【インタビュー】「ギガ特プラン」の先に何があるのか?……KDDIのスマホ戦略 | RBB TODAY
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【インタビュー】「ギガ特プラン」の先に何があるのか?……KDDIのスマホ戦略

ブロードバンド 回線・サービス
RBB TODAY主催の「ブロードバンドアワード2011」でKDDIの「auひかり」がキャリア・スピード部門などで最優秀賞を受賞。
  • RBB TODAY主催の「ブロードバンドアワード2011」でKDDIの「auひかり」がキャリア・スピード部門などで最優秀賞を受賞。
  • コンシューマ営業本部 コンシューマ営業推進部 BBC営業推進2グループリーダー・課長の楠野仁志氏
  • KDDI コンシューマ事業企画本部 コンシューマ事業企画部・課長補佐の吉田真也氏
  • KDDI サービス企画本部マルチアクセス&サービス企画部 ホームネットサービスグループ・課長補佐の小西雅人氏
  • KDDI サービス企画本部 マルチアクセス&サービス企画部 ホームネットサービスグループ・課長補佐の安間浩美氏
  • 最大通信速度450Mbpsを実現したホームゲートウェイ内蔵無線LAN。従来よりも8倍も速くなった
  • 宅内を簡単にWi-Fi環境を構築できる「HOME SPOT CUBE」。最大通信速度は150Mbps。おしゃれなデザインも特徴的だ
 「ブロードバンドアワード2011」(RBB TODAY主催)において、KDDIの「auひかり」が、今年のキャリア・スピード部門および回線種別の部(1Gbps)、サポートの部、ベストキャリア(北海道)において最優秀賞を受賞した。同社コンシューマ営業本部 コンシューマ営業推進部BBC営業推進2グループリーダー・課長の楠野仁志氏、コンシューマ事業企画本部 コンシューマ事業企画部・課長補佐の吉田真也氏、サービス企画本部マルチアクセス&サービス企画部ホームネットサービスグループ・課長補佐の小西雅人氏、同マルチアクセス&サービス企画部 ホームネットサービスグループ・課長補佐の安間浩美氏の4名に、事業の現状や今後の戦略などに関して話を聞いた。

●auスマートバリューで、世帯単位の水平展開を狙う

――「ギガ特プラン」の先にあるサービスについて教えてください。

吉田:auスマートフォンとauひかりなどの固定通信サービスをセットで加入すると、スマートフォンの月額料金が1,480円ほど割引になるという「auスマートバリュー」をスタートしました。これは今年初頭に発表されたものですが、通信速度のスピード化を見据えて、スマートフォンやモバイルとの連携強化を重視した施策の一貫になります。

楠野:KDDIには、auの携帯サービスと固定の光通信サービスの2本柱がありました。市場競争の第2幕となる「ゲームチェンジ」に舵を切り、本命となるサービスを打ち出したという点が大きなポイントです。auではスマートフォン戦略として「マルチネットワーク」「マルチデバイス」「マルチユース」という「3M戦略」を掲げています。その戦略の第一弾として「auスマートバリュー」があるということです。料金だけでなく、世帯単位で快適な環境(固定回線)を導入していただきたいという根幹的な狙いがあります。

――3年連続で固定回線が最速という結果が出ましたが、固定回線に対する今後の課題は何かありますか?

楠野:固定回線の課題というよりも、携帯電話に起因する話になるかと思いますが、スマートフォンへの急激なシフトがネットワークの世界で大きな変革をもたらしています。その一方で、逆にこれらの変化に対して固定回線の役割がますます高まってくるものと認識しています。LTEが出たら固定回線は不要になるという話もありましたが、現状のトラフィックを考えてみると、やはり固定回線のほうに利用を逃がしていく必要があります。また、これまではオフロードといってもなかなか使い勝手が実感できなかったものが、スマートフォンを所持することによって、家庭に光回線を敷いてWi-Fi経由で使うほうが快適だということを理解できる機会が増えたと思います。そこに我々がタイミングよく、このような戦略を打ち出したことに大きな意味があると考えています。

吉田:家庭でもトラフィックは増加する傾向にあり、リッチコンテンツもどんどん増えていますから。通信回線の質という側面で、我々の光回線の速さが従来以上に訴求できるシーンが多くなってきたと言えるでしょう。

――リテラシーが高くないユーザーは、速度面よりも価格的なメリットを購入動機にすることも多いようですが?

楠野:ADSLから光回線になって利用料金が高くなったという一般的なイメージを、我々の「ギガ得プラン」で払拭してきました。いまスマートフォンの通信料金は5,000円から5,500円ぐらいという価格帯で、そこそこ世間に認知されているかと思います。これに対して、光回線でもそれほど料金が変わらずに導入できるようになり、最初から光回線を敷こうというお客様も増えています。そのような状況の中で、スマートバリューによってスマートフォンの料金も合わせて割引きされるようになったため、お客様にとってもインパクトが相当強いものと考えています。

吉田:価格的なメリットについては、スマートバリューをご利用いただき、さらに世帯でより多くのauスマートフォンを手にしていただくことで、高いコスト効果を享受できます。たとえば4人家族なら1ヵ月の通信料金で1,480円×4人=5,920円がお得になり、最大2年で合計14万2,080円が浮く計算になります(1世帯あたり10人まで対応するので、人数が多いほどお得になる)。スマートフォンでお得なサービスをご提供することで、全体のARPUを上げていくことも戦略になると思います。

ーー家族での回線利用を高めていくために、先ごろ開始した新サービスの「auスマートパス」もトリガーになるとお考えですか?

