【スマートフォン&タブレット2011冬】ドコモ「Xi」の使命は新しい価値の創出と低コストの大容量伝送 | RBB TODAY
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【スマートフォン&タブレット2011冬】ドコモ「Xi」の使命は新しい価値の創出と低コストの大容量伝送

ブロードバンド フォトレポート
NTTドコモ 経営企画部 課長 大井達郎氏
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 「スマートフォン&タブレット2011冬」において、NTTドコモは「Xi(クロッシィ)の展望」と題した講演を行った。講演と担当したのは、同社の経営企画部 課長 大井達郎氏だ。

■LTEの特徴は「高速」「大容量」「低遅延」
 大井氏は、まず、LTEの特徴は「高速」「大容量」「低遅延」にあるとして、それぞれの特徴の説明から講演を始めた。「高速」とは文字通り転送速度の速さのことだが、もう少し専門的にいうと、単位時間あたりの転送速度であるスループットの速さということになる。LTEでは、ベストエフォートで75Mbpsの性能を持っている。

 高速性能を実現するために、LTEではMIMO技術を利用している。MIMOとは簡単に説明するとアンテナを複数立てて、無線伝送経路を複数にして転送効率を上げようというものだ。たとえるなら、1車線の道路より2車線の道路のほうが同じ時間なら、多くの交通量をさばける状態だと説明する。

 またデータの符号化でも64QAMという技術によって同時に64ビットのデータを符号化し一度に転送できることも高速化の背景にある。ただし、QAMの符号化ビット数が多くなるとエラーを起こしやすくなる欠点があるが、OFDMAという変調方式は、複数のユーザーの信号を多重化する場合、干渉の影響を抑えることができる。

 次に「大容量」というのはわかりにくいかもしれないとしつつ、回線の混み具合や電波状況などがさまざまでも実効速度を速めることができる能力だという。データの多重化などで回線リソースのスケジューリングに余裕があることを意味する。ベストエフォートのスループットだけ高性能でも、大容量でないと実用的な速度がでない可能性がある。

 「低遅延」は、信号処理のレスポンスタイムが短いという特徴だ。3G FOMAでは32~45mSという遅延が、LTEでは7~38mSという値になっている。LTEはデータの転送単位であるフレームサイズが小さいため、信号処理の時間が短縮できる。また、ネットワークアーキテクチャが3Gより単純になっているため、3Gより効率がよい。

 これらの特徴によって、LTEは3GPPによって標準化され、世界で39社がLTEに対応している。他にも170社が対応準備を進めているという。2011年12月末でおよそ900万人がLTEの契約をしており、2016年までには4億人がLTEユーザーになると予測されている。

■トラフィックコントロールとオフロード戦略
 大井氏によれば、とくにアジア地域での伸びが顕著であり、この地域でのLTE化が急速に進むことが予想されるという。2012年3月にはイー・モバイルがLTE化を予定しており、ソフトバンクも76MbpsのAXGPをサポートしているが、2013年ごろにはLTE対応をするとみられているとし、2013年以降は、LTEがスタンダード化するのではないかと述べる。

 ドコモがLTEを推進する背景は、スマートフォン普及にともなうデータトラフィックの急増に対応するという側面がある。グローバルなトラフィックは2015年には2010年の25倍に膨れ上がると予想され、ドコモだけでも2015年は2011年の12倍のトラフィック増となると試算されている。ARPUについても、ドコモはすでに全体売上に占めるデータ通信売上の比率が50%を超えている。

 これらのニーズに対応するため、LTEの導入が必要となるが、それだけでなく、より高度なサービスや付加価値の高いサービスを提供していくために、高速、大容量、低遅延のインフラ整備を進めていくと大井氏は述べる。また、転送できるデータの容量が増えるほど、ビットあたりの単価を下げられ低コストサービスにもつながる。

 LTEのエリア展開は、2012年には人口カバー率で60%を目指し主要都市をまずカバーする考えだそうだ。2010年から2015年までに総額8,800億円を投資し、98%(人口カバー率)を目標としている。

 ドコモとしては、増えるトラフィックへの対応策として、トラフィックコントロールとオフロード戦略も視野に入れている。トラフィックコントロールは、ユーザーの公平性を確保する帯域制限のことである。現状でも1%のユーザーがトラフィック全体の33%を消費している実態があり、なんらかの制限はやむを得ないという認識だ。実際7GBの制限を導入しても99.5%のユーザーは制限にかかることはないといい、大多数のユーザーの利便性は保たれるとした。

 オフロード戦略については、2012年度には、Wi-Fiのアクセスポイントを3万か所に増やす、宅内フェムトセルの活用といった施策をとるとした。

■500Mbps~1GbpsのLTE-Advanced(4G)
 ここで大井氏は、檀上で実際のLTEのパフォーマンスを体感してもらうべく、デモを行った。GALAXY SIIの3GモデルとLTEモデルを用意し、サイトアクセスや動画のストリーミング再生の時間を比較して見せた。講演は窓のない室内で行われたが、LTE端末は問題なく通信し、しかも3Gよりも速く動画再生が始まった。

 また、LTEサービスの応用例としてスマートフォンによる自動翻訳の事例をビデオで紹介。このサービスはすでにスタートしているものだが、現在は3G回線を利用したものだという。これがLTE対応となれば、テレビ電話をしながら、自動翻訳を介した会話が実現できるとした。

 LTE以降の展望として、LTE-Advanced(4G)について言及した。これは、転送速度を500Mbps~1Gbpsを実現するもので、2015年には開発を終了させたいという。エリア展開はクロッシィと同様な戦略で、4G端末でもLTEエリア、FOMAエリアとの下位互換を確保し、そのエリアで最も速い回線で通信する。

 4Gについては、横須賀の研究所で屋外実証実験を行い、600Mbps(下り)/200Mbps(上り)の性能を確認している。

 最後に、2020年までの10年は、キャリア事業だけでなく、モバイルを核とした総合サービス企業を目指すとした「HEART」(Harmonize:社会との調和、Evolve:進化、Advanced(発展)、Relate(つながり)、Trust(安心・安全))ビジョンを紹介して講演を終えた。
《中尾真二》
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