持続可能な農業”放牧”から学ぶ~~ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト WEBセミナーVol.05実施レポート公開~ - PR TIMES|RBB TODAY

持続可能な農業”放牧”から学ぶ~~ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト WEBセミナーVol.05実施レポート公開~

2022年5月16日 ニュージーランド政府、フォンテラジャパン株式会社、ファームエイジ株式会社が主体となるニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトにて、放牧酪農に関するWEBセミナー「放牧酪農WEBセミナー Vol.05」を開催致しました。当日は酪農家、関係団体など、北海道のみならず全国から40名程の方にご参加いただきました。 今回のセミナーでは、ニュージーランドで環境・地域貢献活動にて活躍されている酪農家に参加していただき、環境を意識した今後のNZ酪農について、草地管理によるコストの考え方、環境に対する考え方、地域との取組をテーマにNZコンサルタントと北海道の放牧酪農家によるディスカッションを行いました。参加者からも、多くの質問が寄せられ、充実したセミナーとなりました。



ニュージーランド酪農家 ジェームス スチュアートさんのお話


1、牧場の概要
・NZの北島の農場「STEWART DAIRYLANDS(HIWINUI)」の家族経営の酪農家
・父親から継いだ時はヒツジ農場だったが、酪農に転換。初期は牛100頭からスタートし、現在は搾乳牛800頭を2牧場で管理している
・近隣の農場を購入して360haの放牧地で、2つ(Dairyland1、Dairyland2)の牧場を管理している
・生産量は、乳固形分362,000kg/年。季節分娩を実施している
・85%の粗飼料(放牧草・サイレージ)をエサとして利用(放牧草をどのように管理していくかが重要)
・牧草量が干ばつなどで足りない場合補助飼料を活用、補助飼料としては余剰分の放牧草を活用
・牛のBCS(ボディコンディションスコア)を確認し、必要に応じて補助飼料を与えている(デントコーンサイレージや購入飼料)





2、経営する上で大切にしているもの
(1)peoole(人)
家族と、4人のフルタイムの従業員、短時間従業員や搾乳のヘルパーで運営している
従業員を大切にしています。なぜなら、牛や放牧地などのすべての調査・管理などのモニタリングは彼らが行うからです。そしてトークアプリを使ってチャットするなど、従業員とコミュニケーションをとることを大切にしている


(2)Environment(環境)
NZでは温室効果ガスの排出量の対策が急がれていて、GreenhouseGas(温室効果ガス)量の報告が環境報告書にて義務化されている。農場をモニタリングして、何が農場に入り、何が出て行っているのかを把握する活動を行っており、今後、温室効果ガス排出量に応じた税金がかかってくる見込みなので、農場にとっても深く関係してくる。さらに水質に関する窒素の出入りの報告も必要である。
農場内の環境保全活動の1つとして、水場近くの植物を増やす活動として、年間で1,000本の木を植樹している。
NZ酪農では基本的に補助金はないが、水の環境保全に関わるフェンス設置や植樹に対して地域自治体から40%の補助金が出ている。


(3)Animal Welfare(家畜福祉)
エネルギー管理の観点では、牛たちがフルマラソンを走れるようなアスリートになれるような管理をしている。
管理の重要な指標として、通年定期的なBCS(ボディコンディションスコア)管理をしていて、特に分娩前、種付け前に確認してマネジメントを行う。
技術の導入としては牛の首にカラーを付けて、反芻状況の確認を行う事も行っている。


(4)Quality of Product(商品品質)
酪農家として、高品質なものを届けることが価値になります。それらの高品質なものを知っていただくために地域の方を農場に招く取組を行っている。



3、農場の目標設定について
・農場では短期・中期目標を設定しており、今年の農場の目標としては、土地を購入した借金を減らすこともあるが、ソーラーエネルギーによる環境への投資や、牛の繁殖管理に関するテクノロジーの活用、農場での乳房炎テストなど今後に向けた投資を行っていく。

4、今後について
・農場管理のなかではメジャー(測る)、モニター(分析)、マネジメント(管理)が大事である。特に放牧酪農の中では、草の量と質、牛のBCS(ボディコンディションスコア)管理が重要になってくる。



