なぜ音声アプリベンチャーが高額買収されるのか?……Twilio Japan Summit 2014 | RBB TODAY
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なぜ音声アプリベンチャーが高額買収されるのか?……Twilio Japan Summit 2014

エンタープライズ ソフトウェア・サービス
KWC Twilio事業部 ゼネラルマネージャー 小出範幸氏
  • KWC Twilio事業部 ゼネラルマネージャー 小出範幸氏
  • Twilioで0120が使えるように
  • Twilio チーフマーケティングオフィサー(CMO) Linda Smith氏
  • Twilio ビジネス開発本部長 Brian Mullen氏
  • Webフォームに電話申し込みを実装したら売上が1.8倍に
  • PSTNとクラウドをつなげて新しい価値を
  • Twilioのポートフォリオ
  • 福岡市のPM2.5情報案内をTwilioで実装
 9日、KDDIウェブコミュニケーションズが主催する「Twilio Japan Summit 2014」が開催され、開発者を中心に250名以上の関係者が集まった。

 TwilioはPSTNコールのAPI、VoIP API、SMS APIなど音声コミュニケーションに関するAPIを、クラウドベースでグローバルに提供するプロバイダーである。KDDIウェブコミュニケーションズ(KWC)は、Twilioの日本におけるパートナーとして050番号での音声通話サービスのAPIなどを国内企業や開発者に提供している。今回のTwilio Japan Summit 2014では、Twilio APIの国内ユーザーや、米国Twilioからマーケティングやビジネス開発の責任者を呼んで、事例紹介や事業戦略のプレゼンテーションが行われた。

 セッションは、KWC Twilio事業部 ゼネラルマネージャー 小出範幸氏のプレゼンテーションから始まった。小出氏は、この日正式リリースとなる新サービスである0120番号による着信者課金への対応、050番号の利用料金及び通話料の値下げ、新サービスに伴う割引キャンペーンの3つを発表した。050番号の値下げは月額467円だったものが100円(税別)となるもの。6月30日までのキャンペーン期間は50円となる。

 小出氏は値下げやキャンペーンの理由を「もっとビジネスを生み出しやすくしたいから」と述べ、これからのビジネスにも音声通話は重要であるとの認識を示した。続けて「ビジネスの中心はネットになったというが、それは本当だろうか」と疑問を投げかける。スマートフォンが5300万台に達し全盛のように語られるが、ユーザーのシェアでいうと60%がフィーチャーフォンだ。また、音声通話も年間1100億コール(TCA調べ)もある。また、「アグレワークス大阪」という求人・転職サイトで、エントリー用のページにTwilioを使った電話申し込みの機能を実装したところ、登録が増え売上が1.8倍になった事例もあるという。

 さらに近年、FacebookがWhatsAppを、AmazonがEviを、AppleがNovauris(音声認識技術)をと、ウェブ界のビッグネームが音声サービスや通話関連アプリのベンチャー企業を高額で買収している。先進的な企業は音声コミュニケーションの重要性を認識している証左だと小出氏はいう。一般に電話のアドレス帳には家族や親しい友人から仕事関係までの情報が管理され、コミュニケーションの起点ともなっている。これらの企業はこの価値を過小評価していないわけだ。

 では国内の状況はどうか。日本でのTwilio導入企業によるショートプレゼンテーションに登壇したのは、ニフティ、エイゾク、ソフトフロント、シナジーマーケティング、Showcase Gigの5社。

 ニフティは「暮らしづくり代行」という清掃業者・引っ越し業者と利用者のマッチングサイトでの事例を紹介した。ニフティがTwilioを選んだ理由は、利用者の電話番号など個人情報をマスクした形で通話サービスを提供できる点、事業者向けの番号(050番号)がすぐに発行できること、Webフォームになれていない層(掃除代行は高齢者などの利用も多い)へのリーチ、などを挙げた。

 エイゾクは福岡市の「PM2.5ダイヤル」という音声サービスのシステムをTwilioで構築した。市民が050-3000-2500という番号に電話をするとその日のPM2.5の状況などの音声案内が聞けるというものだ。Twilioを利用することで福岡市との交渉開始から2ヵ月でサービスインが可能だったという。しかもこのサービスは案内音声の最後に市内のマスクメーカーの広告を入れることで、システム構築からその後の運用も含めて、広告費用でまかなうことができている。つまり税金の投入なしでこのサービスを実現したということだ。

 ソフトフロントはTwilio APIを利用しコールセンターや自動応答サービス用の共通基盤を構築した例を紹介した。シナジーマーケティングは、CRMシステムとマーケティング誘導システムのサポートにTwilioを利用してFMC環境を実現した例を、そしてShowcase Gigは、商品の注文から店舗での支払をモバイルデバイスで簡略化するシステムをそれぞれ紹介した。
《中尾真二》
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