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メイド喫茶が増え続けるわけ
2006年2月28日
私がメイド喫茶の類いについて書くと、それらが好きな人からは「愛が足りない」と酷評され、そうした店を胡散臭く思っている人からは「お前もそちら側の人間か」と言われる。実際、どちらもその通りなので反論はしない、と予防線を張りつつ今回の話に入る。
メイド喫茶をはじめとするメイド/コスプレ系店舗が、最近なぜ数多く作られるのかについて、私は、メイド服などを採用するということ自体が、ある種の客層に向けた「あなたたちを歓迎します」という信号として使われているからだと解釈している。もちろんメイド服自体がかわいいとか、メイドという記号が内包する奉仕の精神が客の「癒されたい」願望に合致するといった要因も無視できないが、それらを含めて、そうした記号に反応する客層を期待するかどうかのフラグなのだ。
この客層は、今も決して社会の多数派ではないが、しかし昔に比べれば、もはやニッチとは言えないほど十分なボリュームがある。そしてこの層は、一般に店に対してのロイヤリティが高く、したがってリピーター率が非常に高くなる。店舗を経営する側にとっては、ありがたい客層だろう。しかも、従来は同種のサービスを提供する店舗に足を踏み入れなかったり、頻繁には足を運ばなかったりする人たちを、メイド服という記号を付加することによって、足繁く通ってくれる客にできる。
ただしもちろん、この客層のメンタリティに合致した店舗を作り出せれば、という条件がつく。それは店の内装や、提供するサービスないし飲食物のクオリティといったことよりも、接客スタッフの人選と教育によって、客が店内で気後れせず、むしろ自分の居場所と感じてくつろげるようにすることが肝腎だ。
表通りの小洒落たカフェには疎外感を覚え、普段はたまにフランチャイズの安い店でコーヒーを飲むくらいが関の山という人が、メイド喫茶には通い詰める。そうした客層とニーズがある限り、メイド喫茶は減らないだろう。
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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