楠野:auスマートパスは、ゲームや辞書などスマートフォン向けに500種類以上のアプリケーションを月額390円で好きなだけダウンロードできるサービスです。先般スタートしたばかりですが、お客さまの反応も大変よく、予想を上回る申し込みを受けているところです。特に好評なのはセキュリティ関係の対策ソフトですね。それだけでも元が取れて、さらに多くのゲームなどを楽しめるので大変好評です。サービス面も含めて、より間口を広げていきたいという思いもあります。

吉田:あくまでスマートバリューのスマートフォン料金割引はきっかけであり、お客様には快適な環境でお使いいただきたいということが念頭にあります。同様にスマートパスも、たくさんのサービスを快適な環境でご利用いただき、将来的にネットTVなど映像サービスへのビジネスモデルの展開につながればよいと思っています。

●ギガの先にある無線LANの高速技術も重要!

ーースマートバリューの発表に合わせて、ホームゲートウェイも刷新しましたね。

小西氏:ええ。これは宅内での利用環境のさらなる向上を目的にご提供しているものです。従来は54Mbpsまでの無線LAN対応でしたが、今回の新製品からは450Mbpsという業界最速の無線LAN内蔵ホームゲートウェイになりました。スマートフォンの拡大に伴い、LTEに移行したとしても、まだ快適には使える環境ではないということが我々の認識です。そこで家庭内では固定回線を利用し、Wi-Fi経由でより高速で快適な通信を楽しんでいただけることを、しっかり打ち出していきたいと考えています。このホームゲートウェイは、auひかりの戸建て向けメニューで提供しており、料金は無料となっております。ホームゲートウェイに内蔵された無線LANサービスをご利用の場合、有償でのご提供となりますが、auスマートバリューにご加入でかつキャンペーン期間中(2012年5月31日まで)にお申し込みいただければ永年無料でご利用いただけます。

楠野:固定回線の速さにWi-Fiの速さも加わり、名実ともに最速になったと自負しています。実行速度で220~250Mbpsぐらいは出ますから、お客様の反応も良いようです。

安間:また今回は「HOME SPOTCUBE」という宅内用無線LANアクセスポイントのレンタルサービスも開始しました。いま当社ではデータのオフロードが課題になっています。公衆無線LANの「au Wi-Fi SPOT」については10万スポットに到達し、外でWi-Fiを使うときはau Wi-Fi SPOTを利用していただき、家に帰ってきたときに、たとえ足まわりが当社の環境でなくても、契約済みのブロード回線にHOME SPOTCUBEを接続し、宅内をWi-Fi環境にしてご利用できるものです。たとえばADSLモデムならば、LANポートにケーブルをつなぐとWi-Fiのアクセスポイントになります。光回線のみならず、さまざまな環境でお客様に快適な環境で使ってもらえるように工夫しています。こちらの最大通信速度は150Mbpsです。スマートフォンに専用アプリーション(au Wi-Fi接続ツール)を入れ、タップ作業と機器天面にあるボタンを押すだけで、20秒程度で簡単にWi-Fiの設定が完了します。こちらのサービスも「ISフラット」等のご利用での割引(※)に加え、キャンペーン期間中にお申込みいただければ月額利用料が永年無料になります(※ご利用月の末日に「ISフラット」もしくは「プランF(IS)シンプル」をご利用の場合に月額利用料から420円割引します)。

小西氏:最近ではiPhoneの効果もあって、スマートフォンを使う方々のリテラシーは必ずしも高いとは言えなくなっているようです。いままでのフィーチャーフォンと同様の感覚でスマートフォンを使えると思っています。しかしスマートフォンでYouTubeの動画を見る場合などでは、3Gの環境により、快適に視聴いただけないこともございます。家ではWi-Fiを使って、高速でストレスなくネットをご利用いただけることを、リテラシーの低い方に向けて追求したものがHOME SPOT CUBEなのです。実は先ほど紹介したホームゲートウェイのほうにも、この機能が内蔵されています。こちらは5月ごろを目処に、ファームウェアをアップして利用できるようになる予定です。

安間:HOME SPOT CUBEについては、デザイン的にもすごく拘っている点も特徴です。白と透明なアクリルによる統一感のあるデザインに仕上げてもらい、宅内に置いても違和感がなく馴染むようになっています。とても可愛いデザインで、お客様にも好評をいただいております。

ーー最後になりますが、今後5年から10年後の通信の未来はどうなるとお考えですか?

吉田:どんどんネットの使い勝手が変わってきて、スマートフォンで動画を観ることが当たり前になるでしょう。今後はテレビもスマートTVに移行すると言われていますし、家電がネットワークに普通につながっていくと思います。そういう意味では、家の中でもトラフィックが急増していくことが現実問題として起きてくるでしょう。そのためインフラの強化という点は、とても大切になってきます。いま我々は1Gbpsという最も速いサービスを提供していますが、今後もさらに研鑽して、質のよいサービスを提供し続けていきたいと考えています。
《RBB TODAY》
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