をしてくれる。携帯ゲーム機+WiFiの組み合わせは、ユビキタス環境がオンラインサービスのクリエイターに開かれたことを意味している。

※オンラインゲームのサポートを担当するゲームマスター。ガンホーでは、“イベント制作課”と“PCオペレーション課”などに分業を進めている。写真は同社取締役開発本部長の堀誠一氏
同社取締役開発本部長の堀誠一氏

 しかし、その“未来”は良いことばかりではなさそうだ。未来をよりよいものにするために、現在の問題を解決する必要がある。それはチート(不正)、RMT、GM不足、コストの増大だ。

 チートは手法がメジャー化し、情報がいち早く伝播されて個人のチーターだけではなく、チート組織すら誕生している。RMTは倫理的な是非の問題というより、ゲームバランスを崩す要因になることが問題だ。初心者が簡単に攻撃力の高い武器を持つなど、開発者が意図しない状況が発生している。ゲームマスターの希望者は多い。しかし、企業が求める人材の応募がない。ユーザーが必要だと思っているGM像と、メーカーの考えるGM像は違う。ゲームマスターという職種には再定義が必要だ。コストの増大は、いままではサーバなどハードウェアの増強ばかり問われていたが、現在は電源と、機器の発熱を冷却するための空調用電力が問題だ。サーバ不足は増やせば解決できる。しかし、電源はオフィスビルでは簡単に増やせない。工場並みの電力を確保するために、いっそファシリティセンターを自前で建設するところまで踏み出せば、土地がらみの問題にも至ってしまう。

 堀氏はこうした問題点を「オンラインゲームの未完成な部分を突いて発生している」と指摘。マーケティング分野では基本となる知識『マズローの欲求段階説』を引き合いに出して、オンラインゲームはユーザーのニーズに正しく応えてきたか、と問いかける。ユーザーが何を望んでいるか。という研究は、レジャー、リゾートビジネスのマーケティングプロセスに似ている。売りっぱなしのパッケージソフトと違い、オンラインゲームはリピーターの確保が重要だ。それはレジャー施設がもっとも注力する部分である。

 こうした問題を解決しつつ、ゲームサービス事業の理想的な未来像を堀氏は提案する。それは、“より自由なサービス環境”、“セキュリティの確保”、“サービスチャネルの創造・統合・分業化”、“ソフトウェアプラットフォームの発現”だ。自由なサービス環境とは、冒頭のニンテンドーDSとPCの関係のように、あらゆる機器からPCなどのゲートウェイを経由してゲームを楽しめる状態にすること。セキュリティを確保するために、セキュリティの専門家の力を借り、ゲームに関するあらゆる部署が情報を共有して対策する。サービスチャネルの創造は、基調講演の森下氏が提唱した"コミュニテイメント"、ゲームタイトルを軸にした総合ポータルの開発にリンクしている。このことからも、コミュニテイメントとステイタイムの延長は、ガンホー社が一丸となって取り組んでいることがわかる。

 これらの要素を追求するためには、ゲームの仕組みを根底から変える必要がある。最後のソフトウェアプラットフォームの発現がそれで、ゲーム開発、決済、プロトコル、端末などが理想的にリンクするためには、ゲームに関する技術のイニシアチブをハードウェアからソフトウェアに移行させる必要があるという。ゲーム自身がOSの役目を持つのだ。

 堀氏は最後に、これらの未来像に至るガンホー社の取り組みを紹介した。この中で特に興味深い部分は“ゲームマスターの業務分掌改革”だった。実はガンホー社ではすでにゲームマスターという職位を廃止している。従来のゲームマスターはどうなったかと言えば、イベント制作課とPCオペレーション課に別れたという。ゲーム内イベントを企画立案する“プランナー”へ、システムのトラブルについてデータセンターまで触れる“ガーディアン”へ。どちらもマーケティングやエンジニアなど、将来性を与えてモチベーションの向上を図っている。一方、ゲームユーザーが望んでいた初心者のガイド役やハラスメントの相談は"キャスト"という職種が担当する。これはガンホーの社員ではなく、外注しているカスタマサポートと一本化していく。課金のみのサポートから、ゲームのサポートへと対応の幅を広げるという。ゲームマスターという仕事にあこがれても、待遇や将来性に不安で踏み込めない、そんな状況を改革して、優秀な人材を集めようとしている。この話だけで読み応えのあるインタビュー記事が作れそうなほどのアイデアだ。
(杉山淳一@RBB)
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