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マニアの意見を過信するな
2006年2月3日
Webが普及して、多くの人が自分の意見を発信できるようになった。すると、そうした意見を積極的に見ようとする人も現れる。とりわけ、サービスを提供している店舗や、何らかのコンテンツを製作したり販売している側の人にとっては、自ら提供しているサービスやコンテンツについて、客がどう感じているかを知ることができる貴重な情報源となる。
客の意見に耳を傾けようとすること自体は、非常に良いことだ。ただ、Webで個人が発する情報というものの性質について理解しておかないと、この「自己流Webマーケットリサーチ」は、思わぬ隘路にはまり込んでしまう。
個人発の情報をどう読み解けば良いか、という一般論については、このコラムでも以前(*1)大まかに述べたことがある。個人の日常的な行動記録の中で感想として語られているものについては、そうした読み方で良い。今回は少し踏み込んで、個人発ではあるが、特定ジャンルについて集中的かつ継続的に述べているサイトやブログの読み方を考えたい。
そもそも特定の話題についてのサイトを作り、継続的に発言している時点で、その人は一般的な客ではなくマニアだということに十分留意すべきである。もちろんマニアであるがゆえの造詣の深い意見を聞ける場合も多いが、反面、他の人にはどうでも良い些事が、マニアとして譲れない「こだわり」に抵触し、著しく偏った意見になっていることもある。
提供しているサービスやコンテンツの内容や、想定する顧客層にもよるが、多くの場合、提供側が目指すべきは、最大多数の最大幸福である。逆に言えば、その目的のためには、ごく一部のマニアの不満はあえて看過すべき場面もあるのだ。客の意見を聞くということは、むしろサイレントマジョリティの声なき声に耳を傾けることでなければならない。
Webでは発言頻度の高い人、強い言葉を使う人が「声の大きい」人になりがちだ。しかし、大きな声がすべての客の代表ではない。
*1 「ネット時代の情報リテラシー」(上)http://www.rbbtoday.com/column/ittoku/20050927/
、(中) http://www.rbbtoday.com/column/ittoku/20050930/
、(下)http://www.rbbtoday.com/column/ittoku/20051004/
(2005年9月27日、30日、10月4 日掲載)
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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