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iDCにエンジニアリソースを持つオン・ザ・エッヂがやるからライブドア事業は損をしない

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iDCにエンジニアリソースを持つオン・ザ・エッヂがやるからライブドア事業は損をしない
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 ライブドアの営業譲渡を受けるオン・ザ・エッヂであるが、オン・ザ・エッヂは譲渡月より単月黒字が可能だという。ブロードバンドにシフトしていく中で無料のナローバンドインターネット接続のどこに勝算があるのか。オン・ザ・エッヂの堀江社長(写真左)、ならびに山崎上級副社長(写真右)にインタビューを試みた。(本取材は10月31日夜に実施したもの)



 オン・ザ・エッヂが今日発表したライブドアの営業権譲り受けは、ナローバンドサービス、しかも無料のインターネット接続の終わりを意味するわけではない。実際、オン・ザ・エッヂは無料のインターネット接続サービスを継続するとしているし、ライブドアの営業権譲渡を受けた月から黒字化の流れが見えているという。問題は、無料インターネット接続の草分け的存在であるライブドアではなく、オン・ザ・エッヂに直近で黒字化のシナリオが書けたかである。

 オン・ザ・エッジが譲渡されるライブドアの会員数は150万人となる。長い目で見れば、ブロードバンド化の波と共に150万人の会員をオン・ザ・エッヂグループのISPサービスであるビットキャットに順次シフトさせることで、相乗効果を生み出す流れのようにもみえる。しかし、それが実現するのはまだまだ先のことで、堀江氏、山崎氏ともにその流れは可能性を否定しない程度の付加価値の部分としてとらえている。むしろ、無料インターネット接続サービスの単月黒字化のめどが見えたからということこそがライブドアの譲渡を受けることに踏み切ったといえる。

 オン・ザ・エッヂがライブドアのために描いたシナリオは次のようなものだ。まず、ライブドアは、電話代の接続料のキックバックを収益とするサービスである。そして、現状で「6億円を超える接続料の売り上げ」があるという。つまり、ランニングコストを落とせれば十分に収益が見込めるビジネスになる。そのために2つのアプローチを組み合わせた。ひとつは自社内の技術者とデータセンターというリソースを使うことで、ユーザサービスのためのサーバ運営コストをわずかな固定費にするということだ。そして、さらに大きなコスト削減は、サービスの提供自体を数多くのISPサービスを提供しているフリービットドットコムに委託して、レベニューシェア型の変動費に置き替えると共に全国展開するということだ。

 「負債は引き受けないため、既存のサービスで黒字化するシナリオになればいい。そうすると、固定費の削減がいちばん効果的だ。いままでライブドアは高いインフラを使ってきた。そこで、高いインフラを解約し、安価でより安心できるものに切り換える。それがフリービットドットコムとの提携となる。フリービットドットコムはいくつもの会社にISPサービスを提携している実績もあり安心できるうえにコスト面でも悪くない。しかも全国展開も可能となる」(堀江氏)。オン・ザ・エッヂ型のライブドアサービスは、フリービットドットコムにアウトソースして全国どこからでも3分8.5円という電話代だけのインターネットサービスになる。しかも、オン・ザ・エッヂはエンドユーザが支払う電話代の一部をレベニューシェアとしてキックバックを受けることで利益を出すビジネスになる。これこそが、譲渡月からの黒字を実現させ、絶対に損をしないためのシナリオだ。

 ところが、このシナリオを右肩上がりで描くには、アクティブ会員数の減少という要素を否定しないといけない。サービス自体の運営をレベニューシェア型でアウトソースする以上、オン・ザ・エッヂにとってライブドアのサービスでは損金が出にくい。しかし、アクティブではないユーザが増えれば利幅も小さくなる。実際、
「150万人のうち、アクティブな会員数は30万人」(山崎氏)と語っている。しかし、山崎氏は「120万人もの潜在ユーザを活性化させればいい」とみている。そのための方策が全国展開であり、全国どこからでも3分8.5円という接続料金でサービスを提供するというものだ。「これならアクティブ率は高まるであろうし、新規ユーザの加入という拡大も見込める」(山崎氏)という。

