『iPhone X』に採用された「有機ELディスプレイ」 仕組み・液晶との違いを徹底比較 | RBB TODAY

『iPhone X』に採用された「有機ELディスプレイ」 仕組み・液晶との違いを徹底比較

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『iPhone X』に採用された「有機ELディスプレイ」 仕組み・液晶との違いを徹底比較
  • 『iPhone X』に採用された「有機ELディスプレイ」 仕組み・液晶との違いを徹底比較
  • iPhone Xはディスプレイに有機ELを採用
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iPhone Xに採用されたことで最近話題の「有機ELディスプレイ」。めちゃくちゃ画像が美しいという評判で、高価格帯のテレビにも使われているこの有機ELディスプレイだが、そもそも、いったいなんなのでしょう? 液晶とはどう違う? 「有機」というぐらいだから、動物や植物の素材が使われている? (んなわけありませんが……)

有機ELの「有機」とは有機化合物のことで、炭素が含まれた化合物のことをいう。いろんな種類の有機化合物のなかには、電気を通すと光る性質のものがあり、これらを発光体として使ったのが有機EL。電極から送られたマイナスとプラスの電子が発光層の中で出合って結合することで光を放つのだ。「EL」は「エレクトロ・ルミネッセンス:Electro Luminescence(電子発光)」の略。また、有機ELディスプレイのことをOELD(Organic Electro Luminescence Display)と呼ぶこともある。

ちなみに、液晶ディスプレイの仕組みだが、まず液晶というのは、液体と結晶の両方の性質を持った化合物のこと。この液晶は電圧をかけると即座に分子の並べ方が変わる。そんな液晶分子を光を出しているバックライトの前に並べ、電圧をかけたり、かけなかったりして、分子の並べ方を変えることで、光を通したり、光をさえぎったりして、表示をしているというわけだ。

■液晶と有機ELはここがこう違う

1)なんてったって薄い!



有機ELディスプレイで使われる発光体(発光層)は1万分の3mmという、肉眼で見てもわからないほどものすごく薄い。しかも、液晶ではバックライトが光を出しているが、有機ELディスプレイでは発光体そのものが光るのでバックライトがいらない。そのため、とても薄くて軽いディスプレイがつくれる。スマホにはうってつけというわけだ。また、そんなふうに有機ELディスプレイでは有機化合物の発光体それ自体が光るので、この発光体がしだいに劣化してくると「焼き付き」に似た現象が起きてしまう。とはいえ、同じ画面を長時間表示しっぱなしにしないなど、普段からの心がけで十分防げる。

2)画質がめちゃくちゃ優れている

iPhone Xはディスプレイに有機ELを採用
iPhone Xはディスプレイに有機ELを採用


ディスプレイ表示でいちばん明るいところと暗いところの差を表すのがコントラスト比。この比率が高いほど画質がよいといわれる。有機ELディスプレイのコントラスト比は1,000,000:1。一方、液晶ディスプレイのそれは1,400:1。これぞケタ違いだ。これは液晶ディスプレイでは常にバックライトが発光しているために、完全な黒色を表現できないからだ。有機ELディスプレイでは発光体の光をゼロにできるため、まさに完全な黒色を表現できるというわけなのだ。

3)動画再生がなめらかで美しい

液晶ディスプレイは、実は動きの速い動画が苦手だ。電圧をかけてから液晶の分子が動くまで若干時間がかかる。若干といっても100分の1秒ぐらいだが、それでもこのタイムラグのせいで、高速で移動するクルマや新幹線の車窓からの風景などは残像ができたり、モザイクがかかったみたいになる。ところが、有機ELディスプレイでは発光体そのものを瞬時にオン・オフするので、動きの速いシーンでもスムース、かつ美しく再生できるのだ。

4)真横から見ても見える!!



視野角が広いのも有機ELディスプレイの特長だ。ほとんど180°に近い角度から見ても、画面は見える。もちろん、そこまで真横だとなにが映っているかわからないが……。一方の液晶ディスプレイの視野角は160°前後。それでも実用には問題ないが、有機ELディスプレイのほうは紙に印刷されたようなレベルだというところがすごい。

5)バッテリー思いの孝行ディスプレイ



有機ELディスプレイはバックライトが不要だし、しかも発光体を光らせるのに使う電力は低電圧で済む。つまり、低消費電力なので、スマホなどではバッテリー持ちのよさにつながり、とってもありがたいのだ。

■有機ELと液晶の特徴まとめ

【有機ELディスプレイ】
・有機層と電極をガラス板やプラスチックなどでサンドイッチする構造
・有機物に電圧をかけることで有機物そのものが発光するためバックライトが不要
・薄くて軽く、曲面などフレキシブルな加工が可能
・動画再生がなめらかで美しい
・視野角が広い
・省電力

【液晶ディスプレイ】
・2枚のガラス板の間に液晶の物質を封入した構造
・バックライトにより発光させている
・電圧をかけて液晶の分子を動かすことにより画面を表示させている
・動きの速い動画が苦手
・有機ELよりもコストが安く、長寿命



■ディスプレイの主役は有機ELに!?

有機ELの長所はまだまだある。基板をプラスチックなどのガラス以外の素材にできるので、曲面ディスプレイや、紙みたいに自由に折り曲げられるディスプレイもつくることができる。ただし、最新の技術を用いて生産されているため、まだまだ高価なのが玉にきず。大型テレビなどは液晶型の倍近い価格だ。

これまでは大型化が難しかったり、製造技術上さまざまな困難があったりで、一時、研究開発から撤退していた日本メーカーも今では戦列復帰。熾烈な有機ELディスプレイ競争が続いている。今後は、液晶から有機ELへと、着々とディスプレイの主役交代が進んでいくのかもしれない。

文:太田 穣
TIME&SPACE

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