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【ニュース解説】NGN始動に向けてNTTが活用業務の認可申請
25日、NTTは総務大臣に対して次世代ネットワーク(NGN)による商用サービスのための活用業務の認可申請を行った。2008年3月には可能なところからサービスを始めたいとしている。
NTTがいよいよNGN始動に向けて第一歩を踏み出したことになるが、プロバイダーやエンドユーザにとってどういう意味が、あるいは、どのような影響があるのだろうか。
まず、今回のNTTの発表は、あくまでNTT東西がNGNサービスを提供するにあたって必要となる、県間伝送役務についての活用業務認可申請を行ったというだけだ。ちなみに「活用業務」とは、NTT東西が回線、設備、人員など自社のインフラを使った通信業務や商用サービス(役務)のことだ。つまり、NGNとして新しいIPネットワークを構築していくにあたって、地域にまたがってネットワークを接続しなければならないが、そのために必要な法的な認可申請をしたということだ。したがって、NGNの詳細やサービス内容が決まったとかいう性格のものではない。
NTTのNGNのイメージ
しかし、NTT以外の通信事業者やネットや電話を使っている末端のユーザは、そのNGNの詳細や具体的なサービス内容が気になるところだ。通信事業者にとっては、NTTのNGN回線を使わせてもらわなければならないのか、現状で利用している回線やサービスの実質値上げになったり、機能が制限されたりしないか、エンドユーザにしても、自分のフレッツ契約はどうなるのか、電話代が上がるのか下がるのか、NTT以外のISPやアクセス回線の契約に影響があるのか、といった点だ。
残念ながら、今回の発表とNTT東日本の報道部への電話インタビューでは、これらのことは、これからNGNに参加するパートナー企業やユーザの声を聞きながら詳細を決めていくので、すべては未定ということだった。NTTとしては、NGNという高品質なIPネットワークを新たに構築、提供するので、そこでなにをするかはパートナー企業やユーザのニーズによって決まるというスタンスでもある。
前後するが、ここでNTTの提唱するNGNについてざっと整理してみよう。NGNは既存のIPネットワーク(フレッツ網、インターネットなど)とは別のIPネットワークであるとしている。当然既存のPSTN(公衆交換電話網)とも別のものだ。インターネットやその他の既存ネットワークとは、NNI(網間インターフェイス)、SNI(アプリケーションサーバ・網間インターフェイス)、UNI(ユーザ・網インターフェイス)とレイヤごとに接続点の仕様を公開し、自由に乗り入れてもらう(利用方法によって課金が発生する)ようにしている。
【左】NNIの概念図【中】SNIの概念図【右】UNIの概念図
最終的には、NTTの提供するフレッツ網やひかり電話網、PSTN網もすべてNGNに移行させたい計画だが、これも、ユーザや市場の声を無視して強制することはないとしている。ただ、PSTN網の老朽化やメンテナンス、さらには固定電話事業の収益性などを考えると、強制はしないが(時間がかかっても)納得してもらうという形になるだろう。
フレッツやひかり電話のサービスは、そのまま高品質なNGNにゼロコストで切り替わる(実際、切り替え作業は局舎側の設定変更で可能)のが理想だろう。そうでなければ、完全な切り替えは数年から10年単位の時間が必要と思われる。ユーザとしては、NGNで提供されるサービスとそれに必要なコストを考えて、NGNの要不要の声をだしていく必要がある。NTTには必要以上に「声」があがらないような施策を期待したい。
ISPや他の通信事業者はどうだろうか。インフラのすべてを一企業が押さえたネットワークなど、オープンなサービスやインターネットビジネスにはなじまない、時代遅れだという意見がある。おそらく正論だろう。インターネットをベースに確立されたさまざまなサービスやビジネスを展開する企業にとって、NGNは魅力のあるインフラでもプラットフォームでもないだろう。不要であればNGNに接続しなければよいだけだが、歴史的経緯により回線やネットワークインフラをほぼ独占しているNTTが、NGNに切り替えたからという理由で、既存サービスやビジネスに影響するようなことをされたらたまらない。重要なのはこの点だろう。これは行政も含めて監視していくべき問題だ。
このような状況で、考えられるNGNのサービスイメージとはどういったものになるだろうか。NTTがこれまで公開している資料や報道によれば、NGNは複数のレイヤで他ネットワークと接続可能な広域で閉じたIPネットワークということになる。これに、インターネットや各種の専用線サービスや既存のPSTNなどのネットワークなどが乗り入れ、それぞれのサービスが提供されるイメージだ。
さらに、NTTのNGNフィールドトライアルに参加している企業は、ISPだけでなくメーカーやベンダー企業の多くが名を連ねている。このことから、NTTのNGNビジネスと親和性の高い企業やサービスは、既存のインターネットサービスの延長というより、そこでのサービスやビジネスになじまなかった企業やサービスではないかと考える。
NGNの特徴のひとつに高品質というものがある。これは、ベストエフォート型のサービスでは限界があるQoSや帯域保証といった部分だ。現在のインターネットでは、ハイビジョン映画のストリーム配信など、技術的には可能でも、とても視聴に耐える品質を安定して確保することはできない。インターネットの文化は、それはダウンロードで十分だという考え方だからだ。また、リアルタイム性の問題もある。インターネットではライブ配信といっても、実時間とは数十秒から数分のずれが生じる。遠隔医療やクリティカルなフェーズでは数秒でも致命的になることがある(まあ、IPプロトコルベースであればNGNでも本当のリアルタイムは無理かもしれない)。
これらのサービスやビジネスを展開する企業にとって、NGNは、インターネットとは別の選択肢として機能する可能性がある。それぞれが必要なところで接続しあえばよいのであって、どちらかに取り込んだり、取り込まれたりという議論は本質ではない。
(中尾真二@RBB 2007年10月25日 22:17)
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