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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
【GO3】水口哲也氏、須田剛一氏、松浦雅也氏、小島秀夫氏――日本の人気クリエイターがオーストラリアで自らを語る!
4月6日
 オーストラリア初のゲームイベント「GO3」では、カンファレンスとしてクリエイターを招いた講演会が催された。海外各地のクリエイターが招かれ、ゲームに対する様々な発表を行ったのだが、特徴的だったのが日本と海外のクリエイターの講演会に対するスタンスだ。

 日本のゲーム制作者で招かれたのは、キューエンタテインメントの水口哲也氏、グラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏、七音社の松浦雅也氏、そしてコナミデジタルエンタテインメント小島プロダクションの小島秀夫監督。彼らはいずれも自らの個性を発揮して、オリジナルのゲームデザインをすることで知られている人物ぞろいである。

 対して、海外のゲーム制作者として招かれたのは、「Gears of War」でおなじみのEPIC GAMESのRod Fergusson氏、「ハンゲーム」で人気を集めるNHNのYoo Hee Dong氏、スウェーデンのゲーム開発会社Massive EntertainmentのNicklas "Cece" Cederstrom氏、北米のゲームパブリッシャーMidwayのHarvey Smith氏、グラフィックボードメーカーNvidiaの飯田慶太氏、テクニカルアーティストのLee Sandberg氏、マイクロソフトのNic Fillingham氏らである。

 比較するわけではないが、日本のゲーム制作者の講演は自らの経歴と、各タイトルにおけるゲームデザインの変遷を語っているのに対し、海外のゲーム制作者は、やや客観的。プロデュースや技術論として講演を行った。観客が求めているのは日本のゲーム制作者の作風や精神性、オリジナリティであり、海外のゲーム制作者からは技術、情報、スキルであるかのような印象を受けた。もちろん、これはあくまで印象であり、細部を見れば例外もあるだろう。だが、これほどにまではっきり浮き彫りになる機会も珍しい。

 なお、発表では任天堂で『マリオ』シリーズや『ゼルダの伝説』の音楽を手がけてきた近藤浩治氏の講演も予定されていたがキャンセルとなった。今回は残念だったが、まだまだ「GO3」が発展の余地のあるイベントであることがある。今後の展開に期待したい。


 さて、ここでは日本人講演者の講義の内容をざっと追いかけてみよう。まずは『ルミネス』『メテオス』『Rez』などで知られる、水口哲也プロデューサーの講演である。

 水口氏はゲームの制作を刺激するインスピレーションについて、過去の経歴を振り返りながら語った。

 「私がゲームで大事だと思っているのは『コール&レスポンス』です。問いかけに対する、音声や映像のシンプルな返答こそが、FUN(面白さ)を生みだすのです。そこで、であったのが出会ったのがパフォーマンスグループSTOMPです。家具やあらゆるものを楽器にして、ダンスミュージカルを演じるSTOMPを見て、ミュージカルを題材にしたゲームを作ろうと思いました。それが『スペースチャンネル5』です。私は『コール&レスポンス』の面白さを追求するために『スペースチャンネル5』の開発中に、スタッフ全員で毎週パントマイムのワークショップをしました。どのようにグルーヴを生み出すか。どのように面白さを生み出すか。どのようにラブが生まれるのかを研究したのです」

 リズムにあわせて人々がダンスするハッピーなリズムゲーム『スペースチャンネル5』にはアーティストのマイケル・ジャクソンが参加している。こういった大胆なコラボレーションも水口作品の特色だ。

 「私は17年間のゲーム開発者の経歴がありますが、今後ゲームはどうなるだろうと考えることがあります。10年後は? 20年後は? 30年後は? 私はゲームはメディアに近づいていくのではないかと思っています。スポンジのように、映画、音楽、エンタテインメント……それらをつなげるテクノロジーこそがゲームなのです」


 水口氏の講演の次に登場したのは、須田剛一ディレクターだ。彼は昨年『killer7』を全世界リリースし、注目を浴びたディレクターである。須田氏の講演は「PUNKS NOT DEAD」。須田氏自身の制作スタンスを示している。音楽のパンクのように、反体制という意味をさしているのではない。人と人のぶつかり合いによって生まれるゲーム作り。そして、既存の常識におさまらないゲーム作りをさしているようだ。