 オン・ザ・エッヂが勝算を見込んだ部分はそれだけではない。ナローバンドはすぐに終焉を迎えるわけではないという。「日本のブロードバンドはそろそろ頭打ちになる。複数台のPCに常時繋げっぱなしのルータ。このための電力消費はばかにはならない。さらにADSLに偏ったブロードバンド環境は、利用者が1,000万人ぐらいになると都心部にADSLサービスが集中する問題が生じ、ふくそうの問題が顕著となる」(堀江氏)。つまり、ある程度のところでいったんブロードバンド化の流れは一度落ち着き、問題が解消されるまで待たなければいけないという読みをオン・ザ・エッヂはしている。さらに、「提供可能距離の問題でブロードバンド化から残される地域が必ず出てくる。つまり、ダイアルアップは絶対になくならない」(堀江氏)という。



■会員数をベースに新たなコンテンツを提供できる場に

 このまま順調にすすむと、オン・ザ・エッヂは11月下旬にもライブドアの営業権を無事譲り受けられることになる。150万人の接続ビジネスだけで終わるわけはなく、付加価値サービスを加えることで、オン・ザ・エッヂはさらに右肩上がりのシナリオをかく。すでに同社はアスキーECを運営したり、Eudoraを販売するなど、EC分野でも積極的な活動をしている。コマースに持ち込むという付加価値の誘導もある。しかし、山崎氏が期待している部分は、「多くの会員がいるというメリットを生かしてB2B2Cビジネスに持ち込む」(山崎氏)というものだ。

 山崎氏は、「ライブドアという仕組みをいろいろな企業に卸すというイメージをもっている。コンテンツ会社であれば、無料のコンテンツをライブドアの会員に見てもらうことで、接続料のキックバックの一部をコンテンツ提供主に支払えるようになる。そうすることで、コンテンツが無料ではなく有料となる」というものだ。ここから先は、オン・ザ・エッヂがもっとも強い分野での勝負となる。iDCであるデータホテルをそうした企業に使ってもらう。また、セキュアな形で金融サービスと結びつけるためにiDCと結びつけるという方法もある。また、金融系サービスであれば、セキュアな環境を守るためにライブドアを使ったダイアルアップを必須とするともありえる。こうしたコンテンツ面、サービス面でのユーザニーズの掘り起こしが、ライブドアの利用時間を増やすことにつながるとしている。

 そのためには、さらにアクティブなユーザを増やし、多くの魅力あるコンテンツを長時間利用してもらうことが必要だ。また、魅力のあるコンテンツやサービス提供者にどれだけキックバックできるかということもさらに人気の高いコンテンやサービスを獲得するためのにも必要だ。

 実際、最近のオン・ザ・エッヂの動きはそれを裏付けるものにもみえる。たとえば、プロジーグループの子会社化やアスキーECの営業権譲渡を受けたり、ビデオアーカイブ分野やiモード分野での提携などコンシューマ向けサービス分野での動きがめだつ。また、堀江氏はオン・ザ・エッヂグループとしてオンラインゲームの準備をしていることも否定はしていない。こうしたグループを含めた動きはライブドアのサービスへとつながり、複合して利益を生み出すことになる。

 このところ、オン・ザ・エッヂの動きはコストを削減して利益を確実に出す、損をしないビジネスの動きが顕著だ。堀江氏は会社のお金を会社のお金だと思わずに自分のお財布だと思っている。だから無駄使いはしないといいながら次の会議に向かった。そして、今後もこうした動きは続けていくと山崎氏も語っている。これからオン・ザ・エッヂグループが進むところはどんなビジネスカテゴリなのか、オン・ザ・エッヂの動きはとまらない。
《RBB TODAY》
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