自社のオフィスや店舗のWi-Fiに不満がある方、あるいは導入を進めないといけない担当者の方に、法人向けWi-Fiに求められる要件とおすすめの選択肢についてご紹介します。家庭用Wi-Fiでは電波の強さや同時接続台数の関係で、例えばWindowsUpdateが数十台同時に行われると業務にならないなどの問題が起きることがあります。
会社や店舗の法人向けWi-Fiに求められる要件
インターネットを利用する機器が10台程度のオフィスや店舗なら、一般的な家庭用のルーターでもとくに問題はありませんが、それ以上の規模であれば業務用の設備を導入するのがベターです。
通信量や電波の強さ、同時接続台数、フリーアドレス対応、管理機能やセキュリティ対策など、法人向けWi-Fiに求められる要件を確認していきましょう。
使用量が増えても業務効率が落ちない通信性能
Wi-Fiでは回線を複数人でシェアしているため、普段は大丈夫でも各種締切が重なる月末月初にアクセスが集中したり、WindowsUpdateが数十台で実行されると、通信速度が低下する要因になります。
大きな拠点ではWindowsUpdateをキャッシュしてLAN内に配信するWSUS(Windows Server Update Service)などを使ったりしますが、支店や店舗ではそこまで用意していない場合も多いでしょう。
したがって、一時的にオフィス内の機器がインターネットに集中的にアクセスする状況を考慮した上で、遅延などのトラブルが発生しないWi-Fiルーターが必要になります。
通信可能な距離や同時接続台数が多い時の安定性
家庭内でもルーターから遠い部屋ではつながりにくいことがあるように、通信可能な距離は、法人向けWi-Fiでも基本的な要件になってきます。家庭向けWi-Fiルーターでは、家庭程度の広さを想定しているので、一台でカバーできる広さが狭くなっています。
また、家庭用と業務用では同時接続台数も異なります。業務用では50台から数百台など大きな規模でも安定して通信できる性能が確保されていることが特徴です。
スマホやタブレット、さらにはIoTセンサーまで、通信機器のバリエーションは増加しています。通信機器の増加、つまり多くの端末を同時接続することもWi-Fiルーターには負担をかけます。
工事費用や導入期間の削減
有線LANと比べ、法人向けWi-Fiは導入コストを抑えたり、すぐ導入できるメリットがあります。また、フリーアドレスのインフラとしてもWi-Fi環境が求められています。
有線LANの場合、床下などにケーブルを配線する工事が必要で、レジなど業務機器も回線を必要とする場合は、取り回しが煩雑になることも。その点、Wi-Fiではルーターを設置するだけなので、レイアウトの自由度が高く、変更にも強いことが特徴です。配線がなくなる分、見た目もスッキリします。
業務に対応できる管理機能やセキュリティ機能
家庭用Wi-Fiルーターでは、一つのID/パスワードしか使えない機器がほとんどです。業務で使う場合には、情報漏えいやセキュリティ対策のため、認証サーバーと連携して一人ひとり別のアカウントを用意する「WPA2エンタープライズ」などの機能が必要です。
例えば、一定規模の企業であれば社員の退職などがあり、店舗であればアルバイトのメンバーもいるでしょう。退職した後はアクセスできないようにする管理が必要ですが、一つのID/パスワードしか使えない機器では、対応できません。
また、より高度な暗号方式を採用したり、管理画面が充実しているなどの点も、法人向け業務用Wi-Fiルーターの特徴です。
家庭用Wi-Fiと法人向けWi-Fiの違い

ここで改めて家庭用のWi-Fiと法人向けWi-Fiの違いを表にまとめました。
家庭用Wi-Fi | 法人向けWi-Fi | |
使用用途 | 家庭内のインターネット、娯楽用 | オフィスや店舗にて業務として使用 |
同時接続台数 | ~10台(目安) | ~50台(目安) |
想定利用人数 | ~3人(目安) | ~20人(目安) |
使用場所の広さ | ~15㎡(目安) | ~80㎡(目安) |
ゲストWi-Fi | × | ○ |
壁面や天井への設置 | × | ○ |
主な特徴 | 安価 種類も豊富なので選択肢が多い | 同時接続台数が多い 通信量が増えても強い |
ゲストWi-Fiとは、店舗にあるフリーWi-Fiを提供できる機能です。法人向けのWi-Fiの場合は認証方式がWPA2エンタープライズを利用しているので、ゲスト用のIDとパスワードを発行して、それを利用してもらう形になります。店舗で家庭用のWi-Fiを使用していてWi-Fiを開放したいとなると、店舗内の接続機器を同じ認証方式にせざるを得ないので、セキュリティ面で不安があります。
したがって、店舗でサービスの一環としてWi-Fiを開放したい場合は、法人向けWi-Fiの利用を強くおすすめします。
アクセスポイント機能を兼ね備えたWi-Fiルーター
Wi-Fiルーターは、ルーターとWi-Fiのアクセスポイント機能を兼ね備えた機器を指します。外部から有線で引き込んだインターネット回線をWi-Fi機能を備えた端末に対し、無線でインターネット接続するのがWi-Fiルーターの一般的な役目です。
Wi-Fiルーターによっては、外部から有線でインターネット回線を引き込まずにそれ自身がLTE回線に接続しているものがあります。このタイプの場合は回線を開通させるための工事が不要になるので、初期費用を抑えられます。
おすすめの法人向けWi-Fi 5選を比較

