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中国で日本酒を受け入れるのは若者?

ビジネス 経営
中国での日本酒試飲会で、現地の方に日本酒を振る舞う
  • 中国での日本酒試飲会で、現地の方に日本酒を振る舞う
  • 「日本の酒文化を北京の人たちに広める」をテーマに、和醸が北京で経営する「地酒ダイニングsakeMANZO」の店内
  • 北京で活躍する若手建築家・松原弘典氏が店舗をデザインした「地酒ダイニングsakeMANZO」
  • 中国を中心に日本酒の輸出、直営レストラン経営、販促活動を展開する株式会社和醸の山本敬氏
【記事のポイント】
▼中国やアジア圏のターゲットは若者
▼アジア圏での戦略にはストーリー性が重要


■若者の多い国が有望なマーケットになる

 国内の輸出産業として日本酒が盛り上がりを見せている。外食チェーンによる海外進出の増加、海外メディアでの日本酒の紹介を背景に、海外市場に販路を広げている日本酒業界。国内市場が縮小傾向にあることも相まって、海外戦略に真剣に取り組む酒蔵は増えており、15年の輸出額は前年比で約2割増となる140億円と過去最高額を記録している。

 海外進出を目指す国内の酒造業者は、今後どのような戦略を取るべきか。中国を中心に日本酒の輸出や販促活動を行い、国家戦略プロジェクト「世界で活躍し『日本』を発信する日本人」にも選ばれた和醸の山本敬代表取締役社長は、「マーケットとしては中国ですが、ベトナムとタイも有望ですね。両国とも若い人たちがとても多いことに注目しています」と話す。

 長年、中国で日本酒を販売する中で、「年配の人に日本酒を勧めてもなかなか受け入れられない」と実感したという山本氏。どうやら若者の方が、これまで馴染みのなかった日本酒文化を受け入れやすいようだ。

■販路もマーケティングもインターネットが鍵

 では、中国で日本酒を販売するにあたって、どのような販路が狙い目なのか。これについて山本氏は、まず小売店ではなく、飲食店にターゲットを絞るべきだと断言する。

「現地で日本酒はスーパーで買って自分で飲んだり、他人にプレゼントするよりも、まだまだ『日本料理店に行って飲むもの』と認識されています」

 さらに中国では小売店という業態そのものが、インターネット販売に押されているとのこと。「小売店との取引のように契約金などのコストも必要ないため、インターネット販売は今後有望だと考えています」と語る。

 また、インターネットが生活に密着している中国では、マーケティング面でもメッセージングアプリ「WeChat(微信)」などのSNSの活用が有効とのこと。「雑誌に高いお金を使って広告を出すより、SNSで発信力のある人に記事を書いてもらう方が、広告の効果がありますね」と話している。


 その上で日本の酒造業者が海外市場で成功する上で、必要不可欠な要素は「お酒にストーリー性があるかどうかですね」と語る山本氏。消費者に向けのアピールに関しても、日本では“精米の具合”など技術的な部分に重点を置きがちだが「実際のところ、消費者は技術的な部分についてよく分からないんですよ」と話す。

「それよりも5秒で相手の興味を惹くような言葉が大事ですね。各国の首脳が飲んだ、晩餐会で振る舞われたといった言葉もその一種です。もちろん味の良さが大事ですが、それ以上にストーリー性が無いと海外では売れません」

■現地パートナーをしっかり選ぶ

 中国などのアジア圏で日本酒を販売する際には、現地での販売者を上手にコントロールすることも重要となる。中国ではあまり利益を乗せずに、右から左へと商品を転売する業者が多い。せっかく人気商品になったにも関わらず、同じ商品で価格競争が生じてしまい、ブランドとしての価値が下がってしまうケースもあるという。

 北京で日本酒・焼酎の種類は中国大陸No.1を誇る直営レストランを経営し、日本酒の試飲会などのイベントも精力的に開催している山本氏。「普段は日本酒を飲まない人も、試しに飲んでみようという日にしたいんですよ」と、近年では中国で1月1日を“日本酒の日”にしようと取り組んでいる。

 現地の特性を熟知した販売方法と、消費者に訴えかけるストーリー性――先駆者の言葉には、“SAKE”で海外の販路を切り開くヒントが詰まっている。

~Sakeの海外戦略:3~中国戦略の鍵はネットとエピソード!

《本折浩之/HANJO HANJO編集部》
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