サポーターは南米大陸の中心で何を叫ぶか……明朝W杯日本対コロンビア戦 | RBB TODAY
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サポーターは南米大陸の中心で何を叫ぶか……明朝W杯日本対コロンビア戦

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アレナ・パンタナルで練習する日本代表(6月23日) (c) Getty Images
  • アレナ・パンタナルで練習する日本代表(6月23日) (c) Getty Images
  • 名門サントス(白)をアレナ・パンタナルに迎えたミスト(4月のブラジル杯) (c) Getty Images
  • パンタナル (c) Getty Images
  • パンタナル (c) Getty Images
  • クイアバ市 (c) Getty Images
  • クイアバ市 (c) Getty Images
  • アレナ・パンタナル (c) Getty Images
  • アレナ・パンタナル (c) Getty Images
 日本代表がFIFAワールドカップ決勝トーナメント進出をかけてコロンビア戦に挑むクイアバは、これまでの2戦を戦った海辺の都市とはうってかわって高温多湿の内陸都市である。

 どの程度の「内陸」なのかと言えば、これ以上の「内陸」はない。なぜならば、クイアバは「南米大陸の中心」にあり、市議会がある広場にはそのことを示す高さ20mのオベリスクが建てられているほどだ。

 ユネスコの世界自然遺産に登録されている「パンタナル自然保護地域」にはいくつかの観光拠点があるが、クイアバからのアクセスはもっとも人気のあるルートのひとつとなっている。「パンタナル」はポルトガル語で「湿地帯」を意味するが、この湿地帯はブラジル、ボリビア、パラグアイの3カ国にまたがる形で広がっており、日本の本州とほぼ同面積である。日本でも人気の高いカピバラやピラニアをはじめ、ワニ、ジャガー、アルマジロ、バク、アリクイなどの動物を野生の状態で観ることができる。

 日本対コロンビアの試合が開催されるアレナ・パンタナル競技場の名称もここから採られているのだが、今回のワールドカップの開催地12会場の中にクイアバが含まれたことはブラジル国内で物議をかもすこととなった。アレナ・アマゾニア競技場を持つマナウスも同様なのであるが、伝統的に「サッカー後進地域」なのである。ワールドカップ終了後にこれらのスタジアムが満員になることは稀であると考えられており、施設を維持していくことが困難になるのではないかとの懸念が強い。

 クイアバで「最も強い(弱くない)チーム」はミストであるが、2014年現在ブラジル選手権の「セリエD(4部リーグに相当)」に属している。サッカーの実力はいまひとつとしか言えないチームではあるが、このチームには輝かしい歴史がある。それは、1934年にスポーツクラブとして設立された際に、当時としては珍しかった女性の参加を認めたのだ。チーム名の「ミスト」は「(男女)混合」(英語のmixedと同意)からきている。創立者たちの強い信念がそこにはある。

 クイアバやマナウスが会場に選ばれた理由には、同地を訪問する外国人たちがサッカーの試合だけを観て帰るのではなく、観光地の魅力を「発見」することへの期待が含まれている。観光産業が根付いた暁にはミストやマナウスのチームがブラジルの「セリエA」で活躍する日がくるかもしれない。

筆者紹介:高木耕(たかぎ・こう)……神田外語大学ブラジル・ポルトガル語専攻教員(准教授)。1994年筑波大学大学院修士課程修了。外務省専門調査員、国連平和維持活動選挙監視員、国際協力機構長期派遣専門家を経て2001年より現職。「ポルトガル語」、「ラテンアメリカ政治論」、「国際開発論」などの科目を担当。ブラジルのリオデジャネイロとレシフェに5年ずつとコロンビアのボゴタに3年間住んだ経験があり、それぞれの国ではスタジアム、対戦カードを問わずサッカー観戦を繰り返す。昨年、テレビ朝日系「世界なるほど!CM学院」に出演している。
《高木耕》
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