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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
「GMには社会人としての素養が最も重要」 ―SIG-OG第6回(後編)
10月3日
ブロードバンド推進協議会は10月1日、「運営次第でオンラインゲームはまだまだ面白くなる! ゲームマスターの仕事」と題して、オンラインゲーム専門部会(SIG-OG)の第6回研究会を開催した。その後編だ。
●GMには社会人としての素養が最も重要 -チーム「Trinity」リーダーの栗原哲氏
最後にビー・ビー・サーブから、チーム「Trinity」リーダーの栗原哲氏が、「GMサポートを必要とするMMOGの運営体制構築について」と題した講演を行った。栗原氏は国内MMORPGの黎明期から「ウルティマオンライン」「エバークエスト日本語版」といった人気タイトルのGM業務や、運営体制の構築、GMの教育、ローカライズなどを歴任してきた、日本のGMの草分け的な人物だ。現在は「真・三国無双BB(仮称)」「ベルアイル」などの運営体制構築に携わっている。自身がMMORPGの運営に長く携わってきた立場から、GM業務を「MMORPGなどの大規模ネットゲームのゲーム内カスタマサポートスタッフ」と定義し、GMに求められるノウハウや経験、実際の体制構築などについて語った。
チーム「Trinity」リーダーの栗原哲氏
栗原氏はGMに求められるスキルとして「カスタマサポートスタッフ」「ゲームプレイヤー」「エンターティナー」「社会人」「その他」の6項目をあげ、中でも社会人としての素養が最も重要だと説明した。特に最近ではゲーム内でハラスメント行為への対応などが求められており、社会人としての適切なバランス感覚が不可欠だという。またGM体制構築については、人材確保や教育に時間がかかることや、サポートポリシなどを開発側と協議して作成していく必要があるため、早期に準備を始めることが必要だと指摘した。
次に栗原氏はGM体制構築の3要素として「適切な組織体制」「ドキュメントの整備」「省力化のための機能」を上げた。
適切な組織体制の例としては、GM間でスキルに応じた階層化や組織化を行ったり、開発チームやカスタマサポートといった他のチームとの連携体制確立が重要だと述べた。栗原氏が実際に携わったMMORPGの例では、ハラスメントや経験値・アイテム弁済など、ユーザからGMに寄せられる要望の中でも、対応に高度な技能が要求されるものの割合は、全体の11%だという。また開発チームとの連携においては、特に海外のゲームにおいて、パッチ情報などの共有化が重要だと述べた。
ドキュメント整備については、サポート品質の維持とトレーニングの省力化の点から必須であること。マニュアル例としては個人情報保護やカスタマサポートの基本などから、想定されるFAQ集、GM向けのコマンドリスト、イベントシナリオのテンプレートなど。またサポートポリシの観点では、ユーザーに対してはサポートの平等性、運営チームにおいては問題発生時の迅速な意思決定、開発チームにおいては運営に必要な機能の選定という点で、相互の協力による作成が重要だと話した。特にリアルマネートレード(RMT:ゲーム内アイテムの現金等による取引)の対応については、開発時にポリシを決定しておき、ゲームデザインに盛り込んでおくのがベターだという。
省力化のための機能としては、運営コストの減少やサポート品質の向上のために、簡単なトラブルについてはプレーヤが自分でコマンドを使って解決できる機能や、FAQなどの整備を行うことが重要だと述べた。栗原氏によると、ユーザからGMへの要望のうち75%が、こうした省力化のための機能によって解決できる可能性があるとしており、その中にはプレーヤキャラクタのスタック解除や、ゲームに関する質問・要望、バグ報告、個人環境の障害解決などが含まれている。
最後にGMによるゲーム内イベントの注意点として、大前提としてイベント時にログインできたユーザしか参加機会がなく、全ユーザへの公平なサービスは不可能であると指摘した。その上で、退会抑止効果はあるが会員数の増加には効果が薄いこと、ただし同時接続数やアイテム販売などには効果があると話した。またユーザやコミュニティによっては特定GMとの社会的なトラブルが発生すること、イベント参加人数によってはクライアントPCやサーバに負担をかけるため、開発者との協議の上でシナリオを考える必要があることを指摘した。
●80年代前半のゲーム開発者を彷彿とさせるGMの人材不足
国内のオンラインゲーム産業がまだ黎明期にあることもあり、GM業務はどこも手探りの状態で運営が行われているのが現状だ。会社間での情報共有も積極的に行われているとはいえず、メディアに情報が露出することも少ない。それだけに今回のカンファレンスは内容の質・量共に充実した、意義深いものとなった。
今回講演者から異口同音に語られたのが、業界における優秀なGMの慢性的な人材不足である。全国のGM数については、はっきりとした統計はないが、数百名程度と言われている。一方でビー・ビー・サーブや、質疑応答でコメントしたガンホー・オンライン・エンターテイメントにおいても、GMの採用率は3%未満で、採用後も1〜2年で退職する例が多いという。これはGMという職業自体が萌芽期にあり、職業として一般的に認知されておらず、キャリアパスも未整備な点が背景にある。一方でオンラインゲームの運営の要がGMにある、という共通認識は広まっている。
こうした現状は、80年代前半のゲーム開発者を取り巻く状況も彷彿とさせる。当時ゲーム業界は海のものとも山のものともわからず、まともな大学生の就職先としてはみなされていなかった。そのためアルバイトの開発者がファミコン初期の市場を牽引し、プログラムからグラフィック、サウンドまで一人で何でもできる人間が重宝がられた(パンヤにおけるGMと運営の一体化は、職分が未分化だった初期のゲーム開発シーンに重なって見える)。
こうした問題の解決には、業界全体での職業としてのGMの認知向上や、教育制度の充実などがあげられる。オンラインゲームを自社開発しているメーカ各社には、開発者の新人教育の一環にGM研修などを取り入れ、キャリアパスに繋げることも提案したい。業務用ゲームのメーカの中には新人教育の一環としてゲームセンタでの店舗研修を実施しているところもあるが、同じ取り組みをオンラインでも積極的に実施するべきだろう。優秀なGMの採用増が、オンラインゲーム開発の競争力強化に繋がり、企業の成長に繋がる、という流れの確立に期待したい。
(ライター 小野憲史)
(RBB TODAY)
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「職業としてのGMはまだまだ黎明期」 −SIG-OG第6回(前編)
その他のゲーム情報はSlash Gamesへ
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