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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
【GDC07】ゲーム・オブ・ザ・イヤーで任天堂の宮本茂氏が「生涯功労賞」を受賞
3月9日
ガッツポーズで喜ぶ宮本茂・任天堂専務
 米サンフランシスコで開催されるGDCのハイライトが、7日(現地時間)に開催された「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」だ。国際ゲーム開発者会議(IGDA)のメンバーによって選出される賞で、ゲーム版「アカデミー賞」的な意味合いを持つ。

 第7回目となる今回は、Xbox360向けのSFアクションシューティング「ギアーズ・オブ・ウォー」が、「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」をはじめ、テクノロジー部門、ビジュアルアート部門を含む3冠に輝いた。また任天堂の宮本茂氏が、全ゲーム開発者とゲーマーに影響を与えた作品を作り出した人物に与えられる「生涯功労賞」に、「テトリス」で有名なアレクセイ・パジトノフ氏が、新ジャンルの創造など挑戦的な功績を残した開発者に送られる「ファースト・ペンギン賞」に輝いた。

 「ギアーズ・オブ・ウォー」は全世界で320万本を売り上げた大ヒットタイトルで、「アンリアルエンジン」で有名なエピックゲームズ社による、コンソールでは初めてのタイトルとなる。アンリアルエンジン3をベースにリアルに再現された物理世界や、Xbox360の高解像度をフルに生かした美麗なグラフィック、国産ゲームを手本にしたという操作性、オンラインによる協力プレイを前提としたレベルデザインなど、さまざまな要素が高度に融合したタイトルである。

クリフ・ブレジンスキー氏
 「クリフB」の愛称で知られるゲームデザイナーのクリフ・ブレジンスキー氏は、受賞に際して「開発に携わったすべてのクリエイターや関係者、家族などに感謝します」とコメント。さらに国産ゲームの大ファンとして知られる氏だけに、会場の宮本茂氏に対しても、「毎日すばらしいインスピレーションを与えてくれてありがとう」と感謝する一幕もみられた。

 他のノミネート作は「大神」「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」「Wiiスポーツ」「ザ エルダースクロールズIV:オブリビオン」。任天堂タイトル、しかも宮本氏の代表作の一つでもある「ゼルダ」シリーズの最新作と、Wiiの牽引役となった「Wiiスポーツ」を抑えての受賞だっただけに、氏の感激もひとしおだったようだ。

 宮本茂氏は生涯功労賞の受賞に対して、「こういう賞をもらうと年寄り扱いされて引退も近いと思われがちですが、僕はまだまだみなさんに刺激を与えていきたいと思います」と挨拶。会場を埋め尽くした全世界のゲーム開発者から、拍手とスタンディングオベーションで称えられた。授賞式の終了後も多くのゲーム開発者に囲まれ、握手やサイン、記念撮影などが続いた。「テトリス」の大ヒットで伝説的な存在となったパジトノフ氏も、熱烈な拍手で迎えられた。

 他に国産タイトルとしては、「Wiiスポーツ」(任天堂/Wii)がイノベーション部門とゲームデザイン部門に、「大神」(クローバースタジオ・カプコン/PS2)が同じくイノベーション部門とキャラクターデザイン部門に、「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」(任天堂/Wii)がライティング(シナリオ)部門に輝いた。

アレクセイ・パジトノフ氏
 その他の受賞作・受賞者は以下の通り。また昨年のゲーム・オブ・ザ・イヤーは「ワンダと巨像」(SCE、PS2)、過去の生涯功労賞の日本人受賞は「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」シリーズなどで知られる中裕司氏(現プロペ社長)と、「十字キー」「ゲームボーイ」などの開発で知られる故・横井軍平氏。ファーストペンギン賞には「パラッパラッパー」で音楽ゲームジャンルを生み出した松浦雅也氏(七音社)が受賞している。

 イノベーション部門:「ラインライダー」(ボスティジャン・カデス、PC)
 ニュースタジオ部門:イオン・ロア・エンタテインメント社
 オーディオ部門  :「ギターヒーロー2」(ハーモニー・ミュージック・システムズ/レッドオクタンス、PS2)
 マーベリック賞=グレッグ・コスティギャン
 コミュニティ・コントリビューション賞:ジョージ"ファットマン"サンジャー

 ゲーム・オブ・ザ・イヤーは北米のゲーム開発者による選出という側面が強く、受賞作の変遷は、そのまま北米を中心とした海外開発者の意識の移り変わりが感じられる。一昨年は「塊魂」が部門賞の受賞で旋風を巻き起こし、昨年は「ワンダと巨像」が国内スタジオとして初のゲーム・オブ・ザ・イヤーを含む4冠を達成。今年は北米スタジオの「ギアーズ・オブ・ウォー」が3冠を達成したが、ゲームデザインや操作性に国産タイトルの影響が見て取れる。

第1回 シムズ(マクシス)
第2回 グランセプトオートIII (DMAデザイン/ロックスターゲームズ)
第3回 メトロイドプライム(レトロスタジオ/任天堂)
第4回 スターウォーズ:ナイト オブ ザ オールド リパブリック(バイオウェア)
第5回 ハーフライフ2 (バルブソフトウェア/ビベンディ ユニバーサルゲームズ)
第6回 ワンダと巨像(SCE)
第7回 ギアーズ・オブ・ウォー(エピックゲームズ/マイクロソフト)

宮本茂氏(左)と、ライティング部門で受賞した「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」のゲームデザイナー、青沼英二氏(右)
 氏のゲームデザイン哲学については、立命館大学の中村彰憲氏によるインタビューでも触れられているので参照してほしい。また今年のGDCではクリフB氏自ら「ギアーズ・オブ・ウォー」の開発過程について講演。「バイオハザード4」などから影響を受けていることを示した。こちらも後日、拙稿をお届けする予定だ。

 ここで一つ言えるのは、Xbox360、PS3とハイデフ時代を迎えて、海外のプログラミング技術やビジュアル表現が飛躍的に高まった一方、優れたゲームデザインの必要性が高まっていること。そして、ゲームデザイン手法を国産ゲームから積極的に学ぼうという機運が見られることだ。GDCの日本人講演者数も今年は最多の13名。うち8本がゲームデザインや、それに関連する内容である。宮本茂氏への高い賞賛の背後にも、ニンテンドーDS、Wiiと常に革新的なゲームを開発しつづける姿勢と、高い実績の両方があると思われる。

 またイノベーション部門で「ラインライダー」が受賞した点も興味深い。Flashによるウェブサービスで、自分で書いた線の上を物理演算によってソリが走るという内容。お絵かき感覚でコースが作れ、多くの傑作動画がYouTubeにアップされている。厳密な意味では「ゲーム」ではないが、ついハマってしまう点では多くのゲームを凌いでおり、革新的であると共に、優れたデザインセンスを併せ持っている。

 一方で受賞作品はすべてコンソールで、携帯ゲーム機はない。DS旋風が吹き荒れる国内市場とは開発者の意識にも温度差が感じられる。さまざまな意味で興味深い今年のゲーム・オブ・ザ・イヤーだった。
(小野憲史@RBB)
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