【テクニカルレポート】NetAppストレージのデータ圧縮機能~後編 | RBB TODAY
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【テクニカルレポート】NetAppストレージのデータ圧縮機能~後編

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表1)さまざまな種類のデータで最大のスペース削減効果を得る組み合わせ
  • 表1)さまざまな種類のデータで最大のスペース削減効果を得る組み合わせ
■データ圧縮と重複排除によるスペース削減率

 NetAppのデータ圧縮では、インラインで圧縮を実行することにより、ただちにスペース削減効果が実現されます。NetAppの重複排除は定期的に(ポストプロセスとして)実行され、累積的なスペース削減効果を提供します。圧縮と重複排除は併用可能ですが、注意していただきたいのは、併用によって達成される削減量が、各テクノロジをデータセットに個別に適用した場合の削減量の合計と必ずしも同じにはならない点です。

 データの種類によっては、圧縮を実行しても重複排除単独の場合と削減量が変わらない場合もあれば、その逆のケースもあります。一方で、圧縮と重複排除を組み合わせて両方実行することにより、最大限のストレージ削減効果が得られるケースもあります。次の表に、こうした点に関する具体例を示します。

 この削減例は標準的な場合を表し、すべてのデータセットで一定なわけではありません。達成される削減効果を評価するには、実際のデータでテストする必要があります。NetAppはいつでも評価プロセスをご支援します。

■標準的なユースケース

 すでに述べたように、圧縮機能は著しいストレージ削減効果をもたらす場合がある一方で、ある程度のパフォーマンス低下を伴います。圧縮機能の利用がお客様のストレージ環境で本当に妥当かどうかを判断するため、この2点を一緒に評価することが重要です。

 データベースのバックアップ(一般的なバックアップも同様)は、データ圧縮の候補として非常に適しています。多くの場合、データベースはきわめて容量が大きく、バックアップストレージに関して多くのユーザのパフォーマンスが多少低下する代わりに、65%を超える容量を削減できます。

 もう1つのユースケースとしてはファイルサービスが挙げられます。システムの約半分が、50%圧縮可能なデータセットによって使用されている状態で、ファイルサービス・ワークロードを使用してテストした結果、スループットの低下は10%しかありませんでした。ファイルへの応答時間が2ミリ秒のファイルサービス環境の場合、これは時間にしてわずか0.2ミリ秒の増加で、応答時間が2.2ミリ秒に延びます。スペース削減率が65%であることを考えれば、このわずかなパフォーマンスの低下は許容範囲ではないでしょうか。データのレプリケーションにNetAppのVolume SnapMirrorテクノロジを使用し、ネットワーク帯域幅とセカンダリストレージ上のスペース使用量を減らすことにより、こうした削減率はさらに拡大します (この場合、セカンダリストレージにはプライマリストレージで圧縮済みのデータが複製されるため、それ以上の処理は必要ありません)。このシナリオでは、次の効果が得られます。

・プライマリストレージのストレージ容量を65%削減
・レプリケーションのためにネットワークを介して転送されるデータ量を65%削減
・レプリケーション時間を65%短縮
・セカンダリストレージのストレージ容量を65%削減

 圧縮機能の使用に適したユースケースはほかにもたくさんあります。環境に最適なユースケースを判断する際に役立つよう、NetAppはさまざまなツールとガイドブックをご用意しています。

■データ圧縮機能と他のNetAppテクノロジの併用

 これまで見てきたように、NetAppのデータ圧縮は、NetAppの重複排除と補完し合う形で機能します。以降では、データ圧縮を、よく使用される他のいくつかのNetAppテクノロジと併用する場合について説明します。

Volume SnapMirror:Volume SnapMirrorは物理ブロックレベルで動作し、ソースボリューム上で重複排除と圧縮のいずれか、または両方が有効化されている場合、重複排除と圧縮によるスペース削減量はいずれもミラーリング先のデスティネーション・ボリュームでも維持されます。そのため、レプリケーションの間に必要となるネットワーク帯域幅の量だけでなく、SnapMirror転送の完了までの所要時間も大幅に削減されます。次に、留意すべき一般的なガイドラインをいくつか紹介します。

