ポケットWi-Fi

ホテル向けWi-Fi導入の選択肢とメリット・デメリット

Wi-Fiはホテルの利用者目線でも事業者目線でも重要なインフラです。快適で安全な通信ができるかが、ホテルの評価にも関わってきます。この記事では、ホテルのWi-Fiに必要な要件や、ルーター等の事業者側が用意すべき選択肢について説明します。

ホテルのWi-Fiに求められる要件

多くのホテルで無料Wi-Fiが導入されている今、ホテル側が顧客満足度を高めるには、通信品質の向上が求められています。利用者にWi-Fiが「遅い」「つながらない」と感じてしまうと、口コミやリピート率などに悪影響を与えることにつながるのです。

ホテル利用者は、行き先を調べたり、撮ってきた写真をInstagramやTwitterなどのSNSにアップしたり、ビジネスホテルであれば出張先に持ち込んだノートPCで仕事をするのに、無料Wi-Fiを必要としています。

若い人たちが携帯回線の通信容量を使うことを指す「ギガを使う」などの言い回しや、月末になるとギガ不足による通信制限の話を聞いたことがあるでしょうか。ネットの発達やスマホの高性能化にともない写真や動画のファイルサイズも増えていて、ホテルの無料Wi-Fiを使いたいニーズが高まっているのです。

ホテルの無料Wi-Fiは「公衆Wi-Fi」の一つですが、総務省の調査によれば、公衆Wi-Fi利用者の約74%は、お店・ホテル・自治体などが提供する無料サービスを使用しています。

また、パスワード不要で利用できてしまう無料の公衆Wi-Fiを利用する人も3割程度いますが、ホテル等の宿泊施設で公衆Wi-Fiを使う人の38.5%が「不安がある」と答えているのです。

つまり、ホテルを運営する事業者としては、無料Wi-Fiを提供するだけでなく、

  • 施設内のどこでもつながる
  • 通信速度が遅くない
  • セキュリティ的に安全

という通信環境を用意することが、顧客満足度につながります。

標準装備が求められるホテルの無料Wi-Fi

観光立国を掲げた安倍内閣の元、訪日外国人観光客は2019年に3000万人を記録するなど、2013年の3倍に達する大きな伸びを見せました。

観光庁の「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する調査」によれば、訪日外国人観光客が旅行中に困ったこととして「施設等のスタッフとのコミュニケーション」に次いで、無料Wi-Fi(無料公衆無線LAN環境)があがるため、重点的に対策されてきた経緯があります。

東京2020オリンピックを控え、訪日外国人観光客が増加する予測の元、官民挙げて受入環境整備が進められた結果、2011年の調査では36.7%だったものが年々解消され、直近2018年(平成30年)の調査では18.7%と、大幅な改善を見せています。

新型コロナウイルス感染症の影響で訪日外国人旅行者は急減していますが、ホテルにおいても今後は無料Wi-Fiが標準的となってくるでしょう。

訪日外国人が旅行中に困ったこと出典:観光庁調査

ビジネスホテルのホテル選びでWi-Fiの有無を重視する人が27.6%いるとの調査結果

iidが2019年に行った調査によれば、「ビジネスホテルを選ぶ際に重視する点」では「価格」「立地」「清潔さ」「朝食」に続き、「Wi-Fi環境」も27.6%と「部屋の広さ」や「大浴場」より重視されるポイントに。ビジネスホテルを選ぶ基準として最重視されるのは価格と立地ですが、ほかの条件が同じならWi-Fi環境の有無も選択基準になってきます。

ノートPCでメールチェックしたり、資料を直したり、コロナ下で一般的になったZoomなどのビデオ会議へ参加するなど、ビジネスホテル利用者のWi-Fi需要は強いと考えられます。

ビジネスホテルを選ぶ際に重視する点出典:iid調査

次に、ビジネスホテル各社のうち一番満足度が高かったホテルメッツで見てみると、Wi-Fiも満足度を左右する要素であることがわかります。ホテルメッツでは、立地や清潔さの他、Wi-Fi環境でも全ホテル平均を大きく上回る40.8%の満足度を得ています。

Wi-Fiがあること自体は普通になってきているので、通信品質がホテル間の差別化要素になってきた例です。

ホテルメッツ満足点出典:iid調査

Wi-Fi環境の通信品質でホテル利用者の満足度が大きく変わることは、総合評価で次点のドーミーインと比べることでよりはっきりします。ドーミーインでは大浴場が一番評価されていますが、Wi-Fi環境の満足度は全ホテル平均と同程度です。

総合評価首位のホテルメッツでは、Wi-Fi環境の満足度が40.7%ですから、14%も差が付いています。意外と差が大きいことに驚かれた方も多いのではないでしょうか。

ドーミーイン満足点出典:iid調査

ホテルWi-Fiの快適で安全な通信を阻害する要因

ホテルWi-Fiの「つながらない」が発生する原因

施設の構造や広さ、部屋数にもよりますが、Wi-Fi環境を提供するルーターには、電波の強さや同時接続台数などの制限があります。施設要件に合わせたルーターを選ぶことが大事です。

例えば家庭用ルーターでは50台100台等の同時接続が想定されていません。また、電波が届く範囲も、数部屋から1〜2階をカバーする程度が想定されています。したがって、利用者が多かったり、ルーター設置場所から遠かったりすると、「つながらない」が発生してしまうのです。

