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変わりゆく街としての秋葉原
2005年12月16日
引き続き、AKB48と秋葉原の話をする。
AKB48のステージでは、学校の鐘の音を多用し、衣装も学校の制服をモチーフにしたものが多かった。楽曲は80年代のアイドル歌謡曲風で、30代くらいの人なら懐かしい印象を持つだろう。しかし、制服を着ていて当然の年齢の人が制服風の衣装を着ていてもコスプレではないし、一方で楽曲は今のアニメ主題歌などとも、声優系のアニメ声での歌とも違う。つまり「萌え」要素は、意図的にかそうでないのか分からないが、ほぼ排除されている。そういった点で、今の秋葉原に持って来るにしては、やや場違いな感が否めないのだ。
もし今「秋葉原発の」と呼ばれるべき人たちがいるとしたら、暑かったり寒かったりする中、路上で自らコスプレでビラを撒き、写真撮影に応じてポーズを取ったり、時には路上でゲリラライブをやって警官に注意されたりしている人たちではないのだろうか。その意味ではメジャーデビュー後2曲続けて中ヒットになりながら、未だに毎週末のように中央通りで見かけるバンドLittle
Nonのように、秋葉原の路上を愛し、愛されている人たちこそ、その呼び名に相応しいように思う。
もっとも、誰が何の目的でどの街に何を作ろうが、法にでも触れない限り、文句を言う資格のある人はどこにもいない。電気街のあちこちにパソコン屋が出来始めた時も、最初のうちは裏通りに肩身が狭そうにしながら増えて行ったものだった。秋葉原でコミック系同人誌を販売し、萌え系の先駆けとなった店が、最初はどれだけ狭くて急な階段の不便な建物に入っていたか、今の秋葉原を萌えの聖地と思って闊歩する若い人の大半は知るまい。
当初はどんなに異質な新参者だと思っていても、やがてそれが定着し、街に来る人たちまでも変えていくことがある。それが秋葉原という街の柔軟性だ。秋葉原48劇場とAKB48が、秋葉原の地熱を吸収して定着できるのかどうか、今後も注目し続けたいと思っている。
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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