・ソースシステムとデスティネーション・システムではいずれも、同じリリースのData ONTAPを使用する
・圧縮と重複排除はソースシステム上でのみ管理され、デスティネーション・システムのフレキシブルボリュームには、効率化の属性とストレージ削減効果が継承される
・共有ブロックは1回しか転送されないため、重複排除ではネットワーク帯域幅も削減される
・圧縮は転送処理全体を通じて維持されるため、転送されるデータの量が削減される結果、ネットワーク帯域幅の使用量が減少する
・データはすでにNetAppのデータ圧縮機能によって圧縮されているため、SnapMirrorリンクの圧縮機能を使用する必要はない

 ネットワーク帯域幅とSnapMirror転送時間の削減量は、スペース削減量と直接的に比例します。たとえば、ディスク容量が50%削減されると、SnapMirror転送の時間も50%短縮し、ネットワーク経由で転送する必要のあるデータ量も50%減少します。

Qtree SnapMirrorとSnapVault:qtree SnapMirrorとSnapVaultはいずれも、論理ブロックレベルで動作し、ソース・ストレージ・システムとデスティネーション・ストレージ・システムでは独立して重複排除やデータ圧縮が実行されます。そのため、ソースデータで圧縮または重複排除が行われていなくても、qtree SnapMirrorやSnapVaultのバックアップに対して圧縮または重複排除を実行できます。

クローニング:NetApp FlexCloneテクノロジを使用すると、ファイルやデータボリュームの仮想コピーを瞬時に作成できます。こうしたコピーの作成に新たなストレージスペースは必要なく、クローンに変更を加えた場合にのみスペースが消費されます。FlexCloneは重複排除と圧縮の両方をサポートします。

■NetAppのデータ圧縮機能を使用するための準備

 NetAppのデータ圧縮機能は、Data ONTAP 8.0.1以降を実行しているすべてのNetApp FASシステムとVシリーズシステムで動作します。データ圧縮はボリュームレベルで有効化されます。これは、この機能を有効化するボリュームを選択できるということです。ボリュームに含まれるデータを圧縮できないことがわかっている場合は、そのボリュームで圧縮機能を有効にする必要はありません(むしろ有効化しない方が適切です)。ボリュームの最大サイズは16 TBで、Data ONTAP 8の新機能である、64ビットアグリゲート内に含まれている必要があります (Data ONTAP 8の詳細については、今月号のTech OnTapに掲載されている関連記事をご覧ください)。

 データ圧縮機能の使用を開始するには、使用するストレージシステム上に無償ライセンスをインストールし、選択したボリュームで圧縮機能を有効化すれば済みます。これですべての作業は完了です。

■まとめ

 NetAppのデータ圧縮機能は、ストレージ効率化に関して有用な機能をData ONTAPに追加するというNetAppの従来の方針を継承し、追加コストなしでお客様に提供されます。対象のデータセットが圧縮可能な場合、このテクノロジはストレージ要件を大幅に削減する効果があり、NetAppの重複排除を始めとした他のNetAppテクノロジとの併用も可能です。

 他のNetApp Storage Efficiencyテクノロジと組み合わせて使用すれば、圧縮機能の能力と可能性は大きな効果をもたらします。複数の効率化テクノロジや機能を包括的なポートフォリオから選択することで、テクノロジとビジネスニーズとのバランスを柔軟で効果的に管理できます。


執筆者:敬称略

・Sandra Moulton
テクニカル・マーケティング・エンジニア
NetApp

SandraがNetAppの一員となったのはちょうど1年前のことです。以来、主にStorage Efficiencyだけに取り組み、特に重複排除とデータ圧縮を専門としています。また、こうした重要なテクノロジに関し、各種のホワイトペーパー、ベスト・プラクティス・ガイド、リファレンス・アーキテクチャの作成も担当しています。Sandraは20年を超える業界経験の持ち主で、シリコンバレーの他の有力企業各社でも同様の業務に従事してきました。

※同記事はネットアップ(NetApp)の発行する「Tech OnTap」の転載記事である。
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