家庭用Wi-Fi法人向けWi-Fi
使用用途家庭内のインターネット、娯楽用オフィスや店舗にて業務として使用
同時接続台数~10台(目安)~50台(目安)
想定利用人数~3人(目安)~20人(目安)
使用場所の広さ~15㎡(目安)~80㎡(目安)
ゲストWi-Fi×
壁面や天井への設置×
主な特徴安価
種類も豊富なので選択肢が多い
同時接続台数が多い
通信量が増えても強い

※ゲストWi-Fiとは、業務用Wi-Fiとは別に利用者向けの無料Wi-Fiを提供できる機能

ホテルWi-Fiの「遅い」が発生する原因

ホテルWi-Fiの通信速度が遅くなる原因は、いくつか考えられます。

  • 大元の回線が遅い
  • 壁などの障害物が多い
  • 同時接続端末が多い
  • 電波同士が干渉している

Wi-Fiは大元の回線を共有していますから、元が遅ければ全体も遅くなります。Wi-Fiの電波は、壁などの障害物があると弱まる性質があり、これも離れた部屋で回線が遅くなる原因です。

Wi-Fiルーターには同時接続台数の上限が設定されていて、その上限に近づくと処理性能が落ちてくる事例も見られます。

Wi-Fiには2.4GHz帯と5GHz帯などの電波帯とchの設定がありますが、繁華街など飛んでいる電波が多い場所ではお互いの通信が干渉して通信が遅くなる原因になります。最適な通信設定を自動で選んでくれるようなルーターもあります。

ホテルWi-Fiの「不安」が発生する原因

ホテルを含む公衆Wi-Fiにおける不安とは、情報漏えいに対する不安です。その一部は漠然とした不安ですが、技術的には暗号化されていないWi-Fi、暗号強度が弱いWi-Fi、パスワードがなく誰でも利用できるWi-Fi、情報詐取を目的とした偽装AP(アクセスポイント)などのリスクが考えられます。

ホテルなどのWi-Fi提供者には、技術的に安全なWi-Fiを提供することで、不安感を与えないことが求められます。

ホテルの業務効率化にも役立つ無線Wi-Fi

ここまで利用者目線でホテルのWi-Fiに求められる要件や満足度に与える影響などを見てきましたが、無線Wi-Fiというインフラはホテル従業員の業務効率化にも役立ちます。

施設内を移動しながら業務することが多いホテル従業員は、スマホやタブレット等の端末を快適に使えるかが業務効率に影響します。利用者用Wi-Fiと分けることはもちろん、従業員には異動や退職もありますから、従業員ごとにID/パスワードを発行したり、利用状況をレポートする機能も必要です。

また、複数台ウィンドウズPCがある場合は、WindowsUpdateのたびにダウンロードで回線が専有されてしまいしばらく使えない、という事態も起きがちです。こうした事態を避けるには、WindowsUpdateをキャッシュしてくれるWi-Fiルーター側を使う方法があります。

ホテルにWi-Fiを導入する方法

利用者向けWi-Fiと業務用Wi-Fiを分け、かつ施設内のどこでも快適で安全な通信ができるようにするには、どのように機器を設置すれば良いでしょうか。

まず家庭用Wi-Fiルーターでは、共通ID/パスワードしか使えず、従業員ごとにID/パスワードを発行できないものが多いので、管理面で不安があります。また、電波の強さや同時接続台数もホテルのような広範囲で大人数が使うような利用方法を想定しておらず、性能的に要件を満たさないものが多いでしょう。

小規模な温泉旅館・民泊・ペンションなどでは、業務用のWi-Fiルーターを一つ入れて、これらの要件を満たすのが簡単です。

ある程度大きなホテルでは、一台のWi-Fiルーターでは全域をカバーできないため、主要エリアごとにWi-Fiルーターを設置したり、数部屋ごとにWi-Fiルーターを設置するなどの方法が取られます。

これは一長一短で、台数が多い設置方法では配線工事・設置工事の手配で初期費用や利用までの日数がかかることになります。どちらの方法がよいかは、ホテルWi-Fiの構築にノウハウがある企業に設計してもらうのが良いでしょう。

ホテルWi-Fi構築に「Relay2」

ホテルWi-Fiの要件に耐える業務用ルーターとして、東証一部上場で携帯電話等販売シェアNo.1のT-GAIA社が提供する「Relay2」が挙げられます。

Relay2の他社製品との差別化ポイントの一つは、エッジコンピューティング機能を搭載したアクセスポイントであること。

例えば、複数台のWindowsマシンでWindows Updateを実行して回線が遅くなるような場合でも、Relay2に搭載されたキャッシュ機能を利用し、更新プログラムのダウンロード負荷・ダウンロード時間を大幅に軽減します。

ほかにも、有線回線のほかに、LTE回線でもWi-Fi網を構築できるので、有線開通工事が不要になり、導入費用の大幅削減を実現します。また、LTEでのWi-Fi網の構築は、有線LANを敷設できない環境でも、LTE回線を使用してWi-Fiの利用を可能にします。

管理すべき人数、端末数が増えてもダッシュボードでの管理が容易に行える点もRelay2の強みです。このように規模の大小や業態を問わずにそれぞれの特徴を利用できるのがRelay2のメリットです。

Relay2 公式ページ

 

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