ここまでに紹介した法人向けWi-Fiの要件を満たしたサービスの中でも、多くの業態にマッチするように5つの推奨サービスを紹介します。
Relay2

法人向けWi-Fiでもっともおすすめしたいのがこちら、東証一部上場、携帯電話等販売シェアNo.1のT-GAIA社が提供する「Relay2」です。
Relay2は、世界で唯一のエッジコンピューティング機能を搭載したアクセスポイントです。エッジ処理の利点のひとつとして、数百、数千台単位のWindowsマシンにWindows Updateが必要になった場合でもRelay2に搭載されたキャッシュ機能を利用し、更新プログラムのダウンロード負荷・ダウンロード時間を大幅に軽減します。
ほかにも、有線回線に加えLTE回線でのWi-Fi網を構築できるので、有線開通工事が不要になり、導入費用の大幅削減を実現します。また、LTEでのWi-Fi網の構築は、有線LANを敷設できない環境(バスやイベント)でも、LTE回線を使用してWi-Fiの利用を可能にします。
また「リモートアクセスソリューション いえからオフィス」では、オフィスのLANと社員自宅のLANにそれぞれ専用機器を取り付けるだけで、オフィス出勤時と同じセキュリティのまま、社員自宅からオフィスネットワークにリモートアクセスを実現します。
管理すべき人数、端末数が増えてもダッシュボードでの管理が容易に行える点もRelay2の強みです。このように規模の大小や業態を問わずにそれぞれの特徴を利用できるのがRelay2のメリットです。
AXprimoW
アラクサラネットワークスの「AXprimoW」は、最大3000台(4段階の機種設定の最上位機種)までの無線LANアクセスポイントを一元管理できる点が特徴です。
業界最長クラス、標準で8年間の保証サービスがついているので、保守を考えるとコストパフォーマンスは高めと言えます。混雑状況に応じて接続方式を2.4GHz→5GHzへと自動分散して安定した通信環境を実現するほか、有線インターネット回線の設置が困難な場所でも、APを設置して無線LAN環境を利用できる点から、大規模な法人Wi-Fiと言えます。
ACERA Connect
フルノシステムズの業務用アクセスポイント「ACERA1110」と管理システム、それぞれの持つメリットを取り入れた高品質無線LANを、手軽な月額使用料で利用できるサービスが「ACERA Connect」です。
ACERA1110発送時に設定を完了させているので、インターネット回線につなぐだけでWi-Fiの利用を開始できるなど、専任のIT管理部門が不要なほどの手軽さがACERA Connectの強みです。手軽さに加え、サーバーやアクセスポイントといったハードウエア購入費用が不要なため、低コストで始められる点も注目です。それほどITやWi-Fiに詳しくないけれども、要件を考慮すると導入したほうがいい?とお考えの中小規模のオフィスや店舗におすすめしたいサービスです。
FortiAP
「FortiAP」は最新の無線規格である、IEEE802.11ac やIEEE 802.11n を用い、品質の高いアクセスを実現しています。このほか、ファイアウォール、アンチウイルスVPN、不正な侵入の防止、Webフィルタリングといった機能により安全性の高さも特筆事項となります。
このような高度なWi-Fiを提供しているため、管理も複雑?と思われるかもしれませんが、管理画面は使い勝手のよいインターフェースになっているので、それほどの複雑さはないようです。FortiAPは大規模な企業や学校といったシチュエーションでの利用が推奨されるようです。
ビジネスWi-Fi
USEN GATEが提供する「ビジネスWi-Fi」は法人Wi-Fiのなかでは、ライトな部類に入ります。クラウド型のサービスのため、設定や管理に煩雑さはなく、わずかな手間で快適なWi-Fi環境を構築できるようになっています。
設定などがお手軽でも、そのぶん料金がかさんでしまっては無意味ですが、ビジネスWi-Fiの場合は初期費用、月額費用ともに手軽に導入できるよう、リーズナブルな料金体系となっています。
お手軽であるがゆえにセキュリティ面を心配してしまうかもしれませんが、干渉を避けた設計や覗き見、盗聴ができないセキュリティ設定も可能です。以上の点から、ビジネスWi-Fiは、手軽に法人Wi-Fiを導入したい企業や店舗に適していると言えるでしょう。
まとめ
法人Wi-Fiは同時接続可能台数や、多台数接続時にも安定した通信が確保できるか、そしてセキュリティは確保できるかなど、家庭用のWi-Fiよりも神経を使わなければならない点が数多くあります。
今回紹介した法人Wi-Fiサービスの中で「Relay2」は、WindowsUpdateのファイルなどをキャッシュして配信する機能を持ち、有線接続のほかにスタンドアロンでLTE接続にも対応している点など、ほかの法人Wi-Fiよりもメリットが多く、幅広い業種におすすめできる法人Wi-Fiとなっています。
法人Wi-Fiは、業種問わず今や欠かすことのできないネットワークインフラとなっています。
そのため導入の際はさまざまな点を比較検討し、自社に最適なものを選ぶようにしましょう。