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「セカンドライフ」の特徴と問題点〜デジハリ大の三淵啓自教授がデジタルゲーム学会で講演
4月23日
 日本デジタルゲーム学会第7回月例研究会が4月20日、東京大学(本郷キャンパス)で開かれ、デジタルハリウッド大学院教授の三淵啓自氏が「セカンドライフ」とは〜その可能性と問題点〜」と題して講演した。

 「セカンドライフ」は、米リンデンラボ社が提供する、世界中で500万人以上が登録しているオンラインサービス。一見しただけでは、よくあるオンラインゲームと同じに見えるが、ゲームの目的があるわけではなく、参加者が自ら「セカンドライフ」内のオブジェクトを作成し、売買することができ、架空の通貨「リンデンドル」を現実の米国ドルに交換できるのが特徴。新聞各紙や、「週刊少年ジャンプ」4月17日発売号の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」でも取り上げられるなど、注目が集まっている。

 三淵氏によれば、デジタルハリウッド大学院では昨年から「セカンドライフ」の研究を始め、「セカンドライフ」内の土地を購入して「デジハリ・ランド」と名づけ、「セカンドライフ」内で歌手のプロモーションを行うなどの実験をしているという。また、三淵氏は、リンデンラボ社のスタッフに直接改善点を提案するなどのやりとりをしており、『セカンドライフの歩き方』(アスキー)というガイドブックを最近出版した。

■「セカンドライフ」は儲かるのか? その特徴

 三淵氏は、「セカンドライフ」を「プレイヤーがアバターとなって、バーチャル世界(メタバース)の中で第二の人生を送るというもの」と定義し、その魅力を、

1.「MMOなどのネットゲームとは違う、究極のWeb2.0的なコンテンツ」であること
2.「クリエイターの、クリエイターによる、クリエイターのためのメタバース」であること
3.「3Dコミュニケーション・インフラ」であること
4.「ビジネスチャンス」があることである

 と説明した。

 第一の、「ネットゲームとは違う」について、通常のゲームはプレイヤーが高い得点を取るのを競うのが一般的だが、「セカンドライフ」はレジデンス(住民、ユーザー)が自分たちで作り上げるものであり、Web2.0的・オープンソース的であることが異なるという。

 第二の、「クリエイター主体」という点は、従来のゲームがクリエイター(ゲーム会社)とユーザーに分かれていたのに対し、「セカンドライフ」ではユーザーがクリエイターとなることが異なる。ユーザーは「セカンドライフ」の中で、建物や道具などありとあらゆるものを作り出すことができ、しかもその著作権はユーザーに帰属する。値段設定や販売方式などもユーザーが決められる。販売方法も、オリジナルを売る(現実の品物同様、売り手側からオブジェクトはなくなる)か、コピーを売る(売り手側にオブジェクトは残る)か決められたり、売った後のデータのコピーや改変を許すかどうかなど、クリエイターとなったユーザー自身が決められる。ここには、ローレンス・レッシグらが提唱する、著作権の新しいあり方である「クリエイティブコモンズ」の考え方が適用されているといえる。

 第三の、「3Dコミュニケーション」に関しては、従来、三次元映像の表現をコミュニケーションに使うには、公共で無料で使えるものはなく、有料のサービスを使うとか、それぞれのユーザーが3Dの開発ソフトを購入する必要があった。「セカンドライフ」は、このハードルをなくしたといえる。

 第四の、「ビジネスチャンス」に関しては、「セカンドライフ」内通貨「リンデンドル」が米国ドルに交換できること、有名企業が「セカンドライフ」内でマーケティングやプロモーション活動を行っていることを挙げた。「セカンドライフ」内での制作物の著作権は作った人にあるため、いくらで売ろうが、オークションで出そうが、合法的であるという。米最大オークションサイト「ebay」では、バーチャルの取引を全面禁止したが、「セカンドライフ」のものだけは認められているとのことだ。

 ただし、「セカンドライフ」は物価が低い国のようなものだと三淵氏は指摘する。「セカンドライフ」内でアルバイトをしても、1日に稼げるのはせいぜい1,000リンデンドル。これは約440円にしかならず、それを考えると、貨幣価値が現実の100分の1以下でないかという。「セカンドライフ」で月収50万儲かる」と喧伝されることもあるが、月々5,000ドル儲けている人は数万人のユーザーのうち、数十人しかいない。「セカンドライフ」内でお金を稼ぐより、現実で稼いだお金を「セカンドライフ」で使った方が楽しいのではないか、と三淵氏は言う。

 三淵氏は、右脳的・左脳的というキーワードでオンラインサービスを分類した。従来からあるウェブページや検索サービスは、言語による情報主体なので左脳的だといえる。これまでのオンラインサービスは左脳側に偏っていたが、3次元空間を利用でき、自分でデザインすることができる「セカンドライフ」は、その欠落を埋める「右脳的情報空間」だという。右脳的情報空間は、感覚的・直感的なので、個人差があり、絶対的な答えはない世界とのことだ。




■もうひとつの「現実」に、現実の制度はどう対応するのか? 「セカンドライフ」の問題点

 「セカンドライフ」の問題点に関しては、三淵氏は法律・お金・システム・日本市場の4つを挙げた。

 まず、「法律」に関しては、従来からある著作権侵害や誹謗中傷、詐欺などの他に、「セカンドライフ」ではユーザーが物を売るので、PL法的な商品保証の問題があるのではないかと指摘した。

 次に、「お金」に関しては、「セカンドライフ」内での賭博の問題を挙げた。現実のお金に換金できる以上、日本にいるユーザーが「セカンドライフ」内で賭博行為を行えば、違法となる。だが、同じユーザーが現実のラスベガスに行って、「セカンドライフ」にログインして同じことをすれば、合法である。「ユーザーがどこにいたのかをどうやって証明するのか?」といった問題が浮上してくるという。また、「セカンドライフ」内での収入に関する課税の問題や、リンデンドルに為替法が適用されるのかなどという問題も出てくると予測される。

 「システム」に関しては、「セカンドライフ」内でしか構築ができないこと、ネット回線のトラフィックの問題がある。また、ひとつの場所にに入れる人数に限界があり、100名を越すとパフォーマンスが悪くなり、200人超える前にサーバーが落ちるという。これでは、多人数を集めるイベントを「セカンドライフ」内で行うのは難しい。また、日本語版のリリースが遅れていることも問題としてあるという。

 「日本市場」に関しては、日本のユーザーがゲームに求めるのは、プレイヤーがカッコいいヒーローとなって、練りこまれた世界や物語を楽しむゲームだという。「セカンドライフ」が提供するのは、コミュニティーであり、自己主張・創作活動の場、そしてまたビジネスの場であるという。三淵氏は、前者(日本のユーザーの嗜好)を「キャラクター」、後者(「セカンドライフ」)を「アバター」というキーワードで区別し、日本のユーザーの求めるものと、「セカンドライフ」が提供するものにはズレがあるという問題点を指摘した。

 また、三淵氏は女性ユーザーに関して、「セカンドライフ」にはアダルトコンテンツもあるが、女性は見るだけでは満足しない人が多いので、アダルトビデオが女性に流行らないのと同様、「セカンドライフ」内でのアダルトも女性には流行らないのではないか。むしろ、使った時間を対価として回収しようとする傾向にある女性の方が、ギャンブルにはまる可能性が高いかもしれない」という見方を示した。



(茂内克彦@RBB)
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