早稲田大学(理工学術院 岩瀬英治准教授、大学院基幹理工学研究科修士1年の古志知也氏)は18日、配線上に一度クラック(ひび割れ、亀裂)が生じても、自己修復する金属配線を実現したことを発表した。 この技術を使うことで、フレキシブルデバイス向けの伸縮配線、温度変化により疲労を受ける電子基板上の金属配線などに、自己修復機能を付け加えることができるという。 伸縮配線では、導電性材料をゴムなどに混ぜたり、金属を湾曲させた形状として伸縮性を持たせたりするなどの工夫が施されているが、クラック(亀裂)の可能性があるため、クラックのあるなし、クラックの場所、大きさを、自ら診断したように適切に修復する“自己修復”機能が求められていた。 今回開発された技術では、金属配線とそれを覆うように金属ナノ粒子を含む液体を配置。電圧の印加によりクラック部のみに金属ナノ粒子が集まり架橋し、修復することを可能とした。一度クラックが修復すると、金属配線がつながり電界が生じなくなるため、それ以上過度な修復は行われない。 現在、さらに大きなクラック幅の修復の実現や、さらに高い自己修復機能を目指して改良を進めているとのこと。また、現状の構成では液体の封止が必要となるが、金属ナノ粒子をゲル中に分散させた構成の研究も進めている。研究成果について、早稲田大学では特許出願済み。