質疑応答

【吉川さん(ありがとう牧場 足寄町)】
Q:規模拡大していくのはなぜですか?何がモチベーションになっているのでしょうか?
A:父の世代はヒツジ農家だったが、100年続いた農場として自分たち家族がいたことを地域の遺産として引き継がれるようになりたい

Q:草地更新はそれくらいしなくてはいけないのか
A:1番の目的としては、干ばつ期の補助飼料を作るため。カブやチコリなどを作付けしている。草の品質に関連するので10年おきにすることが重要である。


【参加者】
Q:各農場が報告する「温室効果ガスの算出数値」等について、サポートはフォンテラさんが行っているのでしょうか。報告書の提出先は、政府機関でしょうか。
A:温室効果ガスの算出数値については、フォンテラが行っています。

Q:牛のBCSを確認する頻度・タイミングが決まってましたら、教えてください。
A:基本的に毎月データを集めています。ファームコンサルタントの人も含めて、分娩前後や種付けのタイミングなどの重要ポイントは特に注意深く見て、コンサルタントの人と調整しながら確認しています。
BCSは、ファームコンサルタントの方と放牧地で見ながら目合わせして管理しています。

Q:労働時間は一日何時間ですか?休みは年間どれくらいを設定していますか?
A:1週間で50時間の労働時間と決まっており、休日の取り方はスタッフにより異なります。

Q:分娩時期を7月(末)にしている理由などあれば教えて頂けますか?
A:10~11月が牧草の栄養価が高く、その時に放牧してより多く食べさせて生産量を上げるためです。

Q:バンカーサイロの餌の取り出しは毎日ですか?補助飼料としてなので毎回必要でないとするとサイレージを取り出さないときや取り出し量が少ないときはどうしているか?サイレージを痛ませない何か良い知恵がありますか?
A:基本的には圧をかけて真空状態にしているので、品質が下がったりはしない。一部使用したら、その部分を綺麗にする。取り出し迄の期間が長くなる場合はカバーをするが、品質はあまり下がらない。作った時の品質に大きく左右される

Q:補助飼料は必要な時だけとのことですが、飼料設計上牛群が何キロくらいの乳量設定で設計するのですか?
A:日本とNZでは考え方が逆になり、初めに草の生産量をみて、自分の土地で家畜を飼養できるかを考えます。飼養管理上で足りない分を補助飼料で補填しています。生産量のないものを補助飼料で補助しようとするとコストが高くなってしまうので、草量を把握しておく必要がある。
放牧草メインでいかに高品質な飼料を作るかを重要視していて、ジェームスさんのところでは、TDN(可消化養分総量)が平均で78-80%くらいになるような管理をしている

Q:植林後の管理(間伐、枝打?など)も牧場の業務としてやっているのでしょうか?
A:水場の森は、牛を放牧せず、環境の維持という観点で、牛が入らないようにフェンスで囲い、ある程度植物が育てばメンテナンスしなくてよくなる。河川に対するバッファゾーン(緩衝地帯)となる。
NZでは水路に環境汚染がないように、河川周りにバッファゾーンを作り、動物が入らないようにしている



(まとめ) ファームエイジ株式会社 高田

キーポイントとしては、モニタリング、分析して、マネジメントが重要です。
自分のみならず、地域・従業員所得向上や生産性向上が重要で、そのために地域と繋がることが必要です。
NZでは環境対策を始めていて、酪農家はもちろん農業者は、農場が環境に対してどんなインパクトを与えているかという情報を提供している。(Farm Environmental Plan)
セミナーで得た知識を得ただけでなく「どのように行動に移していけるのかどうかが重要」です。NZから得た知識を農家さんと共有しながら何ができるかを考えていける場にしていきたいと思っています。持続可能性を意識した取組として、グラスファーム(草地の活用)は必要な技術です。その中にはコミュニティや消費者がいますので、私たちが活動して良い形を作り出していきたいと思っています。
また、記事についてご不明点などございましたら、以下の問合せ先までご連絡ください。

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