Slash Games
JapaneseEnglishKoreanShmplified ChineseTraditional Chinese
     
トップ
読み物
カレンダー
Other languages

Slash Games編「ゲームと学問 〜開発・研究・教育〜」

GDC2006 シリアスゲームサミットレポート

藤本 徹(ペンシルバニア州立大学、シリアスゲームジャパン)
2006年4月4日

 はじめに
 

 Game Developers Conference(GDC)の初日と二日目に開催されるシリアスゲームサミットは、今年で3回目となった。2004年に第一回が開催された時には、会場はひと部屋だけで、全てのセッションに参加することができたのだが、昨年から大幅に拡充されて、複数のセッションが同時進行するようになった。今年は3つのセッション会場で、二日間合計で35セッションが行なわれた。昨年に比べて運営も小慣れてシンプルになった印象で、GDC全体の流れの中ですっかり定着した感がある。なお、このシリアスゲームサミットは、毎年10月にワシントンDCでも行なわれていて、年2回開催されているので今回が5回目である。GDCサミットでは、開発者向け中心のセッション構成で、開発事例の紹介やビジネス絡みのテーマが多めに提供されている一方、DCサミットではシリアスゲームのスポンサーやユーザーに向けた構成で、学術研究寄りのセッションや、シリアスゲームを利用するクライアント側の視点に合わせたセッションの割合が多い。

 このコラムでは、セッションのいくつかをピックアップしてレポートし、今回のシリアスゲームサミットのポイントを総括する。最後にまとめとして、ゲーム産業のごくマイナーな存在から成長して、一つの産業としてスピンアウトしつつあるシリアスゲームの、日本における今後を展望する。

GDC 2006 会場外観


 セカンドライフの概要と状況― リンデン・ラボCEO基調講演
 

 初日の基調講演は、リンデン・ラボ社CEO、Philip Rosendale氏が「You Can (Not) Be Serious」と題して、同社のMMO「セカンドライフ(Second Life)」の概要と、そのバーチャル世界で起こっているさまざまな現象を紹介した。昨年のキーノートのRaph Coster氏に続き、シリアスゲームサミットのキーノートには、GDCの参加者全体の関心とシリアスゲームのコミュニティの関心のオーバーラップの濃いところを人選しているようである。それを反映して、出足の鈍くなりがちな初日の朝一にもかかわらず、多くの来場者が詰め掛けた。

リンデン・ラボ社 CEO Philip Rosendale氏

 Rosendale氏は、セカンドライフの開発は、ゲームとしてよりも実生活のシミュレーション、リアルライフを再現したバーチャル世界をどうやって作るかという関心をもとに進められたと述べた。そのバーチャル世界の中で、スクリプトを書いたり、グラフィックをインポートしたりして、ユーザーは自由にモノ作りを楽しめる。開発者はそのプラットフォーム提供に専念している。ユーザーたちは非常にクリエイティブで、凧あげのような全く想定していなかった遊びを編み出したりもしている。現在では16万ユーザーを超え、32000エーカーものバーチャル世界が構築されている。月500万ドル(約5億5千万円)以上のユーザー間売買があり、ゲーム内でユーザーが自作したオブジェクトのデータは15テラバイトを超える。毎日500ものユーザー主催のイベントが行なわれ、23万アイテムが売買、交換されている。43%のユーザーは女性で、全ユーザーの年齢の中央値は32歳、25%が米国以外のユーザーで占められている。

 ユーザーによる自発的な活動が循環し始めるには、ある程度の規模を確保する必要があり、リンデン・ラボはそのための戦略として、登録は無料にして、プレイの自由度を高める土地レンタルに月額課金を行なうという形を取った。ユーザー間のアイテム売買については、高い収益を上げるユーザーがいる一方で、ほとんどのユーザーは赤字かわずかな黒字で推移しているというデータが示された。

 また、ユーザーがセカンドライフの世界でどのような活動をしているかが紹介された。ツールの開発、募金活動、映画撮影、セラピー、トレーニングなどの例が紹介され、特に大学の授業向けにライセンス提供を行なっていて、今学期だけでも17講座が実施されている。セカンドライフの世界で行われている教育・研究プロジェクトは100を超えており、大学の授業だけでなく、心理学の実験や社会学研究なども行われている。Rosedale氏は「新しいメディアはエンターテイメントが先導する」と言及し、テレビやチャットや発達してきたメディアがエンターテイメント用途でまず発達したように、セカンドライフがそうした役割を担っていくことを目指していると抱負を述べた。


PAGE TOP NEXT
新着ニュース
記事一覧へ
リリースRSSによる配信についてバナー広告問い合わせ会社概要プライバシーポリシーリンクについて
RBB TODAY RESONSE e-nenpi.com cbook24.com DOKOYO MONO ONLINE
本サイトの内容は、著作権による保護を受けています。 Copyright (c) 1998-2006 IRI Commerce and Technology, Inc. All Rights Reserved.
IRI Commerce and Technology, Inc.