「グラスホッパーは戦いながらゲームを作っています。ひとつはスタッフとの戦い。過去にないものを作るときは、スタッフも理解できないものを作ることになります。そのためには、まずスタッフを納得させないといけない。スタッフと戦うことが、新しいものを作るために、最初に必要なことです。次にほかのエンタテインメントとの戦い。ほかのエンタテインメントで活躍している同世代――たとえば映画の監督、ミュージッククリップのディレクター、ミュージシャン、活字の作家――と戦っているつもりです。そして、一番難しいのは自分自身との戦いです」


 さて、自らの制作スタンスを語ることが多い日本人講演者が多い中で、観客にあつい檄を飛ばしたのは、松浦雅也氏の講演だった。松浦氏は『パラッパラッパー』や『ビブリボン』など、ミュージシャン兼ゲームデザイナーとして多彩な音楽ゲームを手がけてきた。海外からも『GUITER HERO』などの音楽ゲームが登場し、音楽ゲームというジャンルは盛り上がりつつある。その中で、松浦氏は音楽ゲームの制作者に熱いメッセージを送った。

「まだまだ音楽ゲームの歴史は浅いです。欧米での『GUITER HERO』シリーズもまだ珍しい成功例にすぎません。音楽ゲームを発展させていくには何が必要でしょうか。それには、イケてるミュージシャンが必要です。イケてるミュージシャンの方々は――MTVのビデオクリップ作りなどに熱中せずに、しっかり自分の音楽表現を掘り下げて、ほかの表現とのコラボレーションでエクステンド(拡張)してほしいと強く思います。コンテンツはパッションとエネルギーの集合体です。何かの表現が、ほかの従属物になったら、おしまいです。多くのゲームのダメな音楽担当者は、企画やグラフィックが決まったあとから、作曲作業に入るのだろうと想像しますが、私はこのような職業作家をミュージシャンとも、ミュージカントととも呼びません。ミュージシャンとは自分の独自の理由で、誰から頼まれることなくても、自分の音楽を発信し続ける人のことです。もしあなたが仕事でオファーされた音楽しか作っていなければ、あなたはプロダクションしかやっていない。ディベロップメントを自分からしていないのだということを知らなくてはいけません」

 激しいミュージシャンへの檄と応援。刺激を受けた人も多かったのだろう。観客は真剣に松浦氏のスピーチへと向き合った。


 そして今回のGO3のCONFERENCE(講演会)でもっとも観客を集めていたのはコナミ小島プロダクションの小島秀夫監督の講演だ。

 小島監督は『メタルギア』シリーズを手がけて今年で20年。その20年を振り返りながら、新しい『メタルギアソリッド』の目指すべき姿を語った。テーマは「Video Game is Ballet(テレビゲームはバレエのようなもの)」。これはゲームは総合芸術であるという主張だ。プログラム、シナリオ、映像、音楽……そして科学技術、すべての要素が絡み合うことで、ゲームは生まれていく。様々なスタッフがくわわることで、新しいケミストリー(化学反応)が生まれ『メタルギアソリッド』シリーズが、バラエティ豊かなものになっているのだろう。

 まず、20年前の『メタルギア』はどんなものだったのか。小島秀夫監督はMSX2版のグラディウスを見せながら、当時のゲーム作りを紹介した。

 「MSX2はいまのパソコンに比べると、とてもスペックは低いものでした。背景はVRAMを使って描画し、そのうえにスプライトでキャラクターを表示することができたものの、スプライトの表示枚数は限られていた。8枚以上のスプライトを重ねると、次の一枚が消えてしまう。横一列にキャラクターを並べすぎると、点滅してしまうという弱点があったんです」

 グラディウスのビッグコアなどの巨大な敵キャラクターを背景として描くことで、やりくりしていた。ここに当時のゲーム制作者の涙ぐましい努力とアイデアが詰まっている。ここから『メタルギア』は生まれた。

 あれから20年、いまや『メタルギアソリッド4』は圧倒的なスペックを誇るPLAYSTATION 3で作られている。

 「かつてゲームはプログラマーひとりで作るものでした。そこにデザイナーが加わり、サウンド、音楽家が加わり徐々に規模が大きくなっていった。これからはボイスアクターや作家、研究者、各界のスペシャリストたちとともにゲームを作っていくことになるでしょう。それはまるでバレエのように、総合芸術といえるかもしれません」。


(志田英邦@